これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

祝オスカー 「レヴェナント 蘇えりし者」 

2016年04月24日 20時58分21秒 | エッセイ
 たまたま六本木に行く用事ができた。
 ついでに美術館に寄ろうと考えたが、好みの展示がない。ならば映画である。
 あったあった。
 レオ様悲願のオスカー受賞作「レヴェナント 蘇えりし者」が、公開されたばかりだった。



 ネタバレしない程度にストーリーを紹介すると、ときはアメリカ西部開拓時代。レオ様はグラスという役で、白人の狩猟隊の現地ガイドをしている。グラスの隣には、先住民女性との間に生まれた息子、ホークが常に寄り添っていた。
 アメリカ北西部は極寒の地。撮影のため、わざわざマイナス20度の場所をロケ地にしたというこだわりで、春なのにこちらも寒くなってきた。吹雪や寒さと戦いながら、この狩猟隊は毛皮の商いのために狩りを続ける。
 しかし、ある朝、グラスはグリズリーと呼ばれるハイイログマに襲われた。どうにかこうにか倒したが、彼自身も瀕死の重傷を負い、自力で動けなくなった。隊長はグラスを担架のような板に載せ、担いで運ぶように指示を出す。しかし、隊長の目の届かないところで、裏切り者に息子を殺された上、置き去りにされてしまう。
 血まみれのレオ様を見て、ふと「ギャング・オブ・ニューヨーク」で半殺しの目にあった場面を思い出した。かの大作「タイタニック」では死亡、「ロミオ+ジュリエット」でも死亡、「華麗なるギャツビー」でもやっぱり死亡。レオ様、受難率高し。
 クマの爪は恐ろしい。グラスが川で水を飲むシーンでは、口から入った水が切り裂かれた喉から噴き出し「うえっ」と顔をしかめた。
 グラスの心の支えは、息子を殺した男に復讐すること。だが、敵はグリズリーだけではない。オオカミだっているし、凍える吹雪も襲ってくる。先住民の襲撃から逃れ、食べものを求めて、彼は必死に生き延びる。
 現代人は、マッチやライターなしでは火をつけることすらできない。グラスは、火打石のようなものを使って火を起こし、枯れ草に広がったところを石で囲み、慣れた手つきで切り倒した木をくべていく。川に罠をしかけ、魚を捕れば生のままかぶりつく。ときおり「フィッツジェラルドが息子を殺した」と文字に残し、復讐のともしびが吹雪に吹き消されないよう確認しているように見えた。
 自分だけの力で生きていくこと、それはとても難しい。とりわけ、便利さに慣れた現代人には。たくましさに、ちょっと感動した。
 ケチをつけるとすれば、ラストでフィッツジェラルドを追いかけるところだろうか。深い雪の中を、隊長とグラスは2人だけで馬を並べ、走らせていく。
 なぜ、隊長自ら?
 普通、手下にやらせて首を持って来させるのではないか。もし、隊長自身が行くとしても、お付きの隊員を何人も従えると思うのだが。伝記に基づいたとはいえ、設定に無理があると感じた。
 上映時間157分と長かったが、全然退屈しなかった。レオ様の渾身の演技はもちろんのこと、フィッツジェラルド役トム・ハーディの二枚舌を駆使した悪役ぶりが見事である。暗くて絶望的な場面が多い中で、フィッツジェラルドに翻弄される善人・ブリジャーが、先住民の女性にそっと食料を置いていくシーンには心が温かくなった。
 あらためて。
 レオ様、主演男優賞おめでとう~!


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コメント (6)
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