昨日救急当番だった消化器科医が、2名入院するので、次の救急車の患者さんを診てほしい連絡してきた。その2名の患者さん。
ひとりは90歳男性で、内科医院から心窩部重苦感・食欲不振で紹介された。肝機能障害があって、3年前に総胆管結石で入院した時と同じでしょうかという紹介だった。その時は当方が担当していた。
診断はすぐについて、胆嚢結石・総胆管結石があり、胆道感染を併発していた。内視鏡治療のできる消化器病センターのある病院に連絡したが、ベット満床で受け入れできなかった。やむなく、当院入院で抗菌薬投与を開始したが、血圧が低下した。もう一度連絡したところ、ベット満床は同じだというが、引き受けてくれた(そこは廊下にベットを置いて治療する裏ワザを使うそうだ)。
内視鏡的に総胆管結石を摘出されたが、年齢的に胆嚢結石はそのまま経過観察となった。治療後は当院に戻ってきて、静養して歩行可能になったところで退院していた。
今回はというと、肝左葉に腫瘤があった。肝炎はなく、腫瘍マーカーはCA19-9が1000と高値で、画像としては胆管細胞癌と診断された。この年齢だと、治療はないだろう。消化器科医が気にしていたのは、腫瘍は肝表面に達していて、そこに出血をきたしているのではということだった。
3年前に診た患者さんと言われてもすっかり忘れていたが、当時ベット満床でも受け入れてくれたことは憶えていた。今でもお世話になっているありがたい病院だ。
もうひとりは、88歳女性で、自宅内で「動けない・食べられない状態」になっていた。筋原性酵素が上昇して、腎機能障害もある。低体温だったが、せき込んでいたので時節柄インフルエンザ迅速試験を提出したら、A型陽性と出たそうだ。軽度だが肺炎も併発していた。内科で診てもいいのに、自分が救急で受けたので、そのまま主治医になっていた。そんなにかかえ込むと身体を壊しますよ。