会社で業務に使用するネットワーク端末のパソコンとして、2008年12月よりユーザー配布する分からWindows Vista搭載のパソコンを導入し始めました。
Microsoft社は2007年1月から販売するOSをWindows Vistaとし、これに伴いブラウザーもIntenet Explorer 7へと変えてきました。
OSがWindows2000からXPに変わるときは、社内システムも今程なく、OSのカーネル(注)が変化してもあまり大きな影響を受けることなく、思いのほかあっさりと移行することができました。
しかし、今回はXPとVistaではカーネルが大きく変化することに加え、Windowsに依存する社内システムも大幅に増えていることから、情報システム部ではVista導入には慎重な検証が必要と考え、VistaとApplicationとの親和性の検証を開始しました。
(注)カーネル(kernel)とは、OSの基本機能を実装したソフトウェア。OSの中核部分として、アプリケーションソフトや周辺機器の監視、ディスクやメモリなどの資源の管理、割りこみ処理、プロセス間通信など、OSとしての基本機能を提供する。追加機能や周辺機器の制御ソフトウェア(ドライバ)などをモジュール化して、後から追加できるようになっている。(IT用語辞典より)
情報システム部で先ず問題となったのは、「誰が検証作業をするのか」「検証用のパソコンはどうするのか」ということでした。
部員は日常のサービス対応を確実に実施しなければならないのは自明のことでしたので、私が行うこととしました。私が使用しているPCが“Windows Vista Capable”でしたので、OSの入替えをし、日常業務に利用することで検証を併せて行うスタイルをとることにしました。
検証は2007年1月から3月の足掛3か月行いました。この期間は最初から必要として設定した期間ではなく、ベンダー各社の検証結果の不具合への対応が可能であろうと連絡があった時期が随分先であったことと、私の業務に支障が出始めたことから必然的に一旦終了せざるを得なくなった時期でした。
この3ヶ月間での検証結果は次の通りです。
①Windows Vistaへの非対応Application 6件
②Internet Explorer7への非対応Application 2件
③Microsoft Office2007への非対応Application 2件
私が検証作業継続に音を上げたのは、IE7に依存するグループウェアのメールで、返信・転送ができないことと添付ファイルを開くことができなかったのがこの第一次検証中断の大きな要因でした。
私のPCをWindows XPに設定し直し、検証を中断しました。
その後情報システム部員によるベンダーとの確認作業が精力的に展開され、順次Applicationのバージョンアップが行われ、この段階では新バージョンのApplicationとWindows XPとの整合性のチェックを行うところとなりました。
これは、一気に500台を超えるPCのOSを入れ替えることは不可能であり、PCの更新に合わせてWindows Vista版のPCを順次入れなければならないという制約からです。
順次、XP版PCと新バージョンApplicationとの間に不具合が無いことが判明した2008年2月に、私のPCに再度Windows Vistaをインストールし、新バージョンApplicationとVistaとの検証を始めました。最後まで対応が進まなかったのがクライアント用ウィルス対策ソフトでした。利用中のソフトの新リビジョンで対応できているとのことでしたが、実際は無理でした。このことから、このソフトもVistaをターゲットに開発された新バージョンを導入し、これにより2008年9月、当社での問題は全てクリアし、10月以降発注するPCはXPダウングレードではなく、Vista版とすることとなりました。
一連の検証作業を通じて、Applicationメーカーの新OSへの対応が遅いとの感想をもちました。
Vista導入に誠心誠意努力し、取り組んでくれた情報システム部の皆さんには、心より感謝しております。
この記事を読んでいただいている方々の中には、早ければ2010年に新OSのWindows7が、更にその2年後にはWindows8が発売されるのではないかと報じられている中で、何故そんなにVistaへの移行に執着したのかと思われる方もいらっしゃるのではないかと思います。
私の判断では、Vista発売から余り期間を置かずに7を発売する限りは、7とVistaはカーネルがほぼ同じで、7はVistaのリビジョンアップ(マイナーチェンジ)版ではないかと思ったからです。もしそうなら、できるだけ早く移行している方が、Windows7版PC導入もスムーズに行え、ユーザーに常に新しいOSのパソコンを提供できると考えたからです。
結果論ではありますが、最近の日経BP:ITProによるWindows7β版の検証で、正に7はVistaのマイナーチェンジ版であることが報道されました。