将棋 この絶妙手がすごい! マエストロ谷川浩司の華麗なる大円舞曲 その2

2019年01月23日 | 将棋・好手 妙手
 前回(→こちら)の続き。
 
 「絶妙手のマエストロ」ともいえる谷川浩司の「光速の寄せ」メドレー第2弾。
 
 今回も、また谷川-羽生戦から。
 
 1993年、第62期棋聖戦5番勝負の第1局
 
 
 
 
 打ち歩詰めもからんだ、超難解な終盤戦となったこの勝負。
 
 ▲48飛の攻防手で、後手玉は相当に危ないうえ、詰みはなくとも次に▲78飛と銀をはずせば、もう一勝負できそうだ。
 
 だが、そんな手を谷川はゆるすはずがなく、ここで「創作次の一手」のような手を用意していた。
 
 
 
 
 
 
 
 △47角が、絶妙の中合で後手勝ち。
 
 ▲78飛は、△同飛成▲同玉に、△47角の利きで△69銀と打てば簡単に詰み
 
 ▲同飛と取るしかないが、△51玉、▲53香、△62玉と逃げて、なんとを渡しても後手玉に詰みはない
 
 
 
 
 一方、飛車の横利きが消えた、先手玉に受けはない。
 
 以下、羽生は▲42飛成△71玉まで指して投げた。
 
 
 
 トリを飾るのは、やはりこの一手であろう。
 
 1996年、第9期竜王戦第2局
 
 羽生善治が七冠王から、ひとつ失ってまだ六冠だったころの将棋。
 
 
 
 の力が強く、いい攻めがないと押さえこまれそうだが、ここで谷川浩司の代表作ともいえる、あの手が飛び出す。
 
 のちに「光って見えた」と語られる、その地点とは……。
 
 
 
 
 
 
 △77桂と打ちこむのが、「谷川ダイナミック」ともいえる必殺の一撃。
 
 ▲同桂△76歩と取るのが、桂当たりのスピードアップとなる仕組み。
 
 単に△76歩と取りこむ形とくらべると、勢いも速度も段違いだ。
 
 ▲77同桂では、つぶされることを察知した羽生は、▲59飛と逆モーションでの方を取る。
 
 後手も△63飛と馬を取り返して、先手も▲54角と反撃。
 
 そこで飛車取りを放置して、△68角とさらに打ちこむのが、先手の厚みを突破する右ストレート。
 
 
 
 
 これだけのパンチを続けざまにもらっては、羽生もたまらず、その後は谷川が圧勝する。
 
 無敵時代の羽生の足を止めた、まさに伝説絶妙手だ。
 
 
 
 (森内俊之編続く→こちら
 
 
 
 
 

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