昨日施設に入所している90歳女性が、高血糖を呈して食事が摂取できなくなった(要するに意識障害)と救急搬入された。糖尿病でダオニール1.25mg/日の処方を受けているが、ここ数か月はHbA1cが上昇していた。紹介状には、尿路感染症で治療していて、それは治ったばかりという内容だった。
血糖が538、BUN26.4、血清ナトリウム164で血清浸透圧367という結果だった。HbA1cは10.4%。尿ケトン体は陰性。高血糖高浸透圧症候群(HHS)と判断される。ヴィーンF500mlで点滴を開始して、ヒューマリンR2単位/時を開始した。夕方に入院したが、その日は用事があったので、検査指示を入れて結果を電話で聞いての指示出しとなった。3時間経過して血糖が300以下になった。その後、点滴をソルデム3A500mlに変更した。
今朝は血糖が300ちょっとなので、ヒューマリンRを3単位混合した。250前後で経過したので、皮下注での補正を追加した。今日は開眼していて、声をかけるとこちらを見て口をもごもごと動かす。家族の話では、これが普段の状態という。とろみ付きの水を少し飲めた。もともと嚥下調整食でトロトロのものを食べていた。明日から昼のみゼリーを出して嚥下をみて、週明けの月曜日から食事開始予定とした。
胸腹部CTで明らかな膵癌はなかった。Cペプチドと抗GAD抗体を提出しておいた。おそらくインスリンを継続しないと血糖は改善しない。施設入所なので、注射回数がすくなければやってくれる。DPP4阻害薬+持効型インスリン少量で何とかなるか。
昨日のNHKドクターGは国立国際研究センターの忽那賢志(くつなさとし)先生。移動販売の腸チフス保菌者が作る料理から、3名が感染したという症例提示だった。なるほどなるほど。途中から3名の病歴がつながっていくという凝ったストーリー。それにしても、ゲストの紺野美紗子さんと江川達也さんは、番組に慣れているのか研修医顔負けのコメントだった。紺野さんは研修医を差し置いて答えていたし。腸チフスは研修医の時に1例経験しただけで、海外渡航歴のない中年男性だった。感染病棟のある総合病院へ転送した。39~40℃の高熱で、確かに比較的徐脈だった。