なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

夜に急変

2015年04月07日 | Weblog

 脳梗塞後遺症・嚥下障害の84歳男性は、先週から両側誤嚥性肺炎の治療を受けていた。昨日の検査でも陰影が広がっていたが、酸素飽和度は変わらなかった。翌日に家族にもう一度説明して、病状が厳しいとお話しすることにした。見込みが甘く、夜間に心肺停止に陥ってしまった。当直医(外科医)が呼ばれて、心肺蘇生を行ったが効果はなかった。病院に来た時には、当直医が蘇生術を辞めて、死亡確認した後だった。肺炎発症時に両側で難しいかもしれないとはお話していたものの、急変なので非難されても仕方ないと思っていたが、それはなかった。認知症で日中はよく叫んでいて、体幹抑制をしないと起き上がって転倒をしてしまうのでやむなく行っていた。雄叫びが病棟の名物のようになっていたので、今日は静かな病室になって、日勤の看護師さんたちが、この患者さんがいないことを実感していた。

 看取ってくれた外科医は、この患者さんを看取った20分後に、他の病棟に入院していた透析導入しない方針の慢性腎不全の患者さん(85歳女性)も看取ってくれた。こちらは心肺停止時DNRになっていて、家族に見守られて静かに亡くなった。朝にその報告も受けて、申し訳なさが2倍になってしまった。

 今日はグループホームに入所中の82歳女性(認知症)が、内科クリニックの紹介で救急搬入された。右肺の誤嚥性肺炎ということだったが、CTで確認すると左下肺にも浸潤影があり、両側だった。今々危ない状態ではないが、責任者の姉(患者さんは独身)に悪化した場合の話もした。まずは点滴を抜かれないようにしないといけない。

 救急室にいると、救急当番をしていた外科医が31歳男性の腸閉塞(腹部手術と腸閉塞の既往あり)を診ていた、そこに92歳女性がショック状態で救急搬入された。四肢末梢がチアノーゼを呈していた。血圧は50mmHg台。それでも意識は清明で、盛んに酸素吸入のカニューラを外していた。肺炎はなく、尿所見もそれほどではない。尿培養と血液培養を提出して、画像検査になった。単純CTで腹水を認め、小腸の拡張と消化液貯留、腸間膜脂肪織の炎症像もあった。外科医がS状結腸がおかしいということで、血圧は低いが(ソルラクト500mlが2本め)、造影CTを行った。腹腔内に遊離ガスがあり、S状結腸穿孔が疑われた。腹部に圧痛はあるが、腹膜刺激症状もあるらしい。明らかな結腸癌はなかった。発症は昨夜遅くか朝方。このままと助からないので、緊急手術となった。

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