昨日は日直が終わった後、そのまま病院に泊まっていた。当直は大学病院の外科医(大学院生)で、外傷(軽症)とインフルエンザの患者さんが受診していたが、内科入院はなかった。
夕方救急当番だった消化器科医から、内科に糖尿病・高血圧症で通院している60歳代後半の女性が、浮腫と息切れで搬入されたと連絡が来た。胸部X線・CTで両側胸水貯留を認め、BNPが400台と上昇していた。
この方は昨年1月に地元の町立病院から糖尿病壊疽で当院血管外科に紹介された。紹介先の病院に通院歴はなく、壊疽での初診だった。HbA1c14%で血糖500mg/dlと高値だった。高血圧症もあった。すぐに糖尿病の治療が内科に依頼されて、インスリン強化療法を開始した。(入院時の胸部X線)
血糖は1か月で改善して、インスリンを中止して、経口血糖降下薬(DPP4阻害薬+メトホルミン少量)になった。血圧もARB少量で改善した。入院中に、足指の切断術が行われたが、当初の見込みよりは大分ましな処置に留まったらしい。
退院後は当院外来受診を希望されて(紹介先の先生は糖尿病専門医だったが)、内科に通院していた。HbA1cが6%前後で推移して、経過良好だった。先月の受診後から下肢の浮腫が出始めたそうだ。どうも受診が遅れる傾向がある人だ。前回外来での血圧が160/90と高く、Ca拮抗薬を追加していた。(今日の胸部X線とCT)
洞調律で上室性期外収縮が入る(AFではない)。AS様の心雑音を聴取されたが、循環器科で心エコーを診てもらうと、軽度のMRはあるが、EFもよく有意な弁膜症はなかった。受診時に血圧が180と高く、高血圧による心不全ではないかという。ハンプで治療開始するそうだ。血糖コントロールが良いので、油断した形になってしまった。よろしくお願いします。
(追記) どうも、きちんと内服していなかったらしい。搬入時に心電図でPACショートランが出ていたが、翌日には心房細動になったそうだ。降圧薬の内服がおろそかだったことと、発作性に心房細動が出ていたことが、悪化した原因ではないかという。