平成4年(1992年)8月に現在住んでいるマンションを購入するために借り入れした住宅ローンを繰上げ償還しました。
繰上げ償還の相談をした金融機関の担当者は親切丁寧でしたが、
「完済後には法務局に抵当権抹消登録届けをしてください。手続きを私共が紹介する司法書士に依頼すると数万円の費用が掛かります。抵当権抹消登記は難しくないので、お客様ご自身ですることができます。最近はご自身でされる方が多くなっていますよ。どうされますか?」
と訊いてきました。
今まで会社の仕事で色々なことをしてきましたが、法務局での手続きはしたことがなく、不安ではありましたが、担当者の「簡単」「自分でもできる」「費用が節約できる」の言葉に押され、自分でやってみることにしました。
ローン完済2週間後、抵当権抹消登録に必要な書類が、金融機関から送られてきました。
しかし、抵当権抹消登録の手続きや必要な申請書のフォームが分からないため、とりあえず法務局のホームページにアクセスしてみることにしました。
法務局のホームページに入ると、画面右に沢山バナーが並んでおり、これを一つ一つ確認していくと、
〔 不動産登記申請書等様式 〕
というバナーを見つけました。早速クリックすると、「新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について(お知らせ)」と題したページに遷移しました。
<趣旨>
<登記申請書の様式及びその説明>
<登記事項証明書等の請求書の様式及びその説明>
の3ジャンルがあり、その内の<登記申請書の様式及びその説明>の中に「8.抵当権抹消登記申請書」がありましたので、“ワード97”をクリックし、登記申請書のフォーム・記載例をダウンロードすることができました。
記載例を確認しながらのフォーム記入。 で、困った。途端に困った。
金融機関から送られてきた書類からは「登記の目的」がみつからない。
仕方ないので、書棚の奥深く仕舞い込んでいた登記済み権利証書をだしてきました。初期の権利書のほかに「買戻権抹消登記」後の「区分所有建物全部事項証明書」があったので、これで必要事項を確認することにしました。
乙区を見つけ、安堵。そこには設定されている抵当権が記載されていました。
次に困ったのは、金融機関から送られてきた書類とダウンロードした記載例などに書かれている添付書類のタイトルが一致しないことでした。そこで、先ずは法務局資料の説明に沿って添付資料の一覧表を作成し、その内容に符合する内容の金融機関からの資料を付き合わせることをしました。結果は以下の通りです。
金融機関から受け取るべき書類が全て揃っているので、一安心しました。後は登記申請書を作成し、法務局に行くだけだと思いました。
登記申請書は法務局のホームページからダウンロードしたWord書式を書き換える方法を採りましたので、さほど難しくはありません。
注意を払うのは、全ての項目について「登記済証」「登記原因証明情報」「資格証明」に記載されている通りに記入すると言うことです。
「代表者事項証明書」と「履歴事項一部証明書」には『原本還付』のスタンプが押されていましたので、これらの書類は金融機関に返却しなければならないものと判断し、コピーをとっておきました。
登記申請書類が一通り揃ったので、次のものを携えて法務局に行きました。
法務局登記事務部署に入ると直ぐに、「登記相談コーナー」があり、番号札を取って、自分の番号が呼ばれるのを待つシステムになっていました。登記手続きをする人は皆、この相談コーナーから始めなければならないようです。(司法書士さんは直接、窓口に書類提出できるようです。)
直ぐに自分の番となり、番号を呼んだ担当者の所へと行き、抵当権抹消登記手続きをしたい旨伝えました。
担当の方は書類を一つ一つ丁寧にチェックし、
「あ!これらの書類はコピーしておいてくれたのですね。」
と言い、「代表者事項証明書のコピー」と「履歴事項一部証明書のコピー」の裏面に『原本還付』『原本と相違ありません』という二つのスタンプを縦に並べて押し、その下に署名・捺印するように指示されました。
原本が提出できずに原本のコピーを提出する場合に施す原本証明です。
次に、登記申請書、抵当権解除証書、代表者事項証明書のコピー、履歴事項一部証明書のコピー、委任状の順に重ね、左側二ヵ所をステープラーで綴じると、登記申請書の1ページ目を開き、1ページ目の裏面と2ページ目に亘って契印(割り印)を押すよう指示されました。
契印の押印が済むと、2ページ目の下方余白部に収入印紙を貼るよう指示されました。(収入印紙に消印は押しません)
収入印紙を貼り終わると、
「登記の目的に“2番”と書いているが、この“2番”はどうやって確認しましたか」
と質問されました。
私は持参していた「区分所有建物全部事項証明書」の「乙区」を見せ、2番の抵当権が今回該当案件であると説明しました。
担当者は「区分所有建物全部事項証明書」を確認すると、
「ハイ 結構です」
と言って、次の作業へと移りました。
「受領印照合表」「登記申請書を提出された方へ(お願い)」と題された書類を取り出し、それぞれ所定の箇所に署名、捺印するよう求めました。この処理が終わると、「登記申請書を提出された方へ(お願い)」を渡しながら、登記完了予定日が○月○日になるので、その日に事前に電話で登記完了を確認後、登記済証を取りに来るようにとのアドバイスをしてくれました。
金融機関から預かった形の「原本還付」請求付きの書類は、登記済証と一緒に返却するとの説明もありました。
登記完了予定日の朝9時半に、『登記申請書を提出された方へ(お願い)』に問合せ先として記載されていた番号に電話をしました。
「はい。○○法務局です。」
男性職員の方が電話に出られました。
「○月○日に抵当権抹消登記申請をしました○○ですが」
「登記が完了しているかのご確認ですね。下のお名前をお願いします。」
「◇◇です。」
「○○◇◇様。××町××番の土地・建物ですね。」
「はい。そうです。」
「登記が完了していますので、申請時の印鑑を持って来所してください。」
事務的ですが、丁寧な応対だと思いました。
登記申請日を含め、3日で完了したことになります。
午後に法務局に出向き、登記申請書を提出した窓口で、「登記完了証」2通と原本還付請求していた「代表者事項証明書」「履歴事項一部証明書」、「抵当権設定契約書」を受け取りました。
担当者は、「登記完了証」1通、「代表者事項証明書」「履歴事項一部証明書」を金融機関に送付するように言ってくれました。
帰宅後、念のため金融機関から抵当権抹消のための書類が送られてきたときの送付状を確認すると、「抹消後の謄本、契約証書等の返送は不要です。」と記載されていたので、原本還付請求があった「代表者事項証明書」「履歴事項一部証明書」、「登記完了証」と手続きに不要であった「印鑑証明書コピー」を返送することにしました。
「登記完了証」受け取り後、将来に備え、最新の登記情報資料として「登記事項証明書」を入手しておこうと思い、引き続き、交付申請をしました。申請書は法務局備え付けの「登記事項証明書登記簿謄本・正本交付申請書」を使用します。交付申請には「登記印紙(収入印紙とは違う)」1000円が必要です。法務局で購入しました。
交付申請後10分程度で書類を受け取ることができました。