なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

やはり肺結核

2021年03月26日 | Weblog

 先々週、検査技師さんから他の病院に入院している家族(姑の80歳代女性)のことで相談された。

 1月に腰椎圧迫骨折で入院したが、その後から発熱が続いているそうだ。原因不明ではなく、肺に陰影があり、何らかの肺炎には違いない。その病院には呼吸器科医もいて、大学病院の呼吸器内科からも診療に来ていた。

 発熱が続いていて、このご時世なので面会もできない。大学病院の先生と相談して、なんと肺生検をすることになった。

 しかし特異的な所見は得られずに、原因不明のままだった。発熱が続いていて、食事摂取もできないらしい。当院に転院させたいがどうでしょうか、という。

 当院には呼吸器内科医はいない。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に相談はできるが、通常の検査・治療で軽快しないのであれば、呼吸器内科のいる病院が望ましい。

 当院に来たから、診断・治療がうまくできて軽快する保証はない、と伝えた。それでもいいと言われたが、当然改善することは期待しているはずで、悪化すれば不満が残る。

 

 担当医から診療情報提供書が送られてきた。突然の転院希望で、と記載していた(まあ機嫌は損ねるだろう)。肺に粟粒影とあるが、粟粒影というからには結核を想定している?。

 通常の抗菌薬に反応しない肺炎ということになると、結核などの感染症や間質性肺炎などの免疫系の疾患になる。通常の細菌性肺炎で1か月以上発熱が続けば、悪化してとてももたないだろう。状況的には肺結核が疑われる。

 当院に転院するのであれば、個室管理でN95マスクで、喀痰あるいは胃液の抗酸菌塗抹・PCR・培養を繰り返すことになる。急性期病棟の個室を準備していた。

 昨日感染病棟に新規のCOVID-19の入院があり、感染管理ナースといっしょにいるところに、その検査技師さんがやってきた。先方の病院で喀痰の抗酸菌塗抹をしてガフキー1号と出たが、そのまま転院でいいか、という。そうであれば、結核菌のPCR検査を提出しているはずだから、その結果をみてからにしましょうと答えた。

 その後また連絡がきて、PCR陽性と判明したと病院から連絡が入ったそうだ。そうなれば県内の結核病棟をもつ病院に転院になるので、当院に来ることはない。腰痛の原因も、案外結核性脊椎炎なのかもしれない。

 

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