昨日は腎臓内科医の講演会を聴きに行った。慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)は、2002年に腎臓内科側からではなくて、アメリカ心臓協会american heart association(AHA)が言い出したことだそうだ。透析治療の現状と糖尿病腎症のお話だった。
CKDはの重症度は、原因(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、蛋白尿(アルブミン尿Albuminuria:A)によるCGA分類で評価する。要するに、糖尿病とそうでないもの(高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、移植腎、不明、その他)に分けている。
CKDの診断は、1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害が明らかなもの、特に蛋白尿が重要。尿蛋白0.15g/gCr以上で、糖尿病ではアルブミン尿30mg/gCr以上 2)eGFR60ml/分/m2未満。
CKDを腎臓内科専門医に紹介するタイミングは、1)高度の蛋白尿(蛋白尿0.50g/gCr以上、または2+以上)、2)蛋白尿と血尿がともに陽性、3)eGFR50ml/分/m2未満(40歳未満では50ml/分/m2未満、70歳以上では40ml/分/m2未満)。
糖尿病があると顕性アルブミン尿で全例紹介になるが、そうもいかない。紹介しても、経過をみて悪化した時にまたご紹介下さいになってしまうだろう。
高血圧症や糖尿病の治療と別に、腎障害そのものを改善する薬剤の開発もされているそうだが、実用的なものは今のところない(副作用で中止など)。腎症の進行の早いfast progressorがいて、短期間で透析導入になってしまう。一方で高齢の糖尿病患者さんで、中年の時から血糖コントロールが良くないのに、それほど合併症が目立たない方もいる。レガシー効果と言うが、体質的なもの?。
尿蛋白陽性の糖尿病患者を糖尿病腎症と診断してよいかという問題があり、他の疾患との鑑別を要する場合がある。教科書に載っているが、座長から恒例の「会場から質問を」と言われたので、座を盛り上げるために質問した。
教科書的には、1)罹病期間が5年以下、2)網膜症がない、3)尿潜血も陽性、4)急な尿蛋白の出現、5)尿蛋白が非常に多い(5g/日以上、要するにネフローゼ)、6)急激に腎機能が悪化、7)炎症反応、補体異常を伴う、など。
現在担当している糖尿病腎症の患者さんでは、ひとりが透析導入寸前、ひとりがネフローゼの悪化で困っている(前者は手遅れだが)。