バンドにとって、大切なこと。例えば、カッコイイとか、曲がイイとか、歌が上手いとか、ギターソロがイカしてるとか、コールアンドレスポンスが盛り上がるとか、とか、とか、とか。
では、バンドにとって一番大切なこととは何か?
それは、縦が決まっている。ということ。そういうことなのである。わかるかい?
シナロケオーディションの話。
オーディションに参加したバンドがいくつあったか・・・そんなことは忘れてしまった。たぶん、10個くらいではなかったか。
それまでの町のイベントで、いくつものバンドと知り合っていた。だから、実力のほどは知っている。
下馬評、みたいなものもあった。
合格の枠は二つ。
当選確実な「セリさんのバンド」。二番手を争って、いくつかのバンドがダンゴになっている。僕のバンド、トゥージャンもそのダンゴの中にいる。
セリさんのバンドは、ルックスも決まっているし、年上だし、キャリアも長いし、みんなが一目置いている。ここは固い。
あとは、ダンゴ。オグちゃんのバンドもダンゴ。みーんなダンゴ。
コピーバンドが多かったように想う。今にして想うと・・・プロの前座でコピーをやんなよ!というった気もするが、その頃は、みーんなコピーバンドだから、それが普通。逆に、オリジナルソングは、知名度がないのね不利!くらいの雰囲気さえある。
もちろん、トゥージャンはオリジナル。知名度ゼロのオリジナルロックオペラで臨むのである。
前出の審査委員長「タニへーさん」。オーディションの一バンドが終わるたびに、タニへーさんやら誰やらのコメントが入る。そういう形式。
タニへーさん、相当厳しかった。相当厳しかった。
仲間内では「相当巧い」と言われていたベースマンのチョッパー弾き。タニへーさんはそれを一喝。「おまえ、チョッパーなんて10年早いんだよ、ボケ!」といった具合。
僕らの出番は最後の方だったような気がする。
他のバンドがケチョンケチョンに言われるのを、見ながら・・・ちょっとだけドキドキしていた、はずである。
正直、シナロケの前座なんて出来なくても構わない。だけど、クソみたいな仲間連中から、頭一つ抜け出したいという想いがあった。自分の作るモノを誰かに評価してもらいたかった。オーディションなんて初めてだった。だから、ちょっとだけドキドキしていた、はずである。
2曲くらい演奏したのだろうか。演奏が終わって、ステージに残って審査員たちのコメントを聞く。
鬼のタニへーさんはこう言った。
「やっと、縦が合っているバンドが出て来たね」
縦というのは、ドラムとベースのリズムのことである。縦が合う、というのは、ドラムとベースがしっかりと縦のリズムを刻む、ということである。
得てして、そういうものである。そういうものなのである。
僕らのクソみたいな仲間連中は、カッコばかりつけて、技巧ばっかに傾倒して、一番大切な縦を気にしていないのである。そんでもって、誰が巧いとか、どこのバンドが巧いとか、言っちゃっているのである。まるで高校生の軽音楽部みたいなのである。そしてもちろん、僕もその一味なのである。
僕らのバンド、トゥージャンのリズム隊はキョッツとギョイニー。高校卒業後に加入したキョッツ君は、巧いのである。そこに、高校生のからの仲間ギョイニーがベースラインを乗せている。彼らのお陰で、タニへーさんから賛辞を送られたのである。曲を作って歌っている僕ではなく、キースリチャーズばりにテレキャスターを掻き鳴らすヨッシーでもなく、地味ーな二人が、花形になったのである。嬉しいのである。
「曲もいいね」
タニへーさんに褒められてしまった。タニへーさんが誰だかはよく知らないのだけれど、初めてプロに褒められた瞬間なのである。嬉しいのである。
全バンドの演奏が終わって、審査員たちは別室へと消える。その後、結果発表。
結局、僕らのバンド、トゥージャンはトップでオーディションを勝ち抜いた。二番は当選確実のセリさんのバンドだった。ダンゴから抜け出したのは僕らのバンドだった。そらは、番狂わせのトップ通過だった。
タニへーさんに教わったことは、縦は合っていないといけない、ということ。
僕は今、Trash Box Jamのバンドで歌いながらベースを弾いている。
ベースを弾くのは楽しいが、出来れば弾きたくはない。なぜならば、感情を込めて歌いながら、縦を合わせるってのはとても難しいから。
縦が合っていなければバンドじゃない!と教わったのに・・・である。
でも、こらばかりは仕方がない。だから、ちょっとした縦のズレは、「これはグルーブだよ」と言い訳しながら、頑張っちゃったりしているのである。
では、バンドにとって一番大切なこととは何か?
それは、縦が決まっている。ということ。そういうことなのである。わかるかい?
シナロケオーディションの話。
オーディションに参加したバンドがいくつあったか・・・そんなことは忘れてしまった。たぶん、10個くらいではなかったか。
それまでの町のイベントで、いくつものバンドと知り合っていた。だから、実力のほどは知っている。
下馬評、みたいなものもあった。
合格の枠は二つ。
当選確実な「セリさんのバンド」。二番手を争って、いくつかのバンドがダンゴになっている。僕のバンド、トゥージャンもそのダンゴの中にいる。
セリさんのバンドは、ルックスも決まっているし、年上だし、キャリアも長いし、みんなが一目置いている。ここは固い。
あとは、ダンゴ。オグちゃんのバンドもダンゴ。みーんなダンゴ。
コピーバンドが多かったように想う。今にして想うと・・・プロの前座でコピーをやんなよ!というった気もするが、その頃は、みーんなコピーバンドだから、それが普通。逆に、オリジナルソングは、知名度がないのね不利!くらいの雰囲気さえある。
もちろん、トゥージャンはオリジナル。知名度ゼロのオリジナルロックオペラで臨むのである。
前出の審査委員長「タニへーさん」。オーディションの一バンドが終わるたびに、タニへーさんやら誰やらのコメントが入る。そういう形式。
タニへーさん、相当厳しかった。相当厳しかった。
仲間内では「相当巧い」と言われていたベースマンのチョッパー弾き。タニへーさんはそれを一喝。「おまえ、チョッパーなんて10年早いんだよ、ボケ!」といった具合。
僕らの出番は最後の方だったような気がする。
他のバンドがケチョンケチョンに言われるのを、見ながら・・・ちょっとだけドキドキしていた、はずである。
正直、シナロケの前座なんて出来なくても構わない。だけど、クソみたいな仲間連中から、頭一つ抜け出したいという想いがあった。自分の作るモノを誰かに評価してもらいたかった。オーディションなんて初めてだった。だから、ちょっとだけドキドキしていた、はずである。
2曲くらい演奏したのだろうか。演奏が終わって、ステージに残って審査員たちのコメントを聞く。
鬼のタニへーさんはこう言った。
「やっと、縦が合っているバンドが出て来たね」
縦というのは、ドラムとベースのリズムのことである。縦が合う、というのは、ドラムとベースがしっかりと縦のリズムを刻む、ということである。
得てして、そういうものである。そういうものなのである。
僕らのクソみたいな仲間連中は、カッコばかりつけて、技巧ばっかに傾倒して、一番大切な縦を気にしていないのである。そんでもって、誰が巧いとか、どこのバンドが巧いとか、言っちゃっているのである。まるで高校生の軽音楽部みたいなのである。そしてもちろん、僕もその一味なのである。
僕らのバンド、トゥージャンのリズム隊はキョッツとギョイニー。高校卒業後に加入したキョッツ君は、巧いのである。そこに、高校生のからの仲間ギョイニーがベースラインを乗せている。彼らのお陰で、タニへーさんから賛辞を送られたのである。曲を作って歌っている僕ではなく、キースリチャーズばりにテレキャスターを掻き鳴らすヨッシーでもなく、地味ーな二人が、花形になったのである。嬉しいのである。
「曲もいいね」
タニへーさんに褒められてしまった。タニへーさんが誰だかはよく知らないのだけれど、初めてプロに褒められた瞬間なのである。嬉しいのである。
全バンドの演奏が終わって、審査員たちは別室へと消える。その後、結果発表。
結局、僕らのバンド、トゥージャンはトップでオーディションを勝ち抜いた。二番は当選確実のセリさんのバンドだった。ダンゴから抜け出したのは僕らのバンドだった。そらは、番狂わせのトップ通過だった。
タニへーさんに教わったことは、縦は合っていないといけない、ということ。
僕は今、Trash Box Jamのバンドで歌いながらベースを弾いている。
ベースを弾くのは楽しいが、出来れば弾きたくはない。なぜならば、感情を込めて歌いながら、縦を合わせるってのはとても難しいから。
縦が合っていなければバンドじゃない!と教わったのに・・・である。
でも、こらばかりは仕方がない。だから、ちょっとした縦のズレは、「これはグルーブだよ」と言い訳しながら、頑張っちゃったりしているのである。