「“暑さ寒さも彼岸まで”とか、お彼岸にはお墓参りするとか言われているけど、“お彼岸”っていつからいつまで?それよりも何よりも、“お彼岸”って何?」
といった疑問を振り向けられました。
『彼岸』とは、一言でいえば仏教用語、仏事と定義することができるでしょう。
煩悩や迷いに満ちたこの世をこちら側の岸と見立てた「此岸(しがん)」に対して、向う側の岸、つまり「彼岸」は煩悩を脱した悟りの境地の世界であるとされています。
また、雑節の一つで、春分の日・秋分の日を中日とした前後各3日を合わせた7日間を指します。暦の上では最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」といいます。
この期間に行われる仏事を『彼岸会(ひがんえ)』といいます。
彼岸会法要は日本独自に始まったものです。
浄土思想で信じられている、阿弥陀如来が治める極楽浄土(西方浄土)は西方の遙か彼方にあると考えられています。
春分の日と秋分の日には、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
西に沈む太陽を礼拝し、遙か彼方の極楽浄土に思いを馳せたのが彼岸の始まりと考えられています。
『続日本紀』に続く勅撰の歴史書『日本後紀』に、806年(大同元年)、日本で初めて彼岸会が行われ、このとき崇道天皇(早良親王)のために諸国の国分寺の僧に命じて「七日金剛般若経を読まわしむ」と記述されています。
このように、彼岸会は天皇の詔(みことのり)として始められた行事でしたが、いつの間にか生を終えていった祖先を供養する行事として定着してきたようです。
春分とは太陽が春分点を通過した瞬間、即ち太陽黄経が0度となったときで、3月21日頃です。
言い換えれば、太陽の黄経が0度に達したときで、黄道が赤道と交わる二つの交点のうち、太陽が赤道の南から北に抜ける点である春分点を通過するときが春分です。
気候的には、この頃が桜の開花期の直前に当たり、次第に暖かくなり始めると考えられています。
秋分とは太陽が秋分点を通過した瞬間、即ち太陽黄経が180度となったときで、9月23日頃です。
言い換えれば、太陽の黄経が180度に達したときで、黄道が赤道と交わる二つの交点のうち、太陽が赤道の北から南へ横切る点でる秋分点、つまり春分点の対向点を通過するときが秋分です。
気候的には、次第に昼間の時間が短くなり始め、夏の暑さが緩んでくると考えられています。
余談ですが、彼岸に供え物として作られる「ぼたもち」と「おはぎ」は同じもので、炊いた米を軽くついて小判形にまるめ、厚く餡で包んだ10cm程度の菓子です。
名前は、春の彼岸の頃に咲く「牡丹」、秋の彼岸の頃に咲く「萩」に由来するそうです。