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BL小説・風のゆくえには~続々・ニつの円の位置関係〜眼鏡の話

2024年04月09日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 続々・2つの円の位置関係
登場人物

村上哲成(むらかみてつなり)
色白、眼鏡、身長159cm、某電機メーカー子会社勤務。
中学からの同級生・村上享吾と長い長い回り道した末に、ようやく一緒に住むことになったのが2019年夏のこと。

村上享吾(むらかみきょうご)
容姿端麗。人目を引くイケメン。身長178cm。会計事務所を個人経営している。
『風のゆくえには〜二つの円の位置関係』主人公2。


先週、上記二人が主人公の『二つの円の位置関係』3部作を延々と読んでいたら(自分で書いたものを自分で楽しむ地産地消)、今の哲成と享吾にどうしても会いたくなりまして。ということで久しぶりの哲成視点です。

享吾が哲成を見てため息をついている理由は、哲成が眼鏡を外さなくなったせい!と、桜井浩介に力説された哲成君。(2024年1月26日投稿『~眼鏡の話前編・後編』
試しに、眼鏡外してみることにしました。2024年1月のお話です。



【哲成視点】

『今日帰ったら、是非、眼鏡こうやって外してみて。絶対喜ぶよ!』

と、高校の同級生・桜井浩介に自信たっぷりに言われて、その恋人の渋谷慶(こいつとは小中高の同級生だ)にも、『やるだけやってみろよ?』と、言われたため、

(…………やってみるか)

 やるのはタダだし。何も損しないし。違っても桜井に文句言うだけだし。と、色々と頭に言い訳を並べながら帰宅した。

「ただいまー」
「おかえり」

 今日も仕事だった享吾は、遅い夕飯の最中だった。ダイニングテーブルで、タブレットを見ながら、駅前スーパーの値引きシールがついた弁当を食べている。

「渋谷と桜井、元気だったか?」
「うん。あいかわらずだった」

 カバンを置いて、手を洗って……

(いつも通りいつも通り……)

 なんとなく緊張してしまっているので、いつも通り、を心掛けながら、ソファに座る。
 チラリと見ると、享吾は仕事中なのか、タブレットから目を離す様子がないので、ちょっとホッとする。

(……で? スマホでもみるか)

 いつもしているように、ソファの肘掛けに頭を預けて寝っころがり、スマホを取り出した。
 遠近眼鏡のため、顔の前まで持ってくるとぼやける。腹にスマホを立てて置くとちょうどピントが合う。この体勢、腕が疲れなくて気に入ってるんだけど……

(で、眼鏡を外す、と)

 桜井の言っていた通りに、頭まで眼鏡を押しあげる。途端に視界がぼやけて何も見えなくなったので、スマホを顔の前まで持ってきた。

(こうすると良くみえるんだよな〜。老眼って不思議だよな〜)

 老眼になる前は、眼鏡をかけたままでも普通に見えていたのに、なんでこうなるんだろう?

(…………なんてことは置いておいて)

 これで享吾が喜ぶって?

 ふいっと、ダイニングテーブルにいる享吾を見たけれど……

 …………。

(しまった。なんも見えねー……)

 裸眼0.03なので、享吾の表情がまったく見えない……。というか、たぶん、タブレット見てて、オレが眼鏡外したことに気がついていないと思う。

(これじゃ、喜んでんだか何だかなんも分かんねーな)

 ま、いっか。と思って、スマホをみると、妹の梨華からLINEが入っていることに気がついた。

(えーと? 今度の日曜日、花梨を預かれって?)

 妹はうちを託児所扱いしている……。姪の花梨はもう小学生だからそんなに手はかからないけれど……。

(日曜……、キョウ、空いてるかな……)

 花梨は享吾にも懐いているので、三人で出かけることが多いのだ。そうすると、なぜか享吾が父親に間違えられる率が高い。

(キョウが父親だとしたら、オレは?)

 母親? なんてな……

(でも、同性カップルで子ども育ててる人たちもいるわけで……)

 そうしたら……

(二人とも父親ってことになるのかな?)

 いや、父親母親って括りもナンセンスだな。保護者ってことだな。

(実際、オレは梨華の保護者として……、ん?)

 ふ、と視線を感じて、スマホからダイニングに目線をうつす。と……

(…………)

 享吾がこっちを見てる……のは分かるけど、表情までは分からない。でも、なんか……ジッと見てる……よな。

「……何?」
「…………いや」

 立ち上がり、弁当の容器を持った享吾。食べ終わったらしい。

 キッチンに向かった享吾の後ろ姿に問いかける。

「なー、日曜日、花梨を預かれって梨華が言ってきてるんだけど、いいかー?」
「もちろん」

 カウンターキッチンの向こうから、声が聞こえてくる。

こないだ約束したケーキの食べ放題に行こう」
「おー、いいな」

 先日花梨が行きたいと言っていたのだ。中年男二人だとちょっと敷居が高いケーキの食べ放題も、子ども連れだと行きやすくていい。享吾も花梨と出かけることを楽しんでくれていることが嬉しい。

「じゃー、そう言っとくー」

 梨華あてに、了解の旨と、ケーキの食べ放題に連れていくことを返信し、腕を下ろしたところで、

「?」

 真横に享吾が立っていることに気がついた。ジッとこちらを見下ろしている。

「どうし……、っ」

 言いかけて、止めた。目尻のあたりに口唇が落ちてきたからだ。

「キョウ?」
「……哲成」

 今度は、おでこにキス。頭の上にのせていた眼鏡を勝手に取ってテーブルに置き、頭を撫でてきた。

「…………なんだよ?」

 享吾は膝立ちをしているので、眼鏡をしていなくても表情が分かる距離に顔がある。これは……

(嬉しそう……)

 普段はポーカーフェイスだが、時々こうして崩れる。これは……嬉しいの顔だ。

「いや……」

 享吾は『愛おしい』のこもった瞳で微笑むと、

「やっぱり可愛いな、と思って」
「…………え。何が」

 お、これは桜井説正解で、眼鏡してないことが可愛いってことか?
 と、思いつつ聞いてみると、享吾は意外なことを言った。

「哲成、眼鏡しないでスマホ見てるとき、ちょっと口尖らせるんだよな。それが可愛い」
「え」

 意識してなかった……

「画面を近づけるせいかもな。眼鏡の時はならないから」
「えー……知らなかった……」

 すーすー、と髪を撫でられるのが気持ちよくて思わず目をつむると、今度は口唇にキスがおりてきた。

「遠近にしてから、眼鏡外さなくなって、ちょっと残念だったから……」
「嬉しい?」

 答えの代わりに、もう一度キスされる。ふつふつと胸のあたりが温かくなってくる。

「じゃあ、時々は眼鏡外そうかな?」
「是非」
「…………ん」

 3度目のキスが深いものになってきたので、スマホを置いて、その大きな背中に手を回す。

「……キョウ」

 大好きだよ、の気持ちをこめて腕に力を入れると、

 愛してるよ

と、耳元で囁かれて、腰が砕けそうになる。

(あー、あとで二人に報告しないとだ……)

 快楽の波に飲まれる前に、チラリとそんなことを思った。

 若干の違いはあるものの、概ね桜井の説は正解だ。すげー。



---

お読みくださりありがとうございました!
えー、ラブラブや〜ん💕と嬉しくなっちゃいました✨
そんな感じで。哲成と享吾、幸せに暮らしてて安心しました✨

読みに来てくださった方、ランキングクリックしてくださった方、本当に本当にありがとうございます!また今度!!


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BL小説・風のゆくえには~続々・二つの円の位置関係追加3

2021年06月18日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 続々・2つの円の位置関係
今回、全面下ネタです。苦手な方ご注意ください。
お読みくださるという有り難い方、背後にお気をつけて……



【享吾視点】

 挿入する前には、きちんとほぐした方が良い。と、ネットに書かれていた。でも、初めから突然入れても全然大丈夫だった、という書き込みも見つけてしまった。個人差があるということだろうか……
 そうなるとやはり、初めての時は用心してきちんとほぐすべきだろう。以前、桜井も「初めての時は痛かった」と言っていたし……

 それから、中を綺麗にしてからしたほうが良い。という話もネットに書かれていた。衛生面の問題に加え、シーツにその汚れがついてしまうことがある、ということも理由らしい。
 でも、桜井はそれでシーツを汚したことは一度もなく(射精の汚れはあるそうだが)、「そっちを気にしたこと一度もない」そうだ。こちらも個人差、ということだろう。

 とにかくあらゆることを考えて、初めてする場所は、浴室が良いだろう、という結論にいたった。でも、シャワー浣腸は、しない。ヘッドは購入してあるけれど、哲成の中に入り込む初めてのものが器具になるのは嫌だからだ。オレの手で綺麗にして、オレの手でほぐして、そして、オレの……

「キョウ……、顔がコワイ」
「え」

 頭の中で妄想を繰り広げつつ、無言で哲成の着衣を剥がしていたら、哲成にボソッと言われ、我に返った。

 コワイ?

「そう……か?」
「うん…………」

 すいっと哲成の手が伸びてきて、こちらのワイシャツのボタンを外してくれる。

「もしかして……緊張してる?」
「まあ……そうだな」
「そうか」
「…………」
「…………」

 微妙な沈黙の中、お互い全裸になった。哲成、もう兆してる……

「哲成……」
「…………っ」

 触れるとビクッと哲成が震えた。もう何度も触れているのに、初めての時みたいな反応だ。

「お前も緊張してる?」

 耳元でささやくと、「うるせっ」という文句と共に、後ろ手に風呂の扉を開けられた。

「風呂、入るんだろ? って、沸かしてないからシャワーだけどなっ」
「…………」

 この言い方……。これから何されるか分かってないんだろうな……

 そう思うと少々気まずいというかなんというか…………

 動きが止まってしまったオレに、哲成がまっすぐ視線を向けてきた。

「覚悟ならできてるぞ」
「え」

 オレの思考を読んだかのような発言に目を剥いてしまう。

「哲成……」
「でも、オレ、なんも知らねえから、お前に任せるからな」
「え」

 任せるって、それは……

「前にも言っただろ? オレはお前に『してほしい』ばっかりだって」
「…………」
「だから…………」

 するりと腰に手を回され、ピッタリと体がくっつく。

お前がしたいように『してほしい』」
「哲成…………」

 たまらなくなって、ぎゅっと抱きしめた。とてつもない幸福感………

 でも………。
 この幸福以上に、お前が、欲しい。




【哲成視点】


 空っぽの浴槽のヘリに座った享吾の腿の上に跨がる形で座り、浴槽内のアームレストにかかとをつけて、しがみつくみたいに抱きつく。

 あたりに漂うグリーンアップルの香り……

 覚悟ならできてる、と言ったものの、未知のことに対する恐怖は消しようがない。…………が、

(………あれ?)

 案外と、平気だ………

 後ろに回された享吾の右手の指が侵入していることは分かるのだけれども、桜井にもらったグリーンアップルの匂いのするジェルのおかげか、特に痛みはない。あるのは、若干の異物感だけだ。

 異物感というか……、正直に言うと、便意、みたいな……

「これさ……」

 享吾の肩口に顔を埋めながら、小さく言ってみる。

「途中でクソしたくなったらどうすんだろう」
「…………。すればいいだろ」
「ここで!?」

 それは無理だろ! 

 思わず叫ぶと、享吾は一瞬の間のあと、オレの腰に回した左腕に力を込めて、言った。

「そうしたら……このままトイレに連れていってやる」
「このまま?」

 って、指突っ込んだまま?

「そんなことして途中で出……、!!」

 突然の刺激に息をのんだ。
 指の入ったところが、ぐわっと開かれて……

「出ないように、指増やして塞いでやる」
「…………っ」

 ものすごい異物感。さっきまで「若干」だったのは、1本だけだったからなのか……っ

 すがりつくように、背中に回した手に力をこめると、腹と腹の間に挟まった享吾のモノがズズズッと動いた。

(………完勃じゃん)

 そうだ……こいつ、オレの下痢の処理しながら興奮した、とか言ってたっけ……

 かといって、また漏らすつもりはないけど……

「キョウ……」

 浴槽のヘリに片足を乗せて、さらに密着する。体を揺らして、下腹で擦ってやると、それに合わせるように、後ろの指が中で動きはじめて……

「哲成……」
「……っ」

 耳元で熱っぽく名前を呼ばれ、ゾクゾクッとなる。

「……痛いか?」
「…………」

 小さく首を振る。
 痛くはない。痛さではなく、異物感と圧迫感と……

 期待。

「キョウ……もう、入れる」
「え…………」

 目を瞠った享吾にそっと口づける。

「こんなになってるお前のこと……直接感じたい」
「…………」

 享吾の肩をつかみ、勢いをつけて、もう片方の足も浴槽のヘリに乗せる。

「……キョウ」

 そのまま、享吾のモノの方へ腰を落と……そうとしたのだけれども、

「ちょっと待て」

 両腰を掴まれ、止められた。

「40秒時間をくれ」
「は?」

 40秒?

「何を……」

 言いかけて……やめた。享吾が後ろに少し体を傾け、浴槽内から何かを取り出したのだ。その小さな袋……コンドームだ。こんなところに隠していたなんて気が付かなかった。いつの間に……

「お前、用意いいな……」
「…………」

 つけるのに邪魔だろうと思って、一度、享吾の腿の上から下りてやる。享吾は黙々とコンドームを自分でつけると、グリーンアップルの匂いのジェルもその上に塗り付けた。

 けれど……そこで動きが止まってしまった。

「何か……まぬけだな」

 ボソッといった享吾。

「用意はいいけど、手際が悪いというか……」
「そんなこと……」

 ない、とは言ってやれないけれど……

「逆に安心っつーか……これで手際よくサクサクやられたら、経験あるのかって疑って嫌な気持ちになってたと思う」
「ああ……なるほど」

 そうか、と苦笑した享吾が、愛しくて愛しくて仕方がない。あえて明るく問いかけてやる。 
 
「で? どうやってやる? 前に何かで見たやつは、後ろから突っ込んでたけど……」
「いや、さっきみたいにしたい」

 妙にきっぱりと言う享吾。

「お前の顔見ながらしたいから」
「…………」

 たぶん、ずっとそういうこと考えてたんだろうな……
 いつでも享吾はオレのことが好きだ。ずっとずっと前から、少しも揺るぐことなく、オレのことだけを好きでいてくれている。
 そんなことを思って心臓のあたりがキュッとなる。

「キョウ……」
「…………」

 腰を引き寄せられ、さっきみたいに腿の上に座らさせられる。それから、浴槽のヘリに両足を乗せて一度腰をあげて……

「………っ」

 享吾の誘導で、入り口部分に享吾のモノをあてがった。指とは比べ物にならない大きさだけど、本当に入るのか……?

「ゆっくり……」
「うん……」

 二人して、その結合していく様子を凝視してしまう。
 入っていく。享吾のものが、オレの中に入っていく……

「……哲成」
「うん」

 オレの尻と享吾の腿がピッタリとくっついた。指とは比べ物にならない圧迫感だ。でも、想定外に、痛かったり、不快だったりはしない。オレの中で、はち切れんばかりになっている享吾のモノの熱さに感動を覚える……。

「入ったな……」
「そうだな……」
「…………」
「…………」

 享吾が気遣うようにこちらをのぞきこんできた。

「痛くないか?」
「不思議と痛くはない……けど」
「けど?」

 心配そうな享吾を安心させるために、ちゅっと音をたててキスしてやる。

「なんか、すげえ、腹の中がいっぱいって感じ」
「いっぱい?」
「オレの中、お前でいっぱいになったって感じで……嬉しい」
「…………哲成」

 ぎゅううっと抱きしめられて、心の中もいっぱいになっていく。緊張と異物感で縮んでいたオレのモノも熱を帯びはじめる……。

「キョウ……」

 享吾のモノがオレの中でビクビクと小さく震えている。刺激を求めて動かしたいはずなのに動き出す気配はない。オレに気を遣ってのことだろうから、こちらから提案してやる。

「キョウ、動いても大丈夫だぞ?」
「え………」
「…………」
「…………」

 せっかく言ったのに、享吾、変な顔をして固まってしまった。おいおい……

「なんだよ。やりたくないのかよ?」
「…………」
「…………なんだよ」
「いや………」
「なんだよ?」
「いや………」

 固まったままの享吾。モノは硬いままだから、快感は続いているはずだけど、こうも固まられると……。
 言葉を継ごうとしたその時、

「ごめん」
「は?」

 ごめん? って何?!

「何が……」
「気持ち良すぎて……」
「は?」

 良すぎて?

「気持ち良すぎて……たぶん、ちょっと動かしたらイク」
「…………」
「だから……もう少しこのまま味わいたいというか……」
「…………」
「ダメか? これ、つらいか?」
「いや……大丈夫」

 笑いそうになってしまったのを何とかこらえた。

 ちょっと動かしたらイクって、中坊かよ……

(って、中学生の頃から、オレのこと好きだったんだもんな、お前)

 そうだ。長い長い年月を越えて、ようやく繋がったオレたち……

「キョウ……」
「……ん」

 キスをする。その頬を囲い、額を合わせる。

「キョウ……大好きだよ」
「哲成……」

 愛してるよ。

 ささやくように言うその声も昔から変わらない。


 こうして、オレたちは一つになった。グリーンアップルの香りの漂う浴室の中で。 







------


…………長っ!
こんな自己満小話、最後までお読みくださり本当にありがとうございます!
頭でっかちな享吾と哲成らしい初体験、でございました。

やっぱり初めて物語っていいなあ。
慶と浩介の熟年夫婦のイチャイチャも良いですが、慣れない二人の物語もいいんだよなあ……

ということで、次は、前に書いた、慶の病院の事務の男の子の話(『~須藤友と友達の話前編後編』)の続き?を書こうかなと思っております。
お時間ありましたらどうぞよろしくお願いいたします。

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BL小説・風のゆくえには~続々・二つの円の位置関係追加2

2021年05月28日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 続々・2つの円の位置関係
【哲成視点】

『セックスって、愛を確かめ合うためにするものじゃない? おれ達はしても子供が出来るわけでもないから、余計に、純粋に、そのためだけにするわけでしょ?』
『だから、お互いの愛が伝わることが一番重要で』
『だから、この形じゃないとダメってことは絶対なくて』
『愛の形はそれぞれだから』

 2ヶ月前、挿入行為にまで行き着いていないオレたちに対して、桜井は、とても幸せそうにそう言ったのだ。
 だからオレたちは、二人で決めた。

「ゆっくりでいいよな?」

 これからは毎日一緒にいられる。だから、何も急ぐことはない。オレ達のペースでオレ達らしく、繋がっていければいい、と……

(でも、正直、「そろそろ……」って思わないでもなかったんだよなあ……)

 最近、夜の「イチャイチャ」のたびに、(今日こそは……?)という緊張感が走っていたというかなんというか……

 でも、ここ一週間、妙に享吾がよそよそしくなって、「イチャイチャ」もなくなって……

(やっぱり、あの嘔吐下痢が原因だと思うんだよなあ……)

 一週間ほど前、飲み会で食べた貝が原因で、帰宅後、嘔吐下痢症状が出て、その後始末を享吾にやらせてしまったのだ。よそよそしくなった時期と一致する出来事はそれくらいしかない。

(それで、汚い、触りたくない、みたいな……)

 でも今日、渋谷と桜井のうちに来ていたオレを、すぐに迎えにきてくれた。一緒にいるのが嫌だったらそんなことしないよな……?

「…………なんだ?」

 運転する横顔をずっと見つめていたら、享吾がこちらを見ずに問いかけてきた。

「あー……いや」

 まさか、「なんでイチャイチャしねーんだ?」なんて聞くわけにもいかず、適当に話を誤魔化す。

「メシ、食ったのかなー?と思って」
「ああ……トオルさんちでご馳走になった」
「トオルさん?」

 トオルさんというのは、享吾夫妻が経営するワインバーの常連さんだ。

(…………仕事って言ったくせに)

 思わずムッとしたことに気が付いたのか、享吾が「今日の仕事、トオルさんに紹介してもらったんだよ」と、言葉を足した。

「話まとまったから礼を言いにいったら、奥さんがすでにオレの分のメシも作ってくれてて」
「……ふーん」

 淀みない言葉。これがウソだったら、もう何も信じられない。

 何も言い返せずに黙っていたら、享吾が小さくため息をついて、言葉を継いだ。

日曜なのに仕事入れたことを怒ってるのか?」
「え」

 怒ってる?

「別に怒ってなんか……」
「怒ってるだろ」
「怒ってねーよ」
「怒ってるって、桜井が」
「は?」

 桜井?

「何で桜井……」
「ラインで言ってた」
「なんて?」

 聞くと、享吾は「あー……」と言ってから、小さく付け足した。

「詳しくは忘れた」
「…………」

 忘れたって何だよ!言いたくねーだけだろ!

「…………思い出せよ」
「…………」

 言ってるのに、真っ直ぐ前を向いたままの享吾。答える気がないことに余計イライラが募る。

 ……もういい。そっちがその気なら、桜井に電話して聞いてやる。

 そう思って、後ろポケットからスマホを取り出した、が。

「待て」

 何も言っていないのに、オレの行動の意図を察したらしい享吾に、ポンと腕を叩かれた。

帰ったら画面確認する」
…………」

 なんか……お見通しって感じでムカつく。

 お見通しって感じで…………、安心する。


***


 家に帰って早々にスマホの画面を見せてもらった。
 桜井とのラインのやり取りの最新画面は、

『日曜日なのにお仕事お疲れ様です』
『今、村上がうちに来てるよ』
『なんか落ち込んでるよ』
『終わったら、迎えにきてあげたら?』

という桜井からのメッセージに対して、

『わかった』

という享吾からの返事で終わっていた。

 それはいいんだけど……
 そのやり取りの前の、今日より前に送られてきたらしい『頑張って』『連絡まってまーす』ってスタンプはなんだ?

「これ……なんだ?」
「ああ、怒ってる、じゃなくて、落ち込んでる、だったか」
「じゃなくて」

 ソファに並んで座っている距離を縮めて、肘で小突いてやる。

「この『連絡まってまーす』ってスタンプだよ。お前と桜井ってこんなやり取りするほど仲良かったっけ? 『頑張って』って……」
「それは……」

 享吾は「あー……」とまた息を吐き出すと、

「一昨日、桜井に聞きたいことがあって連絡したんだよ」
「聞きたいこと?」
「……………」

 享吾の長い指がスルスルと画面を滑っていく。しばらく滑ったあと……

「これ」

 すっとスマホを渡された。日にちは一昨日。内容は……

『色々調べたけれど、凹凸の凹に塗るパターンと凸に塗るパターンがある。どっちが正解なんだ?』

って、挿入の際に使用する潤滑ジェルのことを享吾が桜井に聞いてる!!

「これ……なんで!?」
「なんでって?」
「なんでこんなこと聞いてる!?」
「それは………」

 享吾は一瞬詰まったあと、

「そろそろちゃんとしたいって思ったから」

 さらり、と言ってのけた。
 でも、おかしい。付き合いが長いから分かる。この「さらり」は裏に何かがある「さらり」だ。

「キョウ…………何を隠してる?」
「何も……」
「隠してる、だろ」

 ずいっとさらに顔を近づけると、戸惑ったように目をそらされた。ほら!やっぱり!

「もしかして………」

 その目のそらされ方に見覚えがあってさっと血の気が引く。

「……やっぱり、あれが原因か?」
「あれって……」
「オレが下痢してその後始末させたことだよ!」
「!」

 はっとしたようにこちらを見た享吾。

 やっぱり正解かよ!

 あの時……享吾はオレの足を拭きながら目をそらした。やっぱり……やっぱり!

お前が冷たくなったのってそのころからだもんな?」
「それは……」
「汚いから触りたくないとか思ってんだろ? それ打開するために、そんなこと桜井に相談……、って!」

 いきなり、抱きすくめられて息が止まる。

 キョウ………っ

「…………哲成」

 優しい声が耳元からして、力が抜けてしまう。オレを蕩けさせる声……。

「違うから。全然違うから」
「何が……」
「…………」
「…………」

 しばらくの沈黙の後、享吾はボソッと言った。

「引かれるから言いたくない」
「…………。は?」

 甘い気持ちを断ち切る拒否の言葉に、ベリっと体を離す。

「何だよ?教えろよ」
「…………教えない」
「はああああ!?」

 意味分かんねえなあ!

「教えろよ!」
「嫌だ」
「何で!」
「引かれるから」
「引かねーよ!」
「いや、絶対引く」
「だーかーらー」

 なんか面倒くせえなあ!!

「引かねーから言え!そうじゃないとオレ、ずっとお前がオレのこと汚いって思ってるって思うだろ!」
「それは…………」

 グッと詰まった享吾。

 今日何度目かの沈黙の後………

「…………引くなよ?」

 ダメ押しで、もう一度そう言ってから、享吾は、ぼそり、と付け足した。

「オレ…………、下痢垂れ流してるお前に興奮したんだよ」
「…………」
「…………」
「…………」

 ……………は?

「それで……やりたくて色々調べて……分からないことを桜井に聞いた」

 ……………え。

「……………え?」

 …………。
 …………。
 …………。

「え、えええええええ!!!」

 そ、それは……っ
 想定外過ぎる………っ

「…………。だから言いたくなかったんだよ」

 苦々しくいった享吾は、いまだかつて見たことがない「ムッ」とした顔をしている。

「じゃ、最近冷たかったのは……」
「触れたら歯止めがきかなくなりそうだったからだ」

 ムッとしたまま、享吾は立ち上がると……

「哲成……、これだけ言わせたんだから、覚悟できてるんだろうな」
「え」
「とりあえず、風呂いくぞ」
「え……え、え、え?」

 腕を取られ、無理やり立ち上がらさせられる。

「キョウ……っ」
「哲成」
「!」

 コツンと落ちてきたおでこ。
 そして……ささやくように、言われた。

「お前が、欲しい」
「…………っ」

 昔と変わらない、そんなセリフを聞かされたら……

 もう、肯くしかない。



3に続く。

------

お読みくださりありがとうございました!
更新していないのに様子を見に来てくださっていた有難い方、本当に本当に本当にありがとうございます!!

コロナ禍で家族の在宅勤務が増えたため、パソコンの前に座れない日々が続いております(私はシフト制のため、土日関係なしの在宅無しです)。
スマホで書くことにもだいぶ慣れてはきたのですが、やっぱり、こう……気持ちが乗って、バーッと書きたい時にスマホだとモタモタしすぎて、その波に乗り切れないというか……今の子はパソコンよりスマホ打つ方が早かったりするけれど、昭和生まれの私はやっぱりまだまだパソコンです。
なので、家族がいないすきに核となるセリフだけガーッとパソコンでうち、あとはスマホで書き足し書き足し推敲推敲………
なんとか5月最終金曜日に間に合いました。
次こそは初エッチかな……頑張って!

と、いうことで、次回も6月中には…………
お時間ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします!

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BL小説・風のゆくえには~続々・二つの円の位置関係追加1

2021年04月23日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 続々・2つの円の位置関係
登場人物

村上哲成(むらかみてつなり)
色白、眼鏡、身長159cm、某電機メーカー子会社勤務。
中学からの同級生・村上享吾と長い長い回り道した末、ようやく一緒に住むことになった。は、いいけれど……

村上享吾(むらかみきょうご)
容姿端麗。人目を引くイケメン。身長178cm。会計事務所を開業したばかり。
ずーっと思いを寄せていた哲成とついに……ということで、積もりに積もったものがあるのですが……

渋谷慶(しぶやけい)
小児科医。中性的で美しい容姿に反して性格は男らしい。身長164cm。
哲成とは小・中・高と同じ学校。
『風のゆくえには』本編主人公1。

桜井浩介(さくらいこうすけ)
フリースクール教師。慶の親友兼恋人。現在慶と同棲中。身長177cm。
『風のゆくえには』本編主人公2。

2019年10月中旬のお話。



【慶視点】

 小学校中学校高校、と同じ学校だった村上哲成・通称テツが突然うちにやってきたのは、日曜日の夕方のことだった。

「享吾は?」

 聞くと、テツは「知らね」とムッとして言ったので、浩介と顔を合わせてしまう。

(ケンカでもしたのか?)

 二人が長い長い親友時代を経て、ようやく「恋人」として暮らし始めたのは、2ヶ月ほど前のことだ。

(3のつく期間は、何とかっていうもんな……。3ヶ月目の……)

 なんて余計な詮索はせず、「まあ、飯でも食ってけ」と、誘うと、テツは仏頂面で「サーンキュ」と言った。

(その言い方、ガキの頃から変わんねえな)

 ふっと、顔までも子どもの頃とダブる。昔に戻ったみたいで、懐かしい。

***

 浩介の旨い飯を食わせながら、酒をすすめたら、テツはアッサリと今日きた理由も話しだした。

 ようは最近、享吾が素っ気ない、という愚痴を言いに来た、ということだ。

「おれ、呆れられたのかもしれない」
「なにを今更……」

 テツの言葉にこそ、呆れてしまう。呆れる、だなんて今更だろう。何年一緒にいるんだ。

「何か思いあたることがあるのか?」

 ズバリ問いかけると、テツは、あーとかうーとか言ってから、観念したようにうなずいた。

「あるといえばある……」
「なんだ?」
「あー……」

 人に話す話じゃねえんだけど……、とボソボソと話しだした話を要約すると……

 ようは、一週間ほど前、飲み会で出た貝にあたったらしく、帰宅後、ひどい嘔吐と下痢に見舞われ、享吾にその介抱をしてもらった、ということだ。

「別にそのくらいのことで……」
「そのくらいってさ!」

 こちらの言葉にかぶせて、テツが悲観的に叫んだ。

「吐いただけならともかく、漏らした下痢の処理もだからな!? 普通引くだろ!」
「え、別に引かないでしょ」

 食器を下げるために台所とダイニングテーブルを行き来している浩介が、キョトンとして答えた。

おれ全然する。喜んでする。むしろそんな慶を……痛っ!」
「………」

 嬉しそうな浩介の足を軽く蹴って、変な発言をやめさせる。何を言う気だお前は。

 でも、まあ、意見は同じだ。

「おれもそんなことで呆れたりしないと思うぞ?」
「えー……じゃあ、オレがあまりにも、朝メシ食えって言うからとか?」
「なんだそりゃ」

 これも詳しく聞いたところ、「朝はコーヒーだけでいい」という享吾に対し、テツは何かにつけて朝食をすすめているそうで……でもそれは、今にはじまった話ではないらしい。

「じゃあ関係ねえだろ」
「えー……じゃあ……」

 テツはうーといいながら身を折りかけてから、「まさか!」とハッとしたように叫んだ。

「『あきれた』じゃなくて『あきた』とか!?」
「んなわけあるか」

 まだ付き合い始めたばっかだろ。

 言うと、テツは「でも……」と、下を向いてしまった。

「………。享吾と、この話したのか?」
「してない」

 テツが下を向いたまま続ける。
 
「今日は休みだからゆっくり話しようと思ったのに、仕事が入ったって言って出ていったきり帰ってこないし……」
「そうか……」

 それでたまらずうちに来たってわけか。

 沈黙が続く中、

「でも、村上……」

 浩介が何かを言いかけた。

 が、

「あ、えと、お茶入れるね」

 食器を持って、また台所に行ってしまった。

 何だ?

 とは思ったけれど、とりあえず場を繋ぐ。

「享吾、日曜まで仕事なんて忙しいな」
「…………本当に仕事かどうかなんて、嘘つかれたら分かんないけどな」
「テツ……」

 そこは信じてやれよ……

「まあ……とにかく、ちゃんと話せよ?」

 余計なことは言わず、それだけに留めると、テツはコックリとうなずいた。

***

 テツが「ちょっと酔冷まし……」と、ベランダに出ていったところで、浩介がソソソっとおれの隣にくっついてきた。

「あの……慶」
さっき言いかけた話か?」
「…………うん」

 コッソリと、こちらに向けられたスマホの画面には、ラインのやり取りが。相手は……

「享吾?」
「うん。一昨日の夜に送られてきたの。この内容からして『飽きた』とかは、絶対にないと思ったんだけど、本人に言うのは何かなと思って……」
「ええと……? って、は!?」

 思わず叫んでしまってから、慌てて口を閉じる。

 な、なんなんだ!この内容!!

「お……お前っ、こんな……っ」
「って、嫌がると思ったから、言ってなかったんだけどさー」

 えへへ……と笑った浩介にスマホを押し付け返す。

「え、もう読み終わったの?」
「終わってないけどいい!」

 読んでられるか!

 そこには、夜の営みの際に使用する潤滑ジェルの使い方の話が繰り広げられていて……

 享吾からのメッセージには、

『色々調べたけれど、凹凸の凹に塗るパターンと凸に塗るパターンがある。どっちが正解なんだ?』

って! んなことラインで真面目に聞いてくるなー!!

『どっちが正解とかないよ。どっちでも大丈夫だよ。凹側の場合の注意点は……』

って、浩介! 真面目に解説するなー!!

「……お前、まさか具体例を出したり……」
「してないしてない。あくまで一般論的に返答しただけ!」

 浩介はスクロールしながら、機嫌良く言葉を足した。

「凹凸の凹とか凸とかって言い方面白いよね。うちもこれから使おう」
使うって使う機会ないだろ」
「んーじゃあ、今、使う」

 浩介、ヘラヘラしながら言葉を続けた。

「うちは、凸に塗るパターンが多いよね」
「…………」
「なぜなら慶が凹を指で触られるの好きじゃないから……って痛い痛い痛いっ」
「…………」

 アホな返答に無言で蹴りを入れているところに、テツがベランダから戻ってきた。変な顔をしている。

「なあ、もしかして、キョウに連絡した?」
「あ、うん」

 浩介がコクコクうなずいた。

「ごめん、余計なことかなと思ったけど……村上、もう着いたんだ?」
「うん。今、車から降りて……」

 言いかけたところでインターフォンがなった。画面の向こうには、当然、享吾の姿がある。

「おー、享吾。上がって飯食ってけ」

 返答しながら、解錠ボタンを押してエントランスに通じるドアを開けたけれど、

『いや、いい』

 相変わらずの涼しげなイケメンは、軽くこちらを手で制すると、

『車で待ってる』

 ボソッとそれだけ言って、画面から消えてしまった。

「…………。だってよ」
「村上、頑張って!」

 浩介の声掛けに、テツはあーともうーとも言えない呻き声をあげた。

「何を頑張るんだよー」
「そりゃもちろん、ジェ……って!」
「とにかく!」

 浩介が変なことを口走る前に軽く小突いて言葉をかぶせる。

「とにかく、享吾とちゃんと話せ! 素っ気ないってのはお前の思い過ごしだと思うけどな!」
「えー……」

 分かった……

 テツは大きくため息をつきながら、なんとかうなずいた。

***

 翌日の夜、テツからラインがきた。

『昨日はサンキューな。桜井にもくれぐれも礼を言っといて、だって』

 …………。

 なんだそりゃ。

「上手くいったってことかな」
「……さあな」

 くれぐれも礼ってことは、浩介のアドバイスが役立ったってことだろうから、上手くいったんだろうけど……んなこと知りたくもない。

「じゃあ、うちも……」

 すいっと、浩介が腰に手を回してきながら、耳元に唇を寄せてきた。

「慶、明日休みだし……」
「…………」
今日はじっくりと凹凸の凹に……」
「…………アホか」

 呆れて言うと、笑いながら耳にキスされた。



次回は哲成視点。

------

お読みくださりありがとうございました!

コロナ前の話なのでイチャイチャに制限なしです。早くこういう日常が戻ってきてほしい……。

と、いうことで、後編は哲成視点になります。5月中にはあげるつもりですっ。
お時間ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします!

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BL小説・風のゆくえには~続々・2つの円の位置関係 目次・登場人物・あらすじ

2019年09月10日 08時00分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 続々・2つの円の位置関係
(2019年5月7日に書いた記事ですが、カテゴリーで「続々・2つの円の位置関係」のはじめに表示させるために2019年9月10日に投稿日を操作しました)

目次↓

1(享吾視点)
2(哲成視点)
3-1(哲成視点)
3-2(哲成視点)
4(享吾視点→哲成視点)
5(哲成視点)
6(哲成視点)
7(享吾視点)
8(享吾視点→歌子視点)
9(哲成視点)
10(享吾視点→哲成視点)
11(哲成視点)
12(享吾視点)
13(哲成視点→享吾視点)
14(享吾視点)
15の裏話(浩介視点)
15-1(哲成視点)
15-2(哲成視点)
16(哲成視点)
17(享吾視点)
18(哲成視点)
19(享吾視点)
20-1(享吾視点)
20-2(哲成視点)
21(享吾視点)
22の前(慶視点)
22-1(享吾視点)
22-2(哲成視点)
23(享吾視点→哲成視点)
24(享吾視点)
25(哲成視点→享吾視点)
26(哲成視点)
27(享吾視点)
28・完(享吾視点)
追加のおまけ(慶視点)

その後の話
追加3(享吾視点→哲成視点)

人物紹介↓


主人公1・村上享吾(むらかみきょうご)

公認会計士の資格を大学在学中に取得。
卒業後、某監査法人で働いていたが、2年半前に退職。現在はワインバーのオーナーをしている……ことになっている。
容姿端麗。人目を引くイケメン。身長178cm。


主人公2・村上哲成(むらかみてつなり)

大学卒業後、某電機メーカーに就職。
3年ほど前に、海外赴任を希望。それ以来、亨吾とは連絡を取っていない。
色白、眼鏡。身長159cm。


村上歌子(むらかみうたこ)旧姓・笹井
亨吾の妻。亨吾より一つ年上。
現在、自宅でピアノ教室の先生をしている。
スタイルの良い美人。身長168cm。


斉藤健一(さいとうけんいち)
亨吾と哲成の高校の同級生。元バスケ部。
慶と浩介とは高2の時に仲が良くなり、現在も友人関係が続いている。
明るく社交的。身長170cm。

山崎卓也(やまざきたくや)
享吾と哲成の高校の同級生。元鉄道研究部。
享吾と哲成とは、高3の時に同じクラスだった。
慶と浩介とは高2の時に仲が良くなり、現在も友人関係が続いている。
大人しく控えめな性格。身長172センチ。


渋谷慶(しぶやけい)
小児科医。中性的で美しい容姿に反して性格は男らしい。身長164cm。
哲成とは小・中・高と同じ学校。
『風のゆくえには』本編主人公1。

桜井浩介(さくらいこうすけ)
フリースクール教師。慶の親友兼恋人。現在慶と同棲中。身長177cm。
『風のゆくえには』本編主人公2。




あらすじ

「一生一緒にいるために、もう二度と、好きだとは言わない」

 そう大学2年生の時に約束した亨吾と哲成。その言葉通り、それから約21年もの間、表向きは『親友』の関係を続けてきた。

 しかし、あることをきっかけに、哲成が亨吾と離れる選択をし……

 それから約3年。偶然の再会により、二つの円は再び近づいていく。


 大人になったからこそ、今の時代になったからこそ、選べる選択肢がある、はず。

 そんな二人の物語。



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お読みくださりありがとうございました!

『2つの円の位置関係』は、彼らが中学生の時の物語。高校生の私が書いたノートを元に書きました。

『続・2つの円の位置関係』は、彼らが高校生・大学生の時の物語。19歳の私が書いたノートを元に書きました。

今回の『続々・2つの円の位置関係』は、大人になった彼らの物語。大人の私が一から書きます。

あ、でも、亨吾と歌子が将来結婚するってことは、20歳の私がメモに書いていたので、そこは尊重しました。


何も特別な大事件も起こらない、平平凡凡な物語ですが、「友達の友達の友達の話」くらいのノリでお付き合いいただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。


読みにきてくださった方、ランキングクリックしてくださった方、本当にありがとうございます!
おかげさまで続編の続編に着手する勇気を持つことができました。
よろしければ、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


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