なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腸菌ESBL

2015年10月08日 | Weblog

 4日前の月曜日に、ケアハウスに入所している79歳女性が転倒して頭部を打撲して受診した。外科外来で1針縫合した。頭部CTで頭蓋内出血はなかった。なかったが、普段と比べて意識が低下していた。発熱もある。外科の先生から相談されて、診に行った。

 感染症で全身状態が悪くなって、転倒したと思われた。胸部X線・CTで肺炎はなかった。尿混濁があり、CTで見ると膀胱内に尿が多量に貯留して軽度の水腎症もあった。腎臓自体少し腫大しているように見える。尿閉から尿路感染症(急性腎盂腎炎)をきたして、さらに敗血症になっているものと判断した。尿カテーテル留置で1000ml以上の尿が排出して、尿培養が提出されていた。血液培養を2セット提出した。

 ケアハウス入所者だから、肺炎でいえばNHCAPに相当する。ファーストシン1g1日3回で治療を開始した。補液1500mlと抗菌薬で、翌日には前日と違って話ができた。熱も下がっていた。ケアハウス入所なので、身の回りのことはできるはずだが、姉妹の話ではこの方は最近認知症の症状が出始めていた。独身なので、責任者は姉妹の息子(甥)になるのだという。

 細菌検査室から、血液培養2セットからグラム陰性桿菌が検出されていると報告があった。大腸菌かな、腸球菌ではないので、ファーストシンでいけると判断した。ところが3日目の昨日、大腸菌ESBLと判明した。午後からまた38℃台の発熱があった。夕方から抗菌薬をメロペネムに切り替えて、今朝までに6時間おきに3回投与した。

 今日は解熱して、話ぶりはぼんやりしているが、バイタルは安定している。食事もある程度とれている。入院翌日に悪化した血液検査の炎症反応が今日は改善して、なにより尿の細菌が陰性になっている。このまま2週間の抗菌薬投与でなんとかなりそうだ。ケアハウスを甘く見ていたことになる。正しくはカルバペネム+バンコマイシンで、培養結果を見てde-escalationだったか。

 今日、ICDの認定書類を提出した。問題なければ12月に認定される。当院では感染管理を直接担当している若い先生がICDだが、名前だけとはいえ感染管理室長なので認定を受けることにした。

 明日からはJDDW(消化器週間)で東京へ行く予定。

コメント
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