今日は外来がないので、午前中から病棟を診ていた。昨日一時的に酸素飽和度の低下した80歳代男性は、不穏の程度が低下して、一言でいえば「いつもよりおとなしい}という状態だった。呼吸困難とは言えないが、動くと息切はしていた、今日血液検査で白血球数増加とCRP上昇(19)を認めた。胸部X線・胸腹部CTをとると両側肺に数か所ずつ誤嚥性肺炎と判断される陰影があった。左中大脳動脈閉塞で入院したが、その領域全体ではなく、まだらに梗塞巣になっていた。幸い経口摂取はできるが、認知症の不穏がひどかった。精神薬がちょっと多いと効きすぎてしまう。へたに効きすぎるくらいなら騒ぐのは仕方ないという方針になった。明らかなむせはないが、嚥下反射が低下して、誤嚥性性肺炎を少しずつ起こしていたのだろう。絶食で抗菌薬投与となったが、その後の経口摂取をどうしたものか。
施設入所中の脳梗塞後遺症の80歳代男性が、昨夜からの腹痛・嘔吐・発熱で紹介されてきた。昨年脳梗塞の時に診ていた。長期入院になって、経口摂取が進まず、高カロリー輸液で経過をみていた(胃切除術後で胃瘻造設できない)。そのうちに少しずつ経口摂取できるようになって、施設入所にたどり着いた。広範な脳梗塞に一時は慢性硬膜下血腫(脳外科から手術適応なしといわれた)も併発していたので、奇跡的な退院だった。
腹部エコーと造影腹部CTで、胆嚢結石症+急性胆嚢炎だった。外科医と相談したが、まず保存的に内科で経過をみることになった。食事がセッティングで一部介助、その他は全介助なので、外科としてはできれば手術は避けたいところだろう。保存的に治療してだめなら手術という方針になる。
大学病院から内科外来の応援(バイトです)に来ている先生から、徐脈の患者さんがいると相談された。かかりつけは市内の病院で、外来で診ている先生が午前中いないと言われて、当院を受診した。慢性腎不全があり、そこに発作性心房細動に対するジゴシン0.25mg/日が処方されていた(シベノールも処方あり)。普段はクレアチニン2台らしいが、食欲不振(これもジゴシン過量の症状だろう)で脱水症もあるためか今日は3.9だった。ジゴシン血中濃度は5以上と出た。点滴で脱水症の治療をしてジゴシン濃度が低下するのを待つしかない。意識は清明で歩くとふらつくが、車いすでの移動は問題ない。
その病院に連絡すると、外来主治医が午後に来るので診察すると連絡が入った。その後その先生から明日なら診ると言われたそうだ。連絡を取っていた医療連携室の方が、電話をその先生につないだので、直接お話しすることになった。大学循環器科の准教授だった先生で、診療科ではないが教授になって定年退職していた。いろいろと病状のことを話されたが、診たくないという雰囲気が伝わってきた。そこを一押しして、今日診察して入院治療することにしてもらった。あくまで丁寧に婉曲にお願いしました。内科外来に当院循環器科医が見当たらなかったので相談しなかったが、事情を話せば「診ている先生に責任をとってもらえ」と言われるに決まっているから。偉い先生なので、必要があれば大学病院循環器科に紹介すると思う。