「不明熱に絶対強くなる」鈴木富雄著羊土社を通読した。170ページなのでちょっとずつ読んでも数日で終わった。総論は例のチン・チン・チン(フェリチン・血沈・尿沈渣)を含む13カ条の原則で、症例は、1)肛門周囲膿瘍、2)結節性多発動脈炎、3)血管内リンパ腫、4)詐病・虚偽性障害・心因性発熱、5)成人発症Still病・血球貪食症候群、6)日本紅班熱・デング熱・結核、7)自己炎症疾患・家族性地中海熱。この本も繰り返して読みましょう。
最初の症例はケアネットの不明熱大捜査線でも最初に出された、ガリウムシンチで診断された肛門周囲膿瘍で、若いころの失敗例として記載している。プライマリケア学会の講演でも出された。初めるにあたっての「つかみ」ネタなのだろう。血管内リンパ腫はNHKドクターGでも出されたが、NHKでの症例の詳細を忘れたので同じ症例か違う症例かわからない(これは骨髄生検だが、NHKは肺生検だったような)。青木先生のブログに、症例検討会で難解な症例が出た時は、血管内リンハ腫・血管炎・結核の3つを上げておけばたいてい当たる(少なくとも面目は立つ?)とあった。
結節性多発動脈炎は経験がない。好酸球性多発血管炎・顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症はあった。成人発症Still病・血球貪食症候群もあった。日本紅班熱は地域的にたぶん診ないだろう。結核は当然ある。血管内リンパ腫は幸いになかった(とても診断は付けられない)。巨細胞性動脈炎は数例だが、多い方だと思う。真菌性心内膜炎の経験も珍しいかもしれない(弁置換術後の症例で、大学病院心臓血管外科で再手術)。
現在担当している症例では、化膿性脊椎炎と感染性心内膜炎(Streptococcus bovis)が比較的珍しい方だと思う。通常は外来で糖尿病を診て、入院で高齢者の誤嚥性肺炎を診ているだけの診療だ。
日本医事新報社からも不明熱の本が出るので購入する予定。「かぜ」の本と「不明熱」の本は一応集めている。