新型コロナウィルス・オミクロン株の蔓延する勢いが強くなる中、先にご紹介させて頂きました山中教授説(「日本人の体質と新型コロナウィルスの関係」)に反対するかのようなレポートを2022年1月20日(木)小野氏が発表しました。
彼の説は(オミクロンは自然のワクチンにならない)、国民の凡そ全員がワクチンを打つ事が、蔓延を防止し、新型コロナウィルスから出口に至るものであるとの立場のようです。小野氏の説を少しご紹介しておきましょう。(項目的には4点あります。)
どちらの説をとるかは選択者次第です。
1. オミクロンは「弱毒株」だから感染しても大丈夫?
2. オミクロンで免疫ができれば他のコロナにかからなくなってパンデミックが終わる?
3. オミクロンでT細胞免疫が誘導されて長期免疫ができてパンデミックが終わる?
4. オミクロンがデルタを駆逐してパンデミックが終わる?
5. まとめ
今までコロナにかかったことがない人で、しかもワクチンをしていない人にとっては、オミクロンはこれまでと同様に危険な感染症です。少なくとも、オミクロン感染よりもワクチンで免疫をつけるほうがずっと安全で(より多くの変異株に対して)汎用性のある免疫のつけ方になります。
今回のオミクロン流行の特性を把握して、対策することが緊急ですが、オミクロンはこれまでの変異株と比べて免疫学的にもウイルス学的にも異なる点が多いので、オミクロンの特徴だけを見てパンデミックの長期見通しの根拠とするのは危ういと思います。
確実に明るい材料は、オミクロンの病原性うんぬんよりも、パンデミックを制御するための科学技術が進歩しつづけている点に存在します。
特に重症化回避のために効果が高いワクチンができて現在広く接種されていること、さらに現在も新しいタイプのワクチンが開発されつつあること、また治療方法が進歩していること、という3点が重要です。
また、検査体制や変異株モニタリング体制も進歩がみられて、より確実にリアルタイムで流行の状況を知ることができつつあります。
こうした科学技術のおかげでパンデミックの核心的問題は少しずつ、より上手に制御できるようになってきています。こうした新しい道具と知識をうまく使っていくことがコロナに安全な社会を作っていく上でより重要になっていくと思われます。
ここを間違えて、せっかく作り上げた科学インフラと専門知を小馬鹿にしてこの2年間積み上げてきたものを崩してしまうと、オミクロン流行への対応における問題だけではなく、近い将来、新しい変異株流行のときにしっぺ返しにあってしまうことになると考えられます。
【関係先】
〇 WHO
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