なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性心筋梗塞

2021年03月04日 | Weblog

 昨日、山間の診療所からの紹介で、食欲低下の92歳男性が内科新患を受診していた。

 診療情報提供書に、4~5年前に地域の基幹病院で左肺癌と診断されたが診療拒否していたとあった。診断されたのが80歳代後半なので、治療の対象にはならないだろう。方針としては経過観察して進行時には緩和ケアとなる。

 症状としては2~3日前からの食欲不振のみで、胸部症状はなかった。発熱もない。胸部X線で左肺の腫瘍と胸水貯留を認めたため、肺癌による症状として紹介してきたようだ。内科の若い先生(3年目)が担当していて、検査を一通り提出していた。

 別の患者さんのことで、内科再来をみていた当方のところに相談にきていた。検査室から連絡が入って、トロポニンが高値だという。画面で心電図を確認すると、Ⅱ・Ⅲ・aVFでST上昇があり、Ⅰ・aVLと胸部誘導に鏡面像のST低下がある。下壁の急性心筋梗塞だった。

 胸部X線・CTでは確かに肺癌の腫瘤と胸水があるが、血圧・脈拍・酸素飽和度に問題はなかった。超高齢で肺癌はあるが(PCIの対象にならないかもしれないが)、急性期は循環器科の扱いになる。地域の基幹病院循環器内科に連絡して、救急搬送してもらうことにした。

 認知症の検査結果をまとめて、家族の希望する精神科病院への診療情報提供書を準備していると、搬送の救急車のサイレンが聞こえてきた。循環器内科で引き受けてくれることになったそうだ。(当院循環器科は2月で閉科)

 急性期の治療後に転院で戻ってくるのだろうを思っていたが、そうはいかなかった。付き添っていった救急科の看護師さんの報告では、救急車が先方の病院に到着する直前に心肺停止になって、蘇生をしながらの搬入になったそうだ。

 心電図ではⅠ°の房室ブロックがあったが、完全房室ブロックになったのか、心房細動が発症したのだろうか。

 

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