そういえば、6月中旬以降、美容院に行っていない。
予約をしようと電話のダイヤルをプッシュしたら、3回かけて全て話し中だった。受話器の向こうの「ツー、ツー、ツー」という音にイラッとする。様子を横目で見た、大学3年の娘が口を挟んできた。
「ねえ、ミキの行ってる美容院にしたら? マツザカさんって人が上手だから」
「そうねえ……」
20年間、同じ美容師さんを指名しているが、このところ、仕上がりに不満を感じることが多い。いつも同じ髪型になってしまうので、「今日はここを変えてほしい」と注文をつけたら、なんともヘンテコなスタイルにされた。センスが古いと感じることもあり、ちょっと考えてしまう。
「ミキの美容院は、ネットで予約できるよ~」
「よし、またかけるのも面倒だし、そこにしよう」
きっと、これは「あの美容師はやめておきなさい」という警告に違いない。パソコンを起動させ、娘のひいきの美容院にアクセスして予約をとった。指名はもちろん、マツザカさんだ。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
店内に足を踏み入れた途端、客層の違いに驚く。このサロンには、20代から30代の客が多く、男性客も目立つ。私の通っていたところは、50代以上の女性客しかいなかった。
「親子でのご利用ありがとうございます。今日はどのようにいたしましょうか」
「カットとパーマでお願いします」
「どんな感じがご希望ですか? たとえば、この人みたいなというイメージがあれば」
「そうですね……」
仕事中、私はメガネをかけている。クルッとしたカールを組み合わせてイメージしたら、思いついた人は一人だった。
「じゃあ、稲田朋美さんみたいにしてください」
「ええっ、稲田さんですか!?」
防衛相の辞任劇は記憶に新しい。都議選での応援演説での失言や、日報問題などでずいぶん叩かれていたが、髪型に罪はない。むしろ、メガネ女子に合うスタイルなのではと、ひそかにチェックしていた。もっとも、グッドルッキング発言というのも話題に上ったが。
しかし、まさかのレアな注文に、マツザカさんは目を大きく見開いていた。
「えーと、稲田さん、どんな髪型でしたっけ……」
「今まで、そういうリクエストはなかったんですか」
「いやあ、初めてですね。すみません、ちょっとケータイ見ていいですか」
あくまでも笑顔を保ちながら、レアな要望に応えるため、彼は素早く画像検索をしたようだ。
「ありました。どれにしますか」
スマホ画面をのぞき込むと、パッチワーク状の稲田氏がいくつも並んでいた。初当選時代から現在まで、かなりのバリエーションがある。
「これかな? あ、こっちの方が近いですね」
「なるほど、これですか……」
うーむ、という表情で、マツザカさんが画像をにらむ。さすがはプロ。一瞬にして、カットの方法を分析していたようだ。
「あの、笹木さんはこの部分が短いので、今はこの通りにできません。今回は、稲田さんに近づけつつ、短いところを伸ばしていきませんか」
「なるほど。じゃあ、そうします」
できないことはできないと、ハッキリ言ってもらった方がいい。メガネに似合うスタイルは守ってもらい、あとは任せることにした。
完成したものがこれだ。
落ち着くまでブローに苦戦しそうだが、フワッとした仕上がりは気に入っている。毛先も傷んだ感じがせず、指の通りがよい。サボっていたムースもつけるようにして、女子力をアップさせよう。
どうやら、マツザカさんは相当な売れっ子らしい。次から次へと指名が入り、昼食はおろか、トイレに行く暇もなさそうに見えた。よほど、評判がいいのだろう。
「もし、僕に全部任せていただけるのなら、ショートにすると思います」
話の途中で、私は短い髪のほうがスッキリ見えると指摘された。
おもしろい。その話、乗ってみたい。
稲田さんはやめて、次はショートにしようかしら。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
予約をしようと電話のダイヤルをプッシュしたら、3回かけて全て話し中だった。受話器の向こうの「ツー、ツー、ツー」という音にイラッとする。様子を横目で見た、大学3年の娘が口を挟んできた。
「ねえ、ミキの行ってる美容院にしたら? マツザカさんって人が上手だから」
「そうねえ……」
20年間、同じ美容師さんを指名しているが、このところ、仕上がりに不満を感じることが多い。いつも同じ髪型になってしまうので、「今日はここを変えてほしい」と注文をつけたら、なんともヘンテコなスタイルにされた。センスが古いと感じることもあり、ちょっと考えてしまう。
「ミキの美容院は、ネットで予約できるよ~」
「よし、またかけるのも面倒だし、そこにしよう」
きっと、これは「あの美容師はやめておきなさい」という警告に違いない。パソコンを起動させ、娘のひいきの美容院にアクセスして予約をとった。指名はもちろん、マツザカさんだ。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
店内に足を踏み入れた途端、客層の違いに驚く。このサロンには、20代から30代の客が多く、男性客も目立つ。私の通っていたところは、50代以上の女性客しかいなかった。
「親子でのご利用ありがとうございます。今日はどのようにいたしましょうか」
「カットとパーマでお願いします」
「どんな感じがご希望ですか? たとえば、この人みたいなというイメージがあれば」
「そうですね……」
仕事中、私はメガネをかけている。クルッとしたカールを組み合わせてイメージしたら、思いついた人は一人だった。
「じゃあ、稲田朋美さんみたいにしてください」
「ええっ、稲田さんですか!?」
防衛相の辞任劇は記憶に新しい。都議選での応援演説での失言や、日報問題などでずいぶん叩かれていたが、髪型に罪はない。むしろ、メガネ女子に合うスタイルなのではと、ひそかにチェックしていた。もっとも、グッドルッキング発言というのも話題に上ったが。
しかし、まさかのレアな注文に、マツザカさんは目を大きく見開いていた。
「えーと、稲田さん、どんな髪型でしたっけ……」
「今まで、そういうリクエストはなかったんですか」
「いやあ、初めてですね。すみません、ちょっとケータイ見ていいですか」
あくまでも笑顔を保ちながら、レアな要望に応えるため、彼は素早く画像検索をしたようだ。
「ありました。どれにしますか」
スマホ画面をのぞき込むと、パッチワーク状の稲田氏がいくつも並んでいた。初当選時代から現在まで、かなりのバリエーションがある。
「これかな? あ、こっちの方が近いですね」
「なるほど、これですか……」
うーむ、という表情で、マツザカさんが画像をにらむ。さすがはプロ。一瞬にして、カットの方法を分析していたようだ。
「あの、笹木さんはこの部分が短いので、今はこの通りにできません。今回は、稲田さんに近づけつつ、短いところを伸ばしていきませんか」
「なるほど。じゃあ、そうします」
できないことはできないと、ハッキリ言ってもらった方がいい。メガネに似合うスタイルは守ってもらい、あとは任せることにした。
完成したものがこれだ。
落ち着くまでブローに苦戦しそうだが、フワッとした仕上がりは気に入っている。毛先も傷んだ感じがせず、指の通りがよい。サボっていたムースもつけるようにして、女子力をアップさせよう。
どうやら、マツザカさんは相当な売れっ子らしい。次から次へと指名が入り、昼食はおろか、トイレに行く暇もなさそうに見えた。よほど、評判がいいのだろう。
「もし、僕に全部任せていただけるのなら、ショートにすると思います」
話の途中で、私は短い髪のほうがスッキリ見えると指摘された。
おもしろい。その話、乗ってみたい。
稲田さんはやめて、次はショートにしようかしら。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
なんか気が強そうで・・。(笑)砂希さんには確かにショートカットもお似合いかと思いますよ。しかし、美容院って指名制なんですね~、知りませんでしたよ。(今まで1度も行った事がないもんで)
事実に基づいて責任を持って~
でも、ショートがお似合いと言われたなら、チャレンジもいいですよ。
私の毛質は太くて硬くて多量で茶色くて元気者。
汗っかきなのでショートにしたいのだけど、ハリネズミみたいにしかなりません。
ある程度伸ばして、自分の重みで落ち着いてもらうしかないんです。
「ショートにすると、栄養が行きわたった毛しかなくなるから、ツヤもよくなります」と言われたことも。
飽きたら伸びる過程を楽しみながら…というのもいいですね。
腕利きの美容師さんに乾杯!
先生のように写真を持って行けばいいんですね。
必ずしも指名制ではない店もあります。
でも、予約を入れることが多いですね。
この時間に空いている人だったら誰でもいい、なんて注文もあり。
いつも同じ人にやってもらうと、責任を持ってくれるような気がします。
誰かのやりかけを引き継ぐのは気が進まないでしょうし。
ショートは次回に試してみよう……。
素敵な夏休みも終わってしまいましたね。
私は来週です!
私も適当なことを言うときがあります。
反面教師にして慎まないと~。
ありがとうございます。
なりかけ稲田さんスタイルとでもいえばいいのでしょうか(笑)
洗ったあとも、結構素直に言うことを聞いてくれるので、今のところブローに苦労はしていません。
ショートかぁ……。
まったく頭の中になかったので、とっさの判断ができませんでした。
よし、次だ次!
ベリーショートだったらどうしよう(笑)
素人にはわからないことですが、髪質によってできない髪型もあるようです。
私の髪は細くて軟らかいので、ボリュームのあるスタイルは無理です。
以前にその場で言われたことがあって、妥協したら変な髪型にされてしまいました。
ホント、思う通りにしてもらえませんね。
旬でなくなったお方をあえて引き合いに出す発想が…d(-_☆) グッ!!
へのへのもへじは兎も角として髪型は似合っているのかも(*^^*)ポッ
ワンテンポ遅れて何かするのが私の特徴かも。
慎重なんです。
ウソウソ、流行に鈍感なだけ。
最先端とは無縁です。
雨続きの東京では、湿気で髪型が崩れます。
今日は全然違うスタイルになってしまいました。