内科の若い先生が担当していた93歳女性のその後。
発熱で受診して、感染源が不明だった。胸水貯留があり、肺炎・胸膜炎疑いで治療を開始した。胆嚢内に結石があり、当初は胆嚢炎の所見がはっきりしなかったが、次第に胆嚢壁肥厚・debrisの貯留が明らかになり、急性胆嚢炎と確定した。
外科と相談したが、ラパ胆嚢などの手術は難しく、胆嚢ドレナージ(PTGBD)も手術前提の処置なので施行し難いと言われた。抗菌薬投与で保存的に治療するしかない。
ゾシン(PIPC/TAZ)で開始したが、発熱が続き炎症反応も軽快しなかった。ゾシンとどれほど違いがあるかわからないが、メロペネム(MEPM)に変更した。メロペネムが効いたのか、投与期間の問題か、幸いに軽快してきた。
絶食が長期間継続となっていたので、大腿静脈からCVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液にしていた。胆嚢炎の軽快後に、食事摂取による悪化は心配されたが、もう食事を出して経過をみるしかないので食事開始とした。
今週は若い先生が、次の勤務先への引っ越し作業もあり有給休暇に入ったので、当方が引き継いだ。月曜日から発熱があり、右膝関節の熱感・腫脹もあった。
関節炎ならばNSAIDsで経過をみられるが、39℃の高熱と悪寒(・戦慄?)もあり、血液培養提出後にCVカテーテルを抜去した。
幸いに食事摂取できて、短期間ならば末梢静脈からの点滴もできる。胆嚢炎が再燃で悪化して、また長期の絶食・点滴になる時はCVカテーテルを再挿入すればいい。
NSAIDs投与とカテーテル抜去を同時に行ったので、どちらが効いたか確定できないが、その後は解熱している。全身状態からみて、カテーテル関連血流感染ではなく、関節炎だったような気はする。
それにしても、感染病棟に入院している新型コロナの96歳女性・97歳女性といい、ここまで生きている超高齢女性は丈夫なものだ(肉体的なエリートさん、と呼んでいる)。