最近、デパートやスーパー、ホームセンターの調理器具売場で、円錐の蓋をもった、底の浅い陶器をよく見かけるようになりました。
(あの“とんがり帽子”みたいなのはなんだ?)
(どこかで見たことあるぞ・・・・・!)
(あっ!モロッコの一般家庭にある鍋だ!!)
プライスカードや商品タグなどに「タジン鍋」と書かれており、野菜や肉を無水調理するとの簡単な説明書きがされています。
無水調理器といえば、私が子供のころから母親が愛用していたものに、アルミ製の「無水鍋」があります。
広島アルミニウム工業株式会社製で、1953年(昭和28年)に発売されたアルミニウム鋳物のとても重い鍋です。蓋も鍋として利用でき、10通り以上の使い方ができるという万能鍋です。
さて、このタジンはどこの国のもので、どんな料理をするのでしょうか。
タジン(アラビア語)は、北アフリカの陶製の鍋若しくはその鍋でつくられる料理を指します。
とんがり帽子のような形の蓋を持つ独特な鍋を使って、羊肉や鶏肉と、香辛料をかけた野菜を水や出汁を使わずに煮込みます。モロッコ、アルジェリア、チュニジアなどで利用されています。
伝統的なタジンは板ガラスを嵌め付けた部分と、塗装された外側の部分から成っています。上部は細く、底の部分は太くなっており、円錐かドーム状の形をしています。
このような形状をしているので、下部の鍋に熱が集中し、食材に早く熱が通ります。
また、円錐形の蓋の上部は温度が低いため食材から上がる水蒸気が蓋で冷やされ水滴となって鍋に戻されるので、「蒸」に必要な程良い水分が補給されることになります。
モロッコでは飲料水が非常に貴重で、食材の水分だけで調理できるタジンが作られるようになり、一般的な家庭調理具となってきたようです。
香りをつけたジャガイモやニンジン、玉ねぎなどの野菜とソースを鳥肉や羊肉と一緒に低温でゆっくりと蒸します。とんがり帽子のような蓋の先端はノブのような形状になっているので蓋が開け易く、調理の最中に食材の追加を容易に行うことが出来ます。
わが家では、もやし、キャベツ、じゃがいも、かぼちゃ、かしわ(鶏肉)や豚肉、鮭の切り身などが好評です。