研究室にある研究員、院生の行動予定表(兼卒論生の行動把握ボード)の余白に書かれたカウントダウン。60日前くらいから稼動していましたが、遂にこんなことになってしまいました。あと1週間か…TSKくん(私が担当している卒論生)、大丈夫かな…(ちょっと心配)。
ちなみにこのカウントダウン、2日前くらいから単位が「時間」に変わります。
・・って別に恋愛話を始めるわけではございません,残念ながら.
昨年度末くらいから,我々の研究室で皆が興味を持っているテーマがあります。それは単純接触効果:mere exposure effect。
有斐閣の辞典から定義を引っ張ってきましょう.ちなみにこの有斐閣の心理学辞典と一緒に勉強してくれたYKEさん&ARI君のおかげで,私は大学院に合格できました.と思ってます,今でも.
単純接触効果:特定の中性刺激に繰り返し接触するだけで,その刺激に対して好意的な態度が形成される現象.(後略)
簡単ですね.要するに好きでも嫌いでもないものに繰り返し接すると,だんだん好きになる.これが基本の現象.これはかなり極端な実験条件下でも検証できます.
例えば人の顔をサブリミナルで1回しか見せてなくても(見たと意識できないくらいちょっとだけしか見せない),後でその顔と初めて見る顔を比べてどちらが好きか問われると,ほんのちょっとだけでも見たほうが選ばれるのだそうです.
人の顔でなくても,1回既に見せられた意味のない図形と,初めて見る意味のない図形とを比較して無理やり好き嫌いを決めさせると,やはり既に見たものの方が好まれるのです.
視覚刺激,聴覚刺激,言語刺激,人間…いろいろな材料を使って検討されている現象ですが,この現象がなぜ起きるのか,人の中でどのような処理が成された結果なのか,についてはまだ明快な答が出ていません.繰り返し接するうちに,対象を知覚・認知する処理がどんどんやりやすくなっていき,それが人間の情報処理的に快いことになるのでは,なんて説明もあります.現在はその原因や情報処理過程について検討するべく,興味のある院生や研究員さんが文献を読んだり実験計画を立てたりしています.
そこで私も単純接触効果を研究してみることにしました.まずは自分の専門分野での文献検索から始めました。
・・・私は探しものが下手なのかもしれません.目的にかなう文献はわずかに1件、しかも1978年のものでした.どうも調べた範囲では,それ以降行われていないようなのです.しかも上に述べた定義は検証されていませんでした.
ということで,まずは基本事項を検証するところからスタートになりそうです.これは前期の研究法でやるつもり.
接触すれば接触するほど好きになる…サッカーを見れば見るほど好きになる…どんどん病みつきになる…納得.