「もうすぐ敬老の日だね。このまえ、町内の老人会から入会を勧められたよ。自分は60歳だから老人会はまだだと思うけど、老人って何歳からを言うんだろう?」
と問い掛けてきたのは、いつも入り浸っている喫茶店のマスターです。
なかなか難しい質問ですが、医療保険制度や老人福祉法なども含めて考えてみたいと思います。
まず、敬老の日は次のように定義されています。
・ 9月の第3月曜日。
・多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日。
次に、医療保険制度で高齢者に関する事項を拾ってみると、
昭和48年の健康保険(医療保険)では、70歳以上の老人医療費を無料化としました。
平成14年には、平成19年から老人健康保険の対象年齢を70歳から75歳に引き上げることを決定しました。
平成15年3月、高齢者医療制度を、65歳から74歳までの前期高齢者と75歳以上の後期高齢者に区分することを閣議決定しました。
そして、平成25年施行を目処に、年齢で区分する「後期高齢者医療制度」が廃止されることとなっています。
また、
第一条(目的) この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。
第二条(基本的理念) 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
これは老人福祉法ですが、老人の年齢は明確には定義されていません。
しかし、同法
第五条の四(福祉の措置の実施者)には、
六十五歳以上の者又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)に対する・・・
第十条の四(居宅における介護等)には、
市町村は、必要に応じて、次の措置を採ることができる。
一 六十五歳以上の者であつて・・・
二 六十五歳以上の者であつて・・・
三 六十五歳以上の者であつて・・・
四 六十五歳以上の者であつて・・・
五 六十五歳以上の者であつて・・・
2 市町村は、六十五歳以上の者であつて・・・
第十一条(老人ホームへの入所等)には、
市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
一 六十五歳以上の者であつて・・・
二 六十五歳以上の者であつて・・・
三 六十五歳以上の者であつて・・・
といったように、『65歳』という表現が随所で使われています。
さて、もう一つの老人会ですが、これは老人会、老人クラブ、敬老会などと様々な呼び方がされており、町内会・自治会を主体とする地域自治に付随する高齢者への福祉を目的とした相互扶助組織であると言えるでしょう。
殆どの老人会で、財源は自治会(町内会)と地方自治体からの援助に拠っていることが多く、自治会(町内会)、婦人会など同じ地縁組織に運営の力添え(労働力の提供)を求めている状況だと思います。
地縁組織の一つである老人会への入会資格は、それぞれの老人会で歴史的、諾成的に定められているようで、60歳であったり65歳であったり、70歳であったりするようです。
そんな訳で、『老人とは何歳から?』の質問への答えをなかなか出し難いのですが、老人福祉法で一つの基準としている『65歳』が妥当なところではないかと思います。
老齢厚生年金が満額受給できるようになるのも『65歳』からだしネ!