これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

たまには人間ドック

2016年07月17日 22時08分39秒 | エッセイ
 定年退職後、一度も健康診断を受けていない夫に人間ドックを勧めたのは先月のことだ。元々太っていたが、仕事がなくなり、さらに肥えて、今では霜降り牛のような体形になっている。自分でも気にしていたのか、素直に予約をとって出かけていた。
 おととい、帰宅時に郵便受けをのぞいたら、病院からの結果が届いていた。
「これ、検診結果じゃない?」
「そうだね」
 そのときは忙しかったので、夫に封筒を渡しただけで内容までは聞かなかった。が、この3連休は特に予定がない。昨日は夫が出かけていたから、検診結果を勝手に見ることにした。
「どこだろう。……あった、あった」
 一般に、男性はものを隠すのが下手である。すぐに、キッチンの本棚に挟まっている、ピンクの大きな封筒が目についた。
 中を開けてみると、「総合判定 D」の文字が見えた。さらに先を読むと、「脂肪肝」「腹部大動脈石灰化」「要治療」と書かれている。大丈夫だろうか。
 血圧や血糖、尿酸などは正常値だが、コレステロール値は「D」で「肥満」などの判定もある。「食後にウォーキングなどの運動をすることを勧めます」とのアドバイスも幅を利かせていた。
 近所のスーパーですら、常に車で行くような男である。耳の痛い結果であったに違いない。
 少々気になったのが「喫煙歴」だ。夫は20代から40代まで愛煙家であったが、その後はやめている。20年間も吸っていたくせに、ちゃっかり「喫煙歴なし」と申告しているところが図々しい。
 封筒を元に戻し、「脂肪肝」「腹部大動脈石灰化」について調べてみる。うちでは脂っこいものは作らないので、パンやご飯、麺類などの炭水化物が原因と思われる。朝はご飯、昼は麺類で腹を膨らませ、運動もせずに寝転がっているから、消費し切れない炭水化物が中性脂肪となって蓄えられたのだろう。
 加えて、夫はおやつにパンを食べる習慣がある。スーパーでバターロールなどを袋買いし、たっぷりバターを載せて一気に5個ほど平らげるのだ。これでは脂肪肝になっても不思議はない。



 腹部大動脈石灰化については、情報量が少なくてよくわからなかった。しかし、動脈硬化と似たようなものと書いてあったので、危険であることには違いない。
「ただいま」
 夫が帰ってきた。話は、彼が着替えてくつろいでからにしよう。
 私は何食わぬ顔をして、「そういえば、この前の結果はどうだったの?」と切り出した。
「ああ、ほとんど、Aだったよ」
 そのまま、結果良好で押し通すつもりかと思ったら、彼は自分でピンクの封筒を取り出した。私に手渡すと、中を見るように促す。
「総合判定D、要治療って書いてあるじゃない。病院に行かないと」
「でも、Aのほうが多い」
「そういう問題じゃないんだよ。治療が必要なんだって」
「…………行くよ」
 夫はそっぽを向いたまま、近くのかかりつけ医を受診すると約束したが、かなり不本意であったようだ。
 不健康であることを認めるにも勇気がいる。もはや、猶予はないので、本人にも自覚を持ってもらいたい。

 私も、たまには人間ドックを受けたほうがいいのだろうか。
 ホテルニューオータニの宿泊プランを見ていたら、「東都クリニック人間ドック宿泊プラン」なるものがあって驚いた。(詳細はこちらから)
「1泊夕食つきか、むむむ」
 さらに調べてみたら、アムス丸の内パレスビルクリニックという病院では、「1泊コース~選べるホテルプラン」として、パレスホテル、東京ステーションホテル、丸ノ内ホテル、ロイヤルパークホテルと提携してるではないか。(詳細はこちらから)
「すごい! ゴージャス」
 少々値は張るが、検査というよりバカンス感覚で受けられそうな気がする。
 1人より2人のほうが安くなるので、誰かを誘って計画したくなってきた。
 健康管理は大事です!


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コメント (12)
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