金曜日の早朝に86歳男性が発熱・呼吸困難で時間外の救急外来を受診した。慢性閉塞性肺疾患(COPD)で呼吸器科外来(外部の医師担当)に通院していた。
14年前の当院に呼吸器科常勤医がいる時に肺炎で入院していた。その後は入院時の担当医の外来に通院して、移動でいなくなってからは非常勤医の外来に回されていた。
新型コロナウイルスとインフルエンザの抗原検査陰性を確認した後に、通常の画像検査・血液検査を行っていた。検査後に当直だった外科医から入院治療を依頼された。
患者さん自身は元気?で、年齢の割にハキハキと答えていた。白血球6000・CRP9.8だった。胸部X線・CTでは著明な気腫性変化を呈している。それに浸潤影が加わっていると思われるが、判読しにくい。
酸素2L/分吸入で酸素飽和度は何とか90%以上になっていた。肺炎併発によるCOPD増悪として抗菌薬投与(セフトリアキソン)を開始することにした。病棟に上がって、昼食を食べだしてから酸素飽和度が70%台に低下した。食事を中止して、酸素5L/分に増量した。
週末絶食・水分(と内服薬)のみとしていたが、酸素吸入を漸減して、今朝は酸素が中止になっていた。
聴覚言語療法士(ST)さんに診てもらうと、普通の食事で大丈夫ですと言われた。金曜日の食事のことをお話して、嚥下調整食4(全粥刻み食とろみ付き)で開始した。
入院時に呼吸器科で入院した時のことが気になっていた。肺炎に対して当時あった第2世代ニューキノロンのパシル(パズフロキサシン)で治療を開始していた。抗菌薬に対する反応が悪いことから、間質性肺炎(NSIP)疑いとされていた。
ステロイドパルス療法からプレドニン内服にして、画像所見・血液検査所見が軽快したという経緯だった。ただし、抗菌薬も併用していた(ファーストシン、CZOP)。ステロイド内服は外来で継続されて、約半年で漸減中止になっていた。
今回の陰影もすりガラス陰影と言えなくもなかった。ステロイドを併用すべきか迷ったが、結局抗菌薬だけで経過をみた。経過は抗菌薬に反応したようになっている。
間質性肺炎とされたが、実際は変更した抗菌薬(ファーストシン)が効いた?(推定になるが)。入院時に間質性肺炎のマーカーも提出していた。結果はKL-6が正常上限、SP-Dが正常より高値を呈している。悩ましいが、このまま抗菌薬継続で経過をみることにした。