「私、思ったんですけど、誰かが下から見ている必要があるのかもしれません。私が昔見た高校生も、私と目があったときに柿を投げてきたんです。和也君もおばさんに見られてからボールを投げてる。たぶん緑澤君も和也君に外からみられたんでしょう」
「あ、ええ、和也もそういっていたわ」
鼻をすすりながらおばさんがいう。
「じゃあ、私、一回外にでるから、あなたボールを投げてくれる?」
おばさんが急いで外に向かう。その様子に自分の母親の姿と重なる。
果たして私がこういう目にあったときに、母は涙を流してくれるのだろうか。助け出そうとしてくれるのだろうか。・・・きっと、幼い息子(私の父親違いの弟だ)を気遣って、自分の命までは投げ出せないだろうな。父も同じだ。萌を残すことを考えたらできないだろう。そう思うと気分が落ち込んでくる。
『七重、きてくれたのね』
「!」
ギョッとした。あの声がどこかから聞こえてきた。
『赤い物を投げて』
窓の外を見てみる。うつろな目をした緑澤君のお母さんが立っている。それを見てはっとした。昔見た高校生もこんなうつろな目をしていた。そして、当時の私も・・・。
今の私もこんな目をしているのだろうか? 緑澤君も和也も? 同じ目をしたものと見つめあったときに扉が開くのか?
『赤い物を投げて』
言われるまま、赤いボールをおばさんの足元に向かって投げつける。
すると・・・
「夢と一緒だ・・・」
大きな扉が窓の外に忽然と現れた。あたりはまぶしいほどに光っていて、扉を直視することができない。
「まあ・・・っ」
部屋に戻ってきたおばさんが、感嘆ともいえる悲鳴をあげた。
「本当だったのね。本当に扉が現れたわ!」
「これ、外からは?」
「見えなかったわよ。何も」
では、この部屋からだけ見える扉なのか?
『呪文を唱えて、呪文を唱えて』
またあの声が聞こえてきた。扉の方から聞こえてくるようだ。
私はおばさんにうなずきかけ、思い切ってその言葉を言い放った。
「ベベアン、ベベアン!」
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ここまでお読みくださった方々、本当にありがとうございます。
ワードに書いてそれをブログにアップするという形をとっているのですが、
ついにブログに追いつかれてしまいました
今、ちょっと抱えている仕事がありまして・・・。
それが落ち着いたら続きをアップさせていただきます。
できれば来月には再開したいと思っています。
それまでどうかお見捨てなきよう、よろしくお願いいたします。
尚
「あ、ええ、和也もそういっていたわ」
鼻をすすりながらおばさんがいう。
「じゃあ、私、一回外にでるから、あなたボールを投げてくれる?」
おばさんが急いで外に向かう。その様子に自分の母親の姿と重なる。
果たして私がこういう目にあったときに、母は涙を流してくれるのだろうか。助け出そうとしてくれるのだろうか。・・・きっと、幼い息子(私の父親違いの弟だ)を気遣って、自分の命までは投げ出せないだろうな。父も同じだ。萌を残すことを考えたらできないだろう。そう思うと気分が落ち込んでくる。
『七重、きてくれたのね』
「!」
ギョッとした。あの声がどこかから聞こえてきた。
『赤い物を投げて』
窓の外を見てみる。うつろな目をした緑澤君のお母さんが立っている。それを見てはっとした。昔見た高校生もこんなうつろな目をしていた。そして、当時の私も・・・。
今の私もこんな目をしているのだろうか? 緑澤君も和也も? 同じ目をしたものと見つめあったときに扉が開くのか?
『赤い物を投げて』
言われるまま、赤いボールをおばさんの足元に向かって投げつける。
すると・・・
「夢と一緒だ・・・」
大きな扉が窓の外に忽然と現れた。あたりはまぶしいほどに光っていて、扉を直視することができない。
「まあ・・・っ」
部屋に戻ってきたおばさんが、感嘆ともいえる悲鳴をあげた。
「本当だったのね。本当に扉が現れたわ!」
「これ、外からは?」
「見えなかったわよ。何も」
では、この部屋からだけ見える扉なのか?
『呪文を唱えて、呪文を唱えて』
またあの声が聞こえてきた。扉の方から聞こえてくるようだ。
私はおばさんにうなずきかけ、思い切ってその言葉を言い放った。
「ベベアン、ベベアン!」
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ここまでお読みくださった方々、本当にありがとうございます。
ワードに書いてそれをブログにアップするという形をとっているのですが、
ついにブログに追いつかれてしまいました
今、ちょっと抱えている仕事がありまして・・・。
それが落ち着いたら続きをアップさせていただきます。
できれば来月には再開したいと思っています。
それまでどうかお見捨てなきよう、よろしくお願いいたします。
尚