前回に続いて、「坂井利彰世代」が中心のオタク談義。
特撮にくわしくない友人ワカバヤシ君が、昭和の狂ったエピソードを聞いて、そのあまりのハイセンスな内容に、
「ボクをだまして、からかってるんだろ?」
疑心暗鬼になるという展開。
たしかに、
「予算がないせいで、カラーなのにモノクロのフィルムを流用してシーンをつなぐ映画がある」
とか言われても、「え? それネタやろ?」としか思いませんわな。
では、まずは登場人物。
1.ベットウ君
後輩。戦隊ヒーロー、アニメ、マンガ、プロレスが得意ジャンル。
好きな学園もの作品はテレビ版『新世紀エヴァンゲリオン』の第八話から第拾弐話
2.ワカバヤシ君
元関東人。オタクではなく、映画、文学、哲学などにくわしいインテリ。
好きな学園もの作品は『虹色定期便』
3.カネダ先輩
SF、ミステリ、映画、ゲームなどが専門。
好きな学園もの作品は『さびしんぼう』
4.私
特撮、SF、ミステリ、映画あたりが専門。
好きな学園もの作品はハルチカシリーズ(小説版)
■『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』と続いて、今回は流れ的に『ウルトラマン80』になるはずなんですが……。
「『レオ』の次は『ウルトラマン80』になるんやけど……」
「『80』って、あんま、おぼえてないんですよ。だから話すことが、あんましないというか」
「80にかぎらず、タロウとかレオも、記憶があやふやなところも多いですよね」
「へー。オタクってなんでも見て、おぼえてるもんだと思ってたけど」
「『何でも見てやろう』の小田実精神やねんけど、タロウ以降はあんまし見いへん人が多い」
「子供のころから、あんまし見直すことないよなー」
「ま、タロウと80はええかって」
「特にタロウは、ナメていいウルトラマンなんですよ」
「ムチャクチャ言うなあ。怒られてもしらないよ」
「特撮ファンは怖いからなあ」
「このブログでも、怒られてましたもんね」
「80とタロウは雑に語ると、たまにメッチャ怒る人が出てくるねん」
「ウルトラマン先生」こと『ウルトラマン80』。
顔がイマイチとか、「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ」なんてサブタイトルが変とかもあいまって、かなりマイナーなウルトラマンである。
果ては「まあ特撮はいいよね」などとと「いい人ではあるよね」で終わらさせられるモテない男子のような、微妙なあつかいを受けがち。
「なんで怒られたの?」
「だれやったかなあ、岡田斗司夫やったと思うけど『ウルトラマン80』を語ってるコラムかなんかがあって」
「庵野秀明が『バルタン星人の果てしなき逆襲』が好きやとかいうハナシちゃいますか」
「そこで《『80』ってあれやろ? 戦うときの掛け声が【シュワ!】とか【ヘア!】やなくて【エイティー!】っていうマヌケなヤツやろ》みたいなやりとりがあって」
「ダッハッハ! ええやん、かけ声が《エイティー!》」
「似合ってるやないですか。だから、それそのまま書いたんですよ。《ウルトラマン80はかけ声がマヌケ》って」
「そしたら怒られたんですね」
「いやー、怒られたなー。《『80』をバカにするな!》って」
「でもたしかに《エイティー!》は変だけどね。ホントにそんなこと言って戦うヒーローなんだ」
「いや、それは言うてへん」
「え? そうなんですか?」
「『80』あんましおぼえてないですけど、言ってはないですよね。変身のときちゃいますか?」
「言ってへんねえ」
「じゃあ、ウソなんじゃん」
「ウソというか、なんかそっちの方がおもろいやん」
「おもろいで済ませてええんですか?」
「たしかに、『80』には《エイティー!》ってかけ声の方が似合うけどな」
「でしょ? だからその願望もこめて、『ウルトラマン80』は《エイティー!》っていうマヌケな声で戦うって引用して」
「そりゃ怒られるよ」
「でも、絶対こっち方がおもしろいねん。そうであってほしい。ワカバヤシかて《エイティー!》って戦うヒーローおったら見るやろ?」
「気にはなるよね」
「じゃあ、それでええやん」
「良くはないよ、きっと」
大喜利の「写真で一言」で使われそうな『80』の変身シーン。
「エイティー!」の声は、この前のブライトスティック(80の変身アイテム)使用時のものと思われる。
ちなみに、なぜ「ウルトラマン先生」なのかといえば、当時『金八先生』などの学園ドラマが流行っていた影響で、このあたりも『80』の味。
「この人は、万事がこの調子ですからね」
「オレはファクトよりも【伝説】を取る、沢木耕太郎タイプの書き手やから。ニュー・ジャーナリズムやねん」
「カッコつけてるけど、要するにノリと勢いで生きてるんやな」
「ていうか、基本ホラ吹きなんですよ」
「こんな、きれいな自業自得もめずらしいね」
「ま、特撮ファンは生真面目なところあるから」
「今回も、さっそく怒られたんでしょ?」
「うん。子供が原子力兵器で戦うことをあつかったら【子供番組になにいってんだ】みたいなコメントが」
「アハハハハ! たしかに!」
「まっとうすぎて、逆に新鮮なツッコミだなあ」
「特撮にかぎらず、そういうナナメからの視点で見るのを、邪道と取る人も多いですしね」
「特撮以外でも、某有名映画の変な点を指摘したら、【おまえはこの作品のことを何もわかってないな。映画を見るセンスのないバカだよ】みたいに言われたり」
「映画も、意見が合わないと、ややこしくなりがちだよね」
「好きな映画を語るって、どうしても自己を語る的なところもあるから、そこを雑にあつかわれると、アツくなるよな」
「なんか【この映画の時代背景も知らない素人が偉そうに】とか【監督がこのセリフに込めたバックボーンとかも、わかってないんだろ】とかからまれて、いや、そんなんわかったうえでゴチャゴチャ言うてますねん……」
「色々と踏まえたうえで、イジってるねんけどな」
「そこをわかってほしいですよね、たしかに」
「愛があるから言うてるんや」
「悪口言う人って、たいていそれ言うよね《愛があるから言ってるのに》って」
「そりゃまあ《お前のためを思ってやってるんだ》って言うたら、女子供なぐっていいとかみたいなもんで」
「《なぐったほうも痛いんだ》って言うたら、教え子なぐっていいとか」
「《あえて憎まれ役を買って出たほうがいいのかもな》って言うたら、後輩なぐっても、ゆるされるとか」
「全アウトだよ、それ」
「まあ、『レオ』のダン隊長も近いノリでなぐって罵倒して、人気あるわけやから」
「それは、昔だから」
「いやあ、オレは昔からイヤやったけどなあ」
「どの世界でも、こういう便利ワードってあるやん。《○○する人に、悪いヤツはおらんねん》って言うたら、たいていのことは肯定できるとか」
「《勝負の世界》言うたら、どんな卑怯な手もOKとか」
「だから、特撮愛のあるオレらは、グリッドマン(実写の方)の悪口は言うてもええねん」
「あと、なんのかの言うて『80』はオープニングが最高やから、それでええって気もするし」
「わかります! 主題歌が超カッコイイ! He came to earth from the star.」
「『レオ』と『80』は主題歌だけで100億点。だからOK!」
「嵐のような帳尻合わせで、目が回りそうだよ」