なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

浴槽での死亡

2015年10月27日 | Weblog

 昨日は消化器科の若い先生が当直だった。私が高血圧症などで外来で診ている78歳女性が、浴槽内で心肺停止となって救急搬入されたと報告があった。蘇生術後に死亡確認となっていた。軽度の認知症で神経内科に通院して、アリセプトとメマリーの処方を受けていた。いつも夫が付き添って、神経内科を受診した後に、内科を受診していた。もともと心気症傾向がある方で、物忘れを自分でさかんに気にしていて、内科でもそのことを何度も嘆いていた。最近は、物忘れの訴え方が以前よりあっさりしてきた印象があった。最後の受診は先月だった。何でも先月にも浴槽内で同じようなことがあって、その時は助かったそうだ。その後夫も気を付けていたというが、今回実際気付いたのは入浴し始めてから1時間後だった。

 浴槽内で心肺停止となって救急搬入されることが、年間0~2例あるような気がする(正確にはわからない)。何かで読んだが、案外この原因はよくわからないらしい。今回はAutopsy imagingをしていないので(溺死としたそうだ)、正確にはわからない。うっかりウトウトして寝てしまい、お湯を誤嚥してそのまま亡くなることもあるのだろう。また、脳血管障害や心疾患(急性心筋梗塞など)の発症で急死して、その場が浴槽だったという可能性もある。その結果として溺死に陥ることもあるだろう。

 自分の父方の祖父も浴槽内で死亡しているが、運ばれた状況はなどまったくわからないので、担当した病院・医師が死因をどうしたかもわからない。5年前くらいに、外来で診ていた患者さんが1年間で2名浴槽で亡くなったことがあった。1名は90歳代の女性で、側頭動脈炎で通院していた。2年間の治療でいったん終了として、その後に再燃した。再度治療を初めてしばらく経ってからだった。別の用事で病院に来ていた息子さんが、たまたま廊下で会った時に教えてくれた。もう一人は60歳代くらいで、担当した先生が急性心不全としていたが、実際の病態はわからなかった。自分が救急当番の時に、浴槽内で心肺停止になった患者さんが死亡した場合は、必ずAIを行うことにしている。

コメント (1)
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