何日か前に、ブロ友さんが横田基地のお祭りをアップしていた。
懐かしい。私も子どものとき、母に連れられて、姉や妹と行ったことがある。
母は自衛隊や軍艦などが好きなので、横田基地にも興味を持っていたようだ。一般人も入れる日があると知り、当時住んでいたさいたま市から、えっちらおっちら電車で駆けつけた。
「Hello!」
基地のアメリカ人はフレンドリーだった。軍人だけでなく、その家族も笑顔で手を振ってくる。顔立ちも髪の色も違うし、背が高く体型自体が同じではない。たまに、ドラム缶のような横幅の人もいて、ここまで太れるものなのかと驚いた。
その日は、少々風も吹いていたが、いいお天気だった。あちこちにテーブルが並べられ、菓子や飲み物、食べ物が売られている。ホームメイドのものばかりだったようだ。
「お母さん、あそこにパンがあるよ」
「どれどれ」
私たちはパンに目がない。4人でぞろぞろと移動し、パンをのぞきこんだ。
「コンニーチハ」
小太りのオジさんとオバさんが気軽に声をかけてくる。テーブルの上にはアメリカサイズの、直径40cmはありそうなリング状のパンがドーンと載っていた。まるで横綱だ。こんなに大きなパンは見たことがない。ところどころ、軟らかそうなリンゴが顔を出していて、上には白いシロップがたっぷりかかっている。その存在感に、私たちは完全にノックアウトされた。
「おいしそう」
「お母さん、これ買おうよ」
「みんなで食べられるよ」
「そうだね、これください」
「Thank you」
日本円で支払いをする。たしか、500円くらいではなかったか。大鍋のような大きさの割に、良心的な価格だったことをおぼえている。しかし、そのあとが大変だった。
「Here you are」
オジさんは、大きなパンをむき出しのままで渡そうとするのだ。日本だったら袋に入れて当然なのに、アメリカにはそういう習慣がないのだろうか。
「Bag please」
「Bag?」
オジさんはオバさんと顔を見合わせて、日本人への対応に戸惑っていた。この人たち、何をしてほしいのかしらと相談していたようだ。
「持って帰れナーイ」
私たちも必死に、身ぶり手ぶりでパンを包むものが欲しいのだと訴えた。やがて、オジさんは納得したようにうなずき、「OK」と明るく答えた。
彼が自信を持って取り出したのは、未使用の透明なゴミ袋である。
「あっはっはっは」
たしかに、これならパンが入る。私たちは腹を抱えて大笑いし、オジさん、オバさんも笑顔で両手を広げていた。
「Thank you, bye-bye」
「bye」
ほんの短時間だったけれど、アメリカ人夫妻との国際交流が終わり、手を振って別れる。
家に帰ってパンを食べたら、外側はふんわり、リンゴは甘くシャリシャリ、固まったシロップがしっとりで、信じられないくらい美味しかった。こんなにいいものを食べられるなら、アメリカで暮らしたいと思ったくらいだ。
あれから35年ほど過ぎ、今では日本でも美味しいパンが食べられる。早まらなくてよかった。
今日はハロウィン仕様のパンプキンパイを買ってみた。
夫も娘も和食派だが、私だけはパン派を貫いている。
横田基地で買った、あのパンの影響かもしれない。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
懐かしい。私も子どものとき、母に連れられて、姉や妹と行ったことがある。
母は自衛隊や軍艦などが好きなので、横田基地にも興味を持っていたようだ。一般人も入れる日があると知り、当時住んでいたさいたま市から、えっちらおっちら電車で駆けつけた。
「Hello!」
基地のアメリカ人はフレンドリーだった。軍人だけでなく、その家族も笑顔で手を振ってくる。顔立ちも髪の色も違うし、背が高く体型自体が同じではない。たまに、ドラム缶のような横幅の人もいて、ここまで太れるものなのかと驚いた。
その日は、少々風も吹いていたが、いいお天気だった。あちこちにテーブルが並べられ、菓子や飲み物、食べ物が売られている。ホームメイドのものばかりだったようだ。
「お母さん、あそこにパンがあるよ」
「どれどれ」
私たちはパンに目がない。4人でぞろぞろと移動し、パンをのぞきこんだ。
「コンニーチハ」
小太りのオジさんとオバさんが気軽に声をかけてくる。テーブルの上にはアメリカサイズの、直径40cmはありそうなリング状のパンがドーンと載っていた。まるで横綱だ。こんなに大きなパンは見たことがない。ところどころ、軟らかそうなリンゴが顔を出していて、上には白いシロップがたっぷりかかっている。その存在感に、私たちは完全にノックアウトされた。
「おいしそう」
「お母さん、これ買おうよ」
「みんなで食べられるよ」
「そうだね、これください」
「Thank you」
日本円で支払いをする。たしか、500円くらいではなかったか。大鍋のような大きさの割に、良心的な価格だったことをおぼえている。しかし、そのあとが大変だった。
「Here you are」
オジさんは、大きなパンをむき出しのままで渡そうとするのだ。日本だったら袋に入れて当然なのに、アメリカにはそういう習慣がないのだろうか。
「Bag please」
「Bag?」
オジさんはオバさんと顔を見合わせて、日本人への対応に戸惑っていた。この人たち、何をしてほしいのかしらと相談していたようだ。
「持って帰れナーイ」
私たちも必死に、身ぶり手ぶりでパンを包むものが欲しいのだと訴えた。やがて、オジさんは納得したようにうなずき、「OK」と明るく答えた。
彼が自信を持って取り出したのは、未使用の透明なゴミ袋である。
「あっはっはっは」
たしかに、これならパンが入る。私たちは腹を抱えて大笑いし、オジさん、オバさんも笑顔で両手を広げていた。
「Thank you, bye-bye」
「bye」
ほんの短時間だったけれど、アメリカ人夫妻との国際交流が終わり、手を振って別れる。
家に帰ってパンを食べたら、外側はふんわり、リンゴは甘くシャリシャリ、固まったシロップがしっとりで、信じられないくらい美味しかった。こんなにいいものを食べられるなら、アメリカで暮らしたいと思ったくらいだ。
あれから35年ほど過ぎ、今では日本でも美味しいパンが食べられる。早まらなくてよかった。
今日はハロウィン仕様のパンプキンパイを買ってみた。
夫も娘も和食派だが、私だけはパン派を貫いている。
横田基地で買った、あのパンの影響かもしれない。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
国産米をもっと宣伝しなくっちゃ(笑)
繊細な舌を持つ国民であれば、味の違いはわかるはず。
アメリカ人にはわかるかなぁ。
パンの便利な点は、「勝手に食べて」と言えるところだったりします。
母は、子どもが大きくなると、パンをどっさり買い置きするようになりました。
今の片割れ月さんと同じかしら。
スープがあるとリッチな気分になれますよ。
奥様のお姉様が基地にお勤めだったとは、パン食励行になるはずです(笑)
パンが美味しくてアメリカで暮らしたい、子供らしい発想ですね
ご飯がおいしいと日本にやって来たアメリカ人もいるかと思います(笑)
じつは女房が朝飯を作ってくれないのでパン食を余儀なくされています(_ _;)…パタリ
その女房の姉が昔、横田基地に勤めていたそうで、家族でお祭りに招待されたそうです。
小麦粉が体に合わない人がいると聞いたことはあります。
ひじきご飯主体にして、体調がよくなったのは確か。
私にも小麦粉アレルギーはあるかも。
遅延型は怖いですね。
ジワジワと炎症を起こすタイプだと、気づきませんもの。
横須賀でご当地バーガーを食べたかった…。
異文化に触れる体験は横田が最初でしたが、神奈川の方は横須賀が多いのでしょうか。
神戸屋のパンは美味しいですよね。
でも、地元の神戸屋は閉店しちゃいました。
この写真はポンパドールでした(笑)
そうですね、ダイエット目的だったら白米よりも麦飯や五穀米なんかがいいそうです。
パンだとフランスパンがおススメで、クロワッサンは避けるべしと教わりました。
でもでも、そんなことはさておき、美味しいものはやめられませんよ。
忘れられない思い出は、歳をとっても色あせないものです。
きっと、白玉さんにも素敵な思い出がたくさんあるんでしょうね。
あれは美味しいですね。私も大好き!
毎朝パンとコーヒーです。
「遅延型アレルギー」が話題になっていて、小麦粉アレルギーは私にもあるかな?なんて
思わないでもないけれど、パンが食べられなくなると困るので、調べる気になれません。
神奈川は沖縄に次ぐ、日本第2位の基地県です。
基地への賛成反対は別にして、異文化交流は大切。
今日は神戸屋のカボチャパン、買ってこようっと!
ダイエットには、ご飯が向いているそうだけど、
焼き立てやトーストの匂いや食感は、他では変えられませんね。
でも、子どもの頃の こんな素敵な体験があって、今
ブログを書いている砂希さんがあるんだなあとも思えました。
カナディアン・サイズを遥かに上回るサイズということですね。
さすがはアメリカ。
あのパンは5人で食べましたが、アメリカでは1人分だったりして…。
そうですね、素敵な思い出の一つです。
あのオジさん、オバさんは元気なのかしら。
考えてみたら、アメリカの家庭の味に触れたのは、これが最初で最後かもしれません。
海外旅行はヨーロッパやオセアニアばかりですから。
アメリカンサイズには圧倒されます。
横田に行ってよかった。
おお、パン好きの方がここにも(笑)
子どものとき、朝食にパンが並ぶことは稀でした。
平日はまず無理。
日曜日の朝がチャンスだった気がします。
結婚して独立すると、その反動で毎朝パンを食べていました。
今は便秘対策でひじきご飯にしていますけど。
横須賀の米軍基地は人気なんですね。
横田基地も今はどうなんでしょう。
懐かしいです。
ホテルの朝食とかでも、選べるなら私はパンだな。
横須賀の米軍基地、年に何回か入れるのですが、凄い人。
ここまで並ぶか?というくらい並んでますからね。
なので、私はパス。