なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

narrow QRS tachycardia

2021年03月07日 | Weblog

 土曜日は内科の日直をしていた。数日前から発熱が続く69歳女性が受診した。発熱外来(院内の通り決めで、標榜はしていない)扱いになる。

 当院の呼吸器外来(非常勤の大学病院医師担当)に通院して、ICS/LABAを吸入していた。金曜日に、風邪の時などに受診する内科クリニックに連絡したところ、以前処方されたセフカペンが残っているなら、それを内服して経過をみるように言われたそうだ。

 受診時に喘鳴はなかった。最近喘息は落ち着いている。鼻汁・咽頭痛・咳・痰はなく、診察しても特に異常はなかった。胸部X線で両側肺に斑状の浸潤影を認めて、血液検査で炎症の上昇もあった。

 発熱37.7℃で、他のバイタルに異常はないが、食欲もないということで入院治療とした(患者さんの希望もあり)。痰はまったくなく、培養は出せなかった。セフトリアキソンで治療を開始した。

 

 問題は肺炎だけではなかった。受診時から頻脈があり、動悸を感じるという。これまでも短時間の動悸を感じることがあり、同じ症状だった。心拍数140前後/分で、RR間隔は整だった。

 心電図を見たが、洞性頻脈・発作性上室性頻拍(PSVT)・心房頻拍(AT)・心房粗動の区別がつかなかった。どうしようかと思っていると、急に心拍数80/分の正常洞調律に変わった。少なくとも洞性頻脈ではなく、上室性の頻拍発作は間違いない。

 病室に上がって、そのまま心電図モニターをつけていると、また短時間心拍数150/分になり、その後すぐに心拍数80/分の正常洞調律に戻った。ワソラン内服で経過をみることにした。

 

 増井伸高先生の「心電図ハンター」によれば、narrow QRS tachycardiaの鑑別は、まずRR間隔が不整の心房細動と、RR間隔整の洞性頻脈・発作性上室性頻拍(PSVT)・心房頻拍(AT)・心房粗動を分ける。

 RR間隔整の場合は、修正バルサルバ法かATP test(アデホス急速静注)により、房室結節を機能停止させてQRS波形を消失させる。P波の頻拍が消失すれば、発作性上室性頻拍(PSVT)で、P波が継続していればそれ以外になる。また前者では洞調律化することが多いが、後者はもとに戻る。

 洞性頻脈になる病歴や身体所見があれば、洞性頻脈を考える。動悸症状があれば、心房頻拍か心房粗動になる。

 心房頻拍か心房粗動の鑑別は、「P波の拍数」が、250拍/分未満なら心房頻拍、250拍/分以上なら心房粗動。また「P波の幅」が、心房頻拍は狭く、心房粗動は広い。

 ということになっているが、難しい。

 

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