今年(2009年)4月から毎年、『ねんきん定期便』が基礎年金番号をもつ現役世代の約7000万人に、各人の誕生月に社会保険庁から送られてくるようです。
ねんきん定期便では、昨年10月までに年金加入者全員に送付された『年金特別便』には記載されていなかった①厚生年金の標準報酬月額②国民年金の保険料納付状況③将来受け取る年金の見込み額などが記載されるようです。
年金定期便を受け取った人が記録の間違いに気付き、届け出を行い、記録の修正が行われることで記録の誤りが無くせると社会保険庁は期待しているようです。
しかし、たとえばサラリーマンの中で自分の標準報酬月額が把握できている人、会社から配布された源泉徴収票を持っている人はどのくらいいるのでしょうか?自分の標準報酬月額が判っていなければ正誤の判断はつかないのではないでしょうか。また、一部の会社で社会保険事務所の指導に従ってやったといわれている“報酬額の改ざん”がなされていたら、尚更照合は難しいものになるのではないでしょうか。
ねんきん定期便にかかる費用は1通あたり300円ほどとのことですが、7000万通となれば200億円以上の費用を毎年支出する計算になります。国民の血が滲んだ国家資産が費消されるわけです。
また、5000万件を超える『宙に浮いた年金記録』と『住基ネット(住民基本台帳)のデータ』や『国税庁の納税者情報』『総務省の登記情報』などとの記録突き合わせによって、宙に浮いた年金記録の消し込み作業を実施するとのことです。この作業も無料でできるわけではなく、ましてや社会保険庁にはSE(システムエンジニア)が一人もいませんので、NTTや日立など専門の民間会社に業務委託することになるのだと思います。
社会保険庁の『日本年金機構』と『全国健康保険協会』への分割民営化が来年(2010年)1月に予定されています。それまでに宙に浮いた年金記録の全面解消、改ざん記録の修復、複数分散記録の統合など年金記録に纏わる問題が解消されていることを期待したいものです。