なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腿骨頸部骨折

2021年03月15日 | Weblog

 親戚の91歳女性が火曜日の夜に転倒して、その後から痛くて動けなくなっていると、金曜日にその息子さんから連絡がきた。ベットから降りて、ヒーターのスイッチを押そうとして転倒していた。どこを痛がっているかと訊くと、とにかく足腰が痛いと言っているそうだが、具体的な部位がわからない。

 11年前に右大腿骨頸部骨折の既往があるので、今後は反対側かもしれないと思ったが、腰椎圧迫骨折や骨盤骨折の可能性もある。本来は整形外科の問題で、当院は昨年から整形外科医はいないが、まず来てもらうことにした。手術が必要な骨折があれば、紹介するしかない。

 介護タクシーで車いすに座って受診した。どこが痛いのかと訊くと、左大腿部だったり、右大腿部だったり、本人の訴えがはっきりしない。

 座位では診察できないので、外来の看護師さんにストレッチャーを持ってきてもらって、その上に横臥させた。左下肢が短縮して外旋している。大腿骨頸部骨折のようだ。

 放射線科でまず骨盤X線を撮影してもらうと、左大腿骨頸部骨折だった。骨盤骨折(恥骨・座骨)はない。腰椎X線は取り消して、大腿骨の2方向のみにした。

 右大腿骨頸部骨折の手術を受けた病院に連絡すると、今はたいていそうだが、地域医療連携室に回された。事情を説明すると、整形外科は手術中でその日の受け入れはできないが、週明けの月曜なら可能という。

 当院入院で待機して、週明けの転院にしてもらった。内科で入院して、アセトアミノフェンとセレコキシブ内服で週末を過ごして、今日先方の病院に転院となった。

 そういえば11年前の右大腿骨頸部骨折の時は、自分でタクシーを呼んで、整形外科クリニックを受診した人だった。その時よりさらに年齢が進んでいるし、今回は歩行できるようになるだろうか。

 診療情報提供書に、「当院には整形外科常勤医はいませんが、回復期リハビリ病棟があり受け入れ可能です」と記載した。

 

 「心電図ハンター」を出された札幌の救急医・増井伸高先生が「骨折ハンター」(中外医学社)も出されている。ちょうど読んでいるところだった。整形外科医がいない病院の必読書かもしれない。

骨折ハンター レントゲン×非整形外科医

 

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