先々週、地域の基幹病院呼吸器内科から95歳男性が転院してきた。誤嚥性肺炎で入院して、肺炎自体は軽快したが、嚥下訓練を行った結果、ゼリー少量くらいが嚥下できるかどうかだった。
超高齢者であり、末梢の点滴で経過をみて、嚥下訓練は無理のない程度に継続となっていると伝えられた。実際に転院してくると、その5日前から嚥下訓練は中止になっていた。
脳の情報(嚥下障害の原因)はなかったので、頭部CTを行った。多発性ラクナ梗塞はあるが、大きなものではない。部位的に症状が出るところだったのか。
先方と同じ方針で経過をみていいのかと家族に相談すると、長くは生きてほしいが、痛みを伴う処置はしないでほしいということだった。
胸腹部CTで見ると、胃は胃瘻造設は難しい位置にある。手足を動かしてしまうので、体幹抑制と手の抑制をしないと高カロリー輸液もやりにくい。
そのうち意識レベルが低下して、頭部CTを再検すると、左後頭葉に脳梗塞が発症していた。
また、タール便が出たと報告がきて、その後治まっているかと思われたが、Hbが11g/dlから5g/dlまで低下していた。排便してなかっただけで、消化管にはたまっていたようだ。
輸血を行うことにした。緊急内視鏡検査は貧血の経過をみて実施するかどうか決めるが、検査の時に誤嚥しそうだ。
転院してきた時より、手足の動きが鈍ってきたので、これならCVカテーテル挿入もできそうだ。95歳だが、濃い治療をすることになってきた。