今回、全面下ネタです。苦手な方ご注意ください。
お読みくださるという有り難い方、背後にお気をつけて……
【享吾視点】
挿入する前には、きちんとほぐした方が良い。と、ネットに書かれていた。でも、初めから突然入れても全然大丈夫だった、という書き込みも見つけてしまった。個人差があるということだろうか……
そうなるとやはり、初めての時は用心してきちんとほぐすべきだろう。以前、桜井も「初めての時は痛かった」と言っていたし……
それから、中を綺麗にしてからしたほうが良い。という話もネットに書かれていた。衛生面の問題に加え、シーツにその汚れがついてしまうことがある、ということも理由らしい。
でも、桜井はそれでシーツを汚したことは一度もなく(射精の汚れはあるそうだが)、「そっちを気にしたこと一度もない」そうだ。こちらも個人差、ということだろう。
とにかくあらゆることを考えて、初めてする場所は、浴室が良いだろう、という結論にいたった。でも、シャワー浣腸は、しない。ヘッドは購入してあるけれど、哲成の中に入り込む初めてのものが器具になるのは嫌だからだ。オレの手で綺麗にして、オレの手でほぐして、そして、オレの……
「キョウ……、顔がコワイ」
「え」
頭の中で妄想を繰り広げつつ、無言で哲成の着衣を剥がしていたら、哲成にボソッと言われ、我に返った。
コワイ?
「そう……か?」
「うん…………」
すいっと哲成の手が伸びてきて、こちらのワイシャツのボタンを外してくれる。
「もしかして……緊張してる?」
「まあ……そうだな」
「そうか」
「…………」
「…………」
微妙な沈黙の中、お互い全裸になった。哲成、もう兆してる……
「哲成……」
「…………っ」
触れるとビクッと哲成が震えた。もう何度も触れているのに、初めての時みたいな反応だ。
「お前も緊張してる?」
耳元でささやくと、「うるせっ」という文句と共に、後ろ手に風呂の扉を開けられた。
「風呂、入るんだろ? って、沸かしてないからシャワーだけどなっ」
「…………」
この言い方……。これから何されるか分かってないんだろうな……
そう思うと少々気まずいというかなんというか…………
動きが止まってしまったオレに、哲成がまっすぐ視線を向けてきた。
「覚悟ならできてるぞ」
「え」
オレの思考を読んだかのような発言に目を剥いてしまう。
「哲成……」
「でも、オレ、なんも知らねえから、お前に任せるからな」
「え」
任せるって、それは……
「前にも言っただろ? オレはお前に『してほしい』ばっかりだって」
「…………」
「だから…………」
するりと腰に手を回され、ピッタリと体がくっつく。
「お前がしたいように『してほしい』」
「哲成…………」
たまらなくなって、ぎゅっと抱きしめた。とてつもない幸福感………
でも………。
この幸福以上に、お前が、欲しい。
【哲成視点】
空っぽの浴槽のヘリに座った享吾の腿の上に跨がる形で座り、浴槽内のアームレストにかかとをつけて、しがみつくみたいに抱きつく。
あたりに漂うグリーンアップルの香り……
覚悟ならできてる、と言ったものの、未知のことに対する恐怖は消しようがない。…………が、
(………あれ?)
案外と、平気だ………
後ろに回された享吾の右手の指が侵入していることは分かるのだけれども、桜井にもらったグリーンアップルの匂いのするジェルのおかげか、特に痛みはない。あるのは、若干の異物感だけだ。
異物感というか……、正直に言うと、便意、みたいな……
「これさ……」
享吾の肩口に顔を埋めながら、小さく言ってみる。
「途中でクソしたくなったらどうすんだろう」
「…………。すればいいだろ」
「ここで!?」
それは無理だろ!
思わず叫ぶと、享吾は一瞬の間のあと、オレの腰に回した左腕に力を込めて、言った。
「そうしたら……このままトイレに連れていってやる」
「このまま?」
って、指突っ込んだまま?
「そんなことして途中で出……、!!」
突然の刺激に息をのんだ。
指の入ったところが、ぐわっと開かれて……
「出ないように、指増やして塞いでやる」
「…………っ」
ものすごい異物感。さっきまで「若干」だったのは、1本だけだったからなのか……っ
すがりつくように、背中に回した手に力をこめると、腹と腹の間に挟まった享吾のモノがズズズッと動いた。
(………完勃じゃん)
そうだ……こいつ、オレの下痢の処理しながら興奮した、とか言ってたっけ……
かといって、また漏らすつもりはないけど……
「キョウ……」
浴槽のヘリに片足を乗せて、さらに密着する。体を揺らして、下腹で擦ってやると、それに合わせるように、後ろの指が中で動きはじめて……
「哲成……」
「……っ」
耳元で熱っぽく名前を呼ばれ、ゾクゾクッとなる。
「……痛いか?」
「…………」
小さく首を振る。
痛くはない。痛さではなく、異物感と圧迫感と……
期待。
「キョウ……もう、入れる」
「え…………」
目を瞠った享吾にそっと口づける。
「こんなになってるお前のこと……直接感じたい」
「…………」
享吾の肩をつかみ、勢いをつけて、もう片方の足も浴槽のヘリに乗せる。
「……キョウ」
そのまま、享吾のモノの方へ腰を落と……そうとしたのだけれども、
「ちょっと待て」
両腰を掴まれ、止められた。
「40秒時間をくれ」
「は?」
40秒?
「何を……」
言いかけて……やめた。享吾が後ろに少し体を傾け、浴槽内から何かを取り出したのだ。その小さな袋……コンドームだ。こんなところに隠していたなんて気が付かなかった。いつの間に……
「お前、用意いいな……」
「…………」
つけるのに邪魔だろうと思って、一度、享吾の腿の上から下りてやる。享吾は黙々とコンドームを自分でつけると、グリーンアップルの匂いのジェルもその上に塗り付けた。
けれど……そこで動きが止まってしまった。
「何か……まぬけだな」
ボソッといった享吾。
「用意はいいけど、手際が悪いというか……」
「そんなこと……」
ない、とは言ってやれないけれど……
「逆に安心っつーか……これで手際よくサクサクやられたら、経験あるのかって疑って嫌な気持ちになってたと思う」
「ああ……なるほど」
そうか、と苦笑した享吾が、愛しくて愛しくて仕方がない。あえて明るく問いかけてやる。
「で? どうやってやる? 前に何かで見たやつは、後ろから突っ込んでたけど……」
「いや、さっきみたいにしたい」
妙にきっぱりと言う享吾。
「お前の顔見ながらしたいから」
「…………」
たぶん、ずっとそういうこと考えてたんだろうな……
いつでも享吾はオレのことが好きだ。ずっとずっと前から、少しも揺るぐことなく、オレのことだけを好きでいてくれている。
そんなことを思って心臓のあたりがキュッとなる。
「キョウ……」
「…………」
腰を引き寄せられ、さっきみたいに腿の上に座らさせられる。それから、浴槽のヘリに両足を乗せて一度腰をあげて……
「………っ」
享吾の誘導で、入り口部分に享吾のモノをあてがった。指とは比べ物にならない大きさだけど、本当に入るのか……?
「ゆっくり……」
「うん……」
二人して、その結合していく様子を凝視してしまう。
入っていく。享吾のものが、オレの中に入っていく……
「……哲成」
「うん」
オレの尻と享吾の腿がピッタリとくっついた。指とは比べ物にならない圧迫感だ。でも、想定外に、痛かったり、不快だったりはしない。オレの中で、はち切れんばかりになっている享吾のモノの熱さに感動を覚える……。
「入ったな……」
「そうだな……」
「…………」
「…………」
享吾が気遣うようにこちらをのぞきこんできた。
「痛くないか?」
「不思議と痛くはない……けど」
「けど?」
心配そうな享吾を安心させるために、ちゅっと音をたててキスしてやる。
「なんか、すげえ、腹の中がいっぱいって感じ」
「いっぱい?」
「オレの中、お前でいっぱいになったって感じで……嬉しい」
「…………哲成」
ぎゅううっと抱きしめられて、心の中もいっぱいになっていく。緊張と異物感で縮んでいたオレのモノも熱を帯びはじめる……。
「キョウ……」
享吾のモノがオレの中でビクビクと小さく震えている。刺激を求めて動かしたいはずなのに動き出す気配はない。オレに気を遣ってのことだろうから、こちらから提案してやる。
「キョウ、動いても大丈夫だぞ?」
「え………」
「…………」
「…………」
せっかく言ったのに、享吾、変な顔をして固まってしまった。おいおい……
「なんだよ。やりたくないのかよ?」
「…………」
「…………なんだよ」
「いや………」
「なんだよ?」
「いや………」
固まったままの享吾。モノは硬いままだから、快感は続いているはずだけど、こうも固まられると……。
言葉を継ごうとしたその時、
「ごめん」
「は?」
ごめん? って何?!
「何が……」
「気持ち良すぎて……」
「は?」
良すぎて?
「気持ち良すぎて……たぶん、ちょっと動かしたらイク」
「…………」
「だから……もう少しこのまま味わいたいというか……」
「…………」
「ダメか? これ、つらいか?」
「いや……大丈夫」
笑いそうになってしまったのを何とかこらえた。
ちょっと動かしたらイクって、中坊かよ……
(って、中学生の頃から、オレのこと好きだったんだもんな、お前)
そうだ。長い長い年月を越えて、ようやく繋がったオレたち……
「キョウ……」
「……ん」
キスをする。その頬を囲い、額を合わせる。
「キョウ……大好きだよ」
「哲成……」
愛してるよ。
ささやくように言うその声も昔から変わらない。
こうして、オレたちは一つになった。グリーンアップルの香りの漂う浴室の中で。
終
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…………長っ!
こんな自己満小話、最後までお読みくださり本当にありがとうございます!
頭でっかちな享吾と哲成らしい初体験、でございました。
やっぱり初めて物語っていいなあ。
慶と浩介の熟年夫婦のイチャイチャも良いですが、慣れない二人の物語もいいんだよなあ……
ということで、次は、前に書いた、慶の病院の事務の男の子の話(『~須藤友と友達の話前編・後編』)の続き?を書こうかなと思っております。
お時間ありましたらどうぞよろしくお願いいたします。