なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

くも膜嚢胞

2021年03月03日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院脳外科から40歳代の女性が転院してきた。くも膜嚢胞術後でリハビリ目的だった。

 もともと軽度の精神発達遅滞があったらしい。支援学級を勧められていたが、普通学級で過ごしたと記載されていた。店番の仕事をして収入を得ていた。

 今回は昨年末から、よく転倒するようになって病院を受診した。頭部CTで著明な水頭症を認めて、脳外科に紹介された。診断はくも膜嚢胞による水頭症だった。

 年末に嚢胞開窓術が行われたが、嚢胞は複数・複雑で大変だったそうだ。水頭症は軽度に改善したが残存していた。動眼神経麻痺や運動失調が残り、歩行はできるが、転倒することがあるという。

 先方としてはそのまま退院でもよかったようだが、家族はすっかり元に戻って、仕事ができることを期待していた。脳外科医から転院の依頼と家族に希望を聞いて、これまもめそうだと思った。

 普通はしてないが、まず両親に来てもらうことにした。転院でリハビリを行うのはかまわないが、すでに1か月以上リハビリがされていることから、さらに改善することは期待し難いと説明した。約1か月行って、あまり状態が変わらないと病院を責められても困ります、と伝えた。

 どのくらい理解したかわからないが(わかっていないか)、毎日でもリハビリの様子を見に来たいような口ぶりだった(このコロナの状況でもどこの病院でもそれは無理)。

 患者さんが頭部の画像検査を受けたのは、今回が初めてだった。もし子供のころに受けていれば、もっど早い時期に処置ができて、違った人生になった可能性もある。

 理学療法と聴覚言語療法を1か月行うことにした。当方としては、一生診ないような病気を見たことになる。(画像は先方の病院のもの)

 

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