67歳男性が午前1時ごろから左側腹部通が続いて、内科新患を受診した。担当は大学からの応援医師だった。血液・尿検査でまったく異常がなかった。便秘でしょうということで、ガスモチン・マグラックスが処方された。帰宅したが、午後になって痛みが強くなって夕方また受診した。外来の看護師さんから連絡が来て診にいった。
発症は突然らしい。部位からいうと尿管結石かと思われたが、結石では痛みがこんなに持続しない。午前中の腹部単純X線ではわからないので、腹部CTを行った(時間があれば腹部エコーから始めるが、午後4時半だったので)。腎尿管結石はなかった。他にも異常は認められない。念のため行った直腸指診は異常なし。血便はなくて虚血性腸炎ではなかった。
遠方の病院の循環器科に心臓ペースメーカー植え込み術後で通院している(薬の説明書あり)。また当地の基幹病院呼吸器科に気管支喘息で通院して、吸入薬をもらっている(シムビコート)。心電図ではペースメーカーリズムで規則的に拍動している。もともと除脈頻脈症候群で発作性心房細動があるのかとも思ったが、完全房室ブロックでのペースメーカー植え込みだった。CTで見ると、年齢の割に大動脈の石灰化が目立ち、左腎動脈の枝もけっこう石灰化がある。あとは腎梗塞しかない。心臓カテーテル検査の時に造影剤を使って、何ともなかったというので慎重に造影検査もすることにした。
左腎臓の一部が造影されず、腎梗塞だった。循環器科からバイアスピリンが処方されている。動脈硬化による病変とすれば、それ以上の処方もない。入院して鎮痛剤で1週間経過をみることにした。