なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「人類最強の糖質制限論」

2017年02月27日 | Weblog

 土日は江部康二先生の「人類最強の糖質制限論」を読み返していた(人類最強は出版社でインパクトを狙って付けたのだろう)。22の章に細かく分かれていて、要するにというまとめがなく、重要なことが各所に散らばって記載されているので、案外わかりにくい。

 高雄病院のスーパー糖質制限食のエネルギー産生栄養素バランスは、糖質12%・たんぱく質32%・脂質56%の比率。糖質を制限する分、カロリー摂取を減らさないようにタンパク質と脂質をしっかりとる。

 血糖 血糖を上げるのは糖質のみで、脂質とタンパク質は血糖に直接影響を与えない。(日本糖尿病学会は、血糖に影響を及ぼすのは主に炭水化物(糖質)ですが、脂質とタンパク質も影響を及ぼします。根拠はないそうだ。)

 食後に血糖値が上昇すると、インスリン(肥満ホルモン)が大量に追加分泌される(高インスリン血症)。血糖は筋肉に取り込まれ、余ると血糖はグリコーゲンとなって筋肉と肝臓の細胞に蓄えられる(肝臓は70~80gまで、筋肉は200~300gまで)。さらに余った血糖は脂肪細胞で中性脂肪に合成されて体脂肪となる(つまり太る)。糖質制限では、食後の血糖値が上がりにくく、肥満モルモンであるインスリンの追加分泌が起こりにくいので痩せやすくなる。

 カロリー 糖質制限食は糖質を制限するだけで、カロリーは制限しなくていいが、いくらでも食べていいというわけではない。1日に必要なカロリーは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の「推定エネルギー必要量」が目安になる。性別・年代・身体活動レベルで別れているが、概ね男性2500Kcal/日前後、女性2000Kcal/日前後。

 タンパク質 糖質制限食ではタンパク質の摂取量が2.0g/Kg以上になるが、「日本人の食事摂取基準」には、「タンパク質の耐容上限量を設定する根拠がないため設定しない」とあり、。タンパク質のとりすぎは心配ない。タンパク質が不足すると、筋肉が落ちやすく、基礎代謝と消費カロリーが下がって太りやすくなる。

 脂質 自分の活動量に見合ったカロリーの上限を超えない限り、脂質の摂り過ぎだけで太ることはない。コレステロールは肝臓で80%が作られているので、食事はコレステロール値に影響を与えない。

 健常人は糖質1g当り血糖値が0.5~1.0mg/dl上昇し、2型糖尿病では糖質1g当り血糖値が3mg/dl上昇する。食後2時間の血糖値が140mg/dlを越えると血管にダメージが及ぶ。健常人も糖質制限を行うべき。

 運動の主要なエネルギー源は糖質と脂質。糖質は血液中に血糖として5g、筋肉と肝臓にグリコーゲンとして300g(1200Kcal)ほどしか蓄えられない。脂質は体脂肪として数十Kg(11万7000Kcal、体重65Kg体脂肪率20%として)蓄えている。体は脂質をメインのエネルギー源にしている。

 とりあえず、こんなところか。自分はどうかというと、山田悟先生のゆるやかな糖質制限を目指しているが、実際はもっとゆるやか。山田先生も講演会で自分はもっとゆるやかな糖質制限と言っていた。

 病棟のインフルエンザ患者発生は、金曜日の病棟看護師さん1名が今のところ最後で、昨日高齢男性が発熱したが、誤嚥性肺炎のようだ。今週末で入院制限・面会制限を解除できるか。

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