社会保険庁は、厚生省(現、厚生労働省。2001年1月に労働省と統合)の外局の一つとして1962年(昭和37年)7月に設置されました。
国民年金・厚生年金・政府管掌健康保険・船員保険などの業務運営を行ってきましたが、保険料の不正使用や消えた年金記録問題など相次ぐ不祥事が発覚し、2007年(平成19年)の通常国会において解体、改革が決定されました。
政府管掌健康保険の運営が2008年(平成20年)10月から新たに設立された非公務員型公法人(特殊法人)『全国健康保険協会(協会けんぽ)』に引き継がれ、その他の医療事業については厚生労働省の管轄になりました。
更に、2010年(平成22年)1月、船員保険事業のうち「職務外疾病部門業務」が協会けんぽに移管されました。
今年(2010年、平成22年)1月4日には年金部門が新たな非公務員型公法人(特殊法人)『日本年金機構』に引き継がれ、社会保険庁は廃止されました。(社会保険庁の廃止日付は2009年12月末日)
社会保険庁を解体し、健康保険事業及び年金事業を、公務員ではない職員による新たな組織で運営する厚生労働省の当面の狙いは、偏に『国民の信頼回復』にあると言えるでしょう。
社会保険庁が日本年金機構に替わっても、私たちの年金に関する書類や手続などが変更になることはありません。
従来、全国にあった312カ所の「社会保険事務所」は「年金事務所」となりますが、取扱い業務は社会保険事務所当時のままで、私たちへの影響はありません。
年金に関する手続や相談は、住まいの地域を所管していた従来の社会保険事務所があった同じ場所にある年金事務所に行けば良いことになります。
また、年金事業の主体は厚生労働省年金局にあり、この年金局から日本年金機構に業務委託することから、政府機関であった社会保険庁のように暴走することはなく、事業の最終責任は業務委託者である厚生労働省が負うことになります。
長妻厚生労働大臣は、不評だった社会保険事務所職員の来所者対応について、『電話は3コール以内に出る』『お待たせ時間は30分以内』など“お客様へのお約束10カ条”を作って、年金事務所では「お客様目線」での対応をさせると言っていますが、社会保険事務所から転籍した職員の身に長年に亘って滲み付いた習性をどこまで矯正できるのかは疑問です。
また、年金記録問題や保険料未納者への働きかけなど、解決すべき課題が山積しています。これらの課題処理スピードが如何様なものなのか興味が持たれるところです。
《関連ホームページ》
日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/
全国健康保険協会 http://www.kyoukaikenpo.or.jp/
社会保険庁 http://www.sia.go.jp/