新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
毎年、元日は親族との新年会である。
料理は、姉や妹、母とダブらないよう事前に相談し、それぞれが作ったり買ったりして持ち寄るが、今年はニューフェイスが加わった。
「ミキも作りたい!」
大学1年の娘も名乗りを上げ、「玉子豆腐」で参戦することになったのだ。少し手伝ってあげたけれど、ほとんど一人で完成させた。
表面のツブツブは、インスタントのだしを使った証拠である。
母が手抜きなので、それがスタンダードになっているのだと反省した。
「こんばんは~」
妹の家に着くと、義弟が一生懸命牛肉を焼いていた。今日は休みが取れたようだ。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
身内といっても、こういう場での挨拶はきちんとするのが習わしだ。両親や姉夫婦はすでに来ていたので、これで全員集合となる。準備ができたところで、シャンパン係の姉が立ち上がった。
「今年は、クリスタルってシャンパンのロゼにしたわ。ロシア皇帝の愛したシャンパーニュって言われているのよ」
「わあ、すごーい! きれいなラベルねぇ」
姉がボトルを掲げると、いっせいに歓声があがった。コルクを抜けば、宴会の始まりだ。
クリスタルは、甘味と酸味のバランスがとれていて、絶妙の口あたりである。ゴクンと飲みこめば、フルーティーな風味が喉から立ち上ってくる。後味スッキリで実に美味しい。ロシア皇帝でなくても虜になりそうだ。
「玉子豆腐いただきまーす」
73歳の母が、さっそく娘の料理に箸をつけた。
「うん、美味しいよ!」
様子を見ていた義弟も、玉子豆腐の器を取り上げる。
「ミキちゃん、美味しくできてる」
口々に褒められて、本人は少々照れているようだった。実は、切り分けたあと、型から取り出すのが大変だったのだ。フライ返しを借りて、四苦八苦した舞台裏をチラリ。
誰もが絶賛したクリスタルがなくなったあと、私はバッグに忍ばせてきた「ゆずとジンジャーの梅酒」というボトルを開けた。やたらと甘くてドロドロしているところが好きなのだ。
「あっ、この梅酒、南高梅を使っているぞ。もったいないなぁ」
ラベルを目にした義兄が驚きの声を上げた。彼は、南高梅は梅干しにするのが一番だと思っているようで、妙な梅酒に加工されるのが気に入らないらしい。
「南高梅か、道理で美味しいと思った」
原材料には無頓着だった私も、まじまじと眺めてみた。そこに妹が、したり顔で割り込んでくる。
「ちょっとちょっと。なんこうばい、じゃなくて、なんこううめ、が正しいんだって」
「えっ、本当?」
「音読みが続いたあとに訓読み? おかしいでしょ」
「あはは、変~」
いわゆる、重箱読みというヤツか。ひとつ利口になったかも。こんなことでも盛り上がるわが親族……。
姉はチーズを何種類か持ってきてくれた。
「この白いチーズ、マイルドでいいね!」
「それはパルミジャーノ。粉状にするとパルメザンだよ」
「あれか! 道理で馴染みのある味だと思った」
義弟の焼いたステーキは、適度に脂がのっていて軟らかく、何度も箸を往復させた。ステーキソースもあったが、粗塩におろしたての山葵を添えていただくのが最高!
妹は、ペコロスとよばれる小玉ネギを使った料理を用意していた。やわらかく煮たペコロスに、肉みそをかけていただくと、体が温まる。これはかなり好評だった。
「うわあ、この料理、初めて食べた。美味しいね」
「玉ねぎが軟らかいし、肉みそもいい味」
たぶん、妹が作った唯一の料理と思われるが、これは大ヒット。私も真似しなくては。
「奈津、ご飯は炊いてあるの?」
母が疑惑のまなざしを妹に向けた。クリスマス会では、おにぎりを作ろうとしたとき、お釜がからっぽだったことを心配しているのだ。奈津は、思い出し笑いをこらえながら答える。
「今日は大丈夫。もう炊いてあるから」
「そう? ならよかった」
母は、おあずけを食らう破目にならないとわかり、ホッとしたようだ。
「じゃあ、次はグリューワインね。温めるから鍋貸して」
話題が途切れることなく、新年会は続いていく。23時半を回った頃、ようやくお開きとなった。
「ごちそうさまでした。おやすみ~」
帰りの車の中で、新年の抱負が浮かんできた。
今年は、昆布とかつおぶしから、だしがとれるようになるぞ~!
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今年もよろしくお願いいたします。
毎年、元日は親族との新年会である。
料理は、姉や妹、母とダブらないよう事前に相談し、それぞれが作ったり買ったりして持ち寄るが、今年はニューフェイスが加わった。
「ミキも作りたい!」
大学1年の娘も名乗りを上げ、「玉子豆腐」で参戦することになったのだ。少し手伝ってあげたけれど、ほとんど一人で完成させた。
表面のツブツブは、インスタントのだしを使った証拠である。
母が手抜きなので、それがスタンダードになっているのだと反省した。
「こんばんは~」
妹の家に着くと、義弟が一生懸命牛肉を焼いていた。今日は休みが取れたようだ。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
身内といっても、こういう場での挨拶はきちんとするのが習わしだ。両親や姉夫婦はすでに来ていたので、これで全員集合となる。準備ができたところで、シャンパン係の姉が立ち上がった。
「今年は、クリスタルってシャンパンのロゼにしたわ。ロシア皇帝の愛したシャンパーニュって言われているのよ」
「わあ、すごーい! きれいなラベルねぇ」
姉がボトルを掲げると、いっせいに歓声があがった。コルクを抜けば、宴会の始まりだ。
クリスタルは、甘味と酸味のバランスがとれていて、絶妙の口あたりである。ゴクンと飲みこめば、フルーティーな風味が喉から立ち上ってくる。後味スッキリで実に美味しい。ロシア皇帝でなくても虜になりそうだ。
「玉子豆腐いただきまーす」
73歳の母が、さっそく娘の料理に箸をつけた。
「うん、美味しいよ!」
様子を見ていた義弟も、玉子豆腐の器を取り上げる。
「ミキちゃん、美味しくできてる」
口々に褒められて、本人は少々照れているようだった。実は、切り分けたあと、型から取り出すのが大変だったのだ。フライ返しを借りて、四苦八苦した舞台裏をチラリ。
誰もが絶賛したクリスタルがなくなったあと、私はバッグに忍ばせてきた「ゆずとジンジャーの梅酒」というボトルを開けた。やたらと甘くてドロドロしているところが好きなのだ。
「あっ、この梅酒、南高梅を使っているぞ。もったいないなぁ」
ラベルを目にした義兄が驚きの声を上げた。彼は、南高梅は梅干しにするのが一番だと思っているようで、妙な梅酒に加工されるのが気に入らないらしい。
「南高梅か、道理で美味しいと思った」
原材料には無頓着だった私も、まじまじと眺めてみた。そこに妹が、したり顔で割り込んでくる。
「ちょっとちょっと。なんこうばい、じゃなくて、なんこううめ、が正しいんだって」
「えっ、本当?」
「音読みが続いたあとに訓読み? おかしいでしょ」
「あはは、変~」
いわゆる、重箱読みというヤツか。ひとつ利口になったかも。こんなことでも盛り上がるわが親族……。
姉はチーズを何種類か持ってきてくれた。
「この白いチーズ、マイルドでいいね!」
「それはパルミジャーノ。粉状にするとパルメザンだよ」
「あれか! 道理で馴染みのある味だと思った」
義弟の焼いたステーキは、適度に脂がのっていて軟らかく、何度も箸を往復させた。ステーキソースもあったが、粗塩におろしたての山葵を添えていただくのが最高!
妹は、ペコロスとよばれる小玉ネギを使った料理を用意していた。やわらかく煮たペコロスに、肉みそをかけていただくと、体が温まる。これはかなり好評だった。
「うわあ、この料理、初めて食べた。美味しいね」
「玉ねぎが軟らかいし、肉みそもいい味」
たぶん、妹が作った唯一の料理と思われるが、これは大ヒット。私も真似しなくては。
「奈津、ご飯は炊いてあるの?」
母が疑惑のまなざしを妹に向けた。クリスマス会では、おにぎりを作ろうとしたとき、お釜がからっぽだったことを心配しているのだ。奈津は、思い出し笑いをこらえながら答える。
「今日は大丈夫。もう炊いてあるから」
「そう? ならよかった」
母は、おあずけを食らう破目にならないとわかり、ホッとしたようだ。
「じゃあ、次はグリューワインね。温めるから鍋貸して」
話題が途切れることなく、新年会は続いていく。23時半を回った頃、ようやくお開きとなった。
「ごちそうさまでした。おやすみ~」
帰りの車の中で、新年の抱負が浮かんできた。
今年は、昆布とかつおぶしから、だしがとれるようになるぞ~!
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
グズグズの風邪で帰省もならず、ひとりでゴーンと除夜の鐘をきいた私とは別世界のお話です。
おしゃれなシャンパンも、ひとりふたりのためだと高価過ぎて戸惑うけれど、みんなが集まるなら1本あってもいいかなと思えます。
こういうのが富貴なのね。
玉子豆腐は市販の物でも型崩れしやすいです。そんなに大きなものを成功させるなんて、将来いい腕のシェフになれますよー。
南高梅を手に入れて毎年梅酒を仕込みます。
お酒を楽しんだ後の梅まで美味しいので、砂希さんもチャレンジチャレンジ!
一人静かに迎えるお正月もオツなものではないでしょうか。
でも、秋田のご両親は淋しがっていたでしょうね。
次回はお盆なのかしら。
元気な姿で会いに行ってあげてください。
7人でシャンパンを開けると、せいぜいグラス一杯分しか飲めませんね。
だから、余計に美味しく感じるのかも。
クリスマスにはイチゴ梅酒というお酒を持参しました。
義兄はこれが許せなかったみたい(笑)
ホームメイドの梅酒なら別ですね。
Hikariさんの風邪、早く治りますように。
こういうことが大事なんだな~といつも思わされます。
それぞれ得意ジャンルがあって楽しい新年会ですね、ワイン係は金さえあれば楽そうだけど…
知ったかぶりしてすみません、南高梅は和歌山の南部高校ゆかりの梅で南高梅という名になったそうですよ(*^.^*)エヘン♪
今年は昆布出汁とまで行かなくても料理に挑戦したくなりました~
楽しいお正月が過ごせて良かったですね。ウチは2日に回転寿司に行きました。
親戚が集まると盛り上がりますよね。
どうお祝いしたのかなと思ってました←無知。
ご親族初のお祝いに、高級シャンパンはぴったりですね。
ミキちゃん、みんなの予定料理から、玉子豆腐をチョイスされたのかな。ナイスです。
みそ汁のだし、私も 映画のように、ちゃんと取るのを目標にしようかしら。
(はなちゃんのみそ汁)
今年もよろしくお願いします。
よい年になりますように♪
お正月会、楽しそうですね。
ちょっとたいへんそうだけど(←なまけもの☆)
たまご豆腐って作れるんですね。
なんこうばい、なんこううめ…どっちで言ってたかな。
シャンパン、オシャレ~。
ほほう、南高梅の由来はそれでしたか!
みなさん、雑学が豊富ですね。
おっしゃる通り、アルコール係は金はあるが料理に自信のない姉が引き受けています(笑)
温野菜くらいなら作れる、と姉からは申し出がありましたが、無理しなくていいよと言っておきました。
料理は楽しいですね。
今年は片割れ月さんのお料理がアップされるのかしら。
楽しみにしています♪
うちも2日はお寿司でした。
宅配で、持ってきてもらいました。
正月はお寿司が人気みたいです。
一人盛りはできない、お届け時間は限定されている、などの制約があります。
しかも高い(笑)
でも美味しかったなぁ~。
認知症の義母も喜んでいましたよ。
玉子豆腐は私が勧めました。
簡単で誰ともダブらずにすむと思ったからです。
しかし、出汁にはやられましたよ。
手抜きはダメですね。
シャンパンなどの泡ものは、宴会に欠かせません。
やはり、シュワシュワッとするのがいいんです。
姉に任せて正解かも。
はなちゃんのみそ汁、けなげですね。
あの子にできるなら、私にだってと思うこともしばしば(笑)
おめでとうございます!
新年会は楽しかったけれど、帰ると日付が変わっているのがちょっと…。
宴会だけでなく、調理で体力を消耗するんでしょうね。
疲れが抜けず、4日くらいにやっと回復しました♪
玉子豆腐と茶碗蒸しは作り方が似ています。
よろしければ、時間のあるときにお試しを!
今年もよろしくお願いいたします。