なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

拘留中の受診

2017年02月05日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。警察に拘留されている30歳代前半の男性が救急搬入された、手錠をされていて、警察官2名が付いてきた。この方は昨日も頭痛を訴えて救急搬入されていた。昨日は大学病院の医師だったので、頭部CTで異常なしとして帰していた。血液検査も異常なかった。

 今日は頭痛・胸痛・腹痛を訴えていて、過呼吸になっていた。興奮した様子だが受け答えはできた。点滴と血液検査を提出して、安定剤(アタラックスP)を点滴静注して、結果待ちとした。腹部全体に疼痛を訴えるが、ちょっと部位をずらして肋骨を押してみると、それも痛いという。心因性っぽい印象ではあった。血液検査は異常なかった。

 心電図、胸腹部CTを行ったが、問題ないようだ。その後寝てしまったので、バイタルを再確認しながら、付いてきた警察官から事情を聴いた。当然罪状は教えてくれないが、新聞に名前が載っていたので、看護師さんたちは知っていた。10日前に逮捕されて、ずっと拘留されている。

 もともと内科クリニックに心身症と言われて、通っていたそうだ。訴えは身体的なものだが、心因性要素が大きいということだろう。警察でもわかっているので、精神科病院を受診させて、安定剤の処方をもらっていた。ただ、内服拒否だったそうだ。

 3時間経過したところで、起こして、いろいろ訊いてみた。症状は治まっていたが、どうかと訊くと、朦朧としますとはっきり答えた。まあ、快調ですとは言わないだろう。かかりつけの内科クリニックの方が慣れていて、それなりに信頼しているので、そちらからの処方がほしいという(内容は不明)。本音は、入院して今の環境から逃げたいようだ。今日は点滴2本をして、安定剤頓用を出して、帰ってもらうことにした。点滴して本人が寝ている間、ずっと付き添っていた警察官も大変だ。明日また来るかもしれない。

 発症様式と症状から、頭蓋内出血と思われる患者さんの搬入依頼が2件あった。1件は遠方で違う診療圏地域だった。高速道路で行きやすい医療センターへの依頼を勧めた。もう1件は当地域の救急隊だが、基幹病院に直接連絡するよう勧めた。ダメならまた電話をもらうことにしていたが、その後かかってこなかったので、受け入れてもらえたのだろう。当院は脳外科がないので、頭部CTだけ検査して、また搬送にななってしまう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする