なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

送別会

2015年01月21日 | Weblog

 昨夜は当地の基幹病院消化器科のトップM先生の送別会があった。当院の消化器科医2名と私とでご招待という形にした。病院は違うが、この約6年間大変お世話になったのと、他県に行かれるので会う機会がなくなるかもしれない。病院での送別会が続いて、今週は毎日のように送別会だと言っていた。話し好きというか、話の面白い先生で、こちらが大いに楽しませてもらった。

 この春の県内の先生方の動向にも詳しく、医局の教授とも懇意なので、いろいろと情報を教えてくれた。I赤十字病院の副院長A先生が、院長が定年になるJCHO病院の院長になること。I赤十字病院のA先生はM先生の後に入ることを希望したが、I病院の副院長として残ることになったこと。K中央病院の院長が北海道の病院に移ること。さらにK中央病院の病院管理者の先生も辞めるので、医局からのバックアップがなくなりそうなこと。へえーと興味深く聴いていた。当然話題に上がった先生方の人柄やエピソードも出る。やっぱり人の噂は面白い。当院も4月からの院長人事もまだ正式には発表されていないので、よその病院のことをとやかく言っている場合ではないが。ひとり1万円の予算でふぐ刺しなどが出て、「久しぶりにおいしい魚料理を食べた」と満足されたようだ。

 今日は病棟の歓送迎会だった。病棟看護師長が変わるのと、新たに他の病棟から内科病棟にくる看護師さんがいるので、新年会を兼ねて開かれた。入院患者数が多いことと、看護記録の記載に時間がかかるので、日勤の看護師さんの多くは2時間近く遅れて会場に来た。最近看護記録の記載の仕方が変わって、項目の多い記録の書き方に不満が出た。内科の若い先生たちも受け持ち数が多くなって、カルテ記載が簡単になってしまっているという。私は省エネに徹して、最小限の記載でやっている。退院サマリーだけは入院した日から書き始めて、退院が決まるとその場で完成させている。当院はオーダリングはコンピュター入力だが、紙カルテを使用している。来年1月から電子カルテに移行する予定だ。

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死体検案書の書き方

2015年01月20日 | Weblog

 昨日、書類担当の事務の方から、先週の土曜日に亡くなった患者さんの死体検案書を直してほしいと言われた。土曜日の内科系日直当直は大学病院の応援医師(大学院生のバイトです)だった。

 36歳男性が実家にある納屋の2階で首つり自殺をした。捜索願が出ていてらしい。遺書もあり、自殺で間違いなかった。家族が発見して救急隊要請した。救急隊が現場に到着した時、家族が下に降ろして心臓マッサージをしていた。救急隊は心肺停止・対光反射なしを確認したが、そのまま心肺蘇生術を継続して病院に搬入した。点滴とアドレナリン注射をしたが、実際には死亡してから時間が経過していたと思われ、死亡確認となった。縊首なので警察の検視になった。

 その死体検案書だが、外因死なので死亡した場所を記載しなければならない。その記載がないので、市役所から訂正の依頼がきたのだった。大学病院の先生の署名があり、記載すべきところに線が引いてあった。どういう形で訂正をすべきか、市役所に問い合わせると、線を引いたところに記載した先生の名前の印鑑を押して、そのまま内容を記載してくれればいいという返事だった。内容もこのように書いてほしいといってきているので、その通りに記載した。「実家の納屋の2階で首を吊っているところを発見された」という簡潔な内容だった。

 「事例による死亡診断書・死体検案書記載のてびき」には縊死の記載例が載っている。ただ、「死亡したところおよびその種別」には首を吊った場所が記載してあり、発症から死亡までの時間は「短時間」をされている。現場で警察医が呼ばれて、死体検案書を書けばそうなるのだろう。今回のように救急隊が心肺蘇生術をして病院に運んできた場合は(実際はすでに死亡されている)、正確にはどうなるのだろうか。

 今回の書類は「死亡した場所」を病院にしていた。「発症から死亡までの時間」は4時間となっていた。行方不明になってから(遺書を見つけて騒ぎになったのだろう)家族が発見して、病院に搬入されて死亡確認した時間を書いたと思われる。「死亡したところ」は現場ではないのか、「発症から死亡までの時間」は短時間ではないのかとも思うが、そうすると心肺蘇生術の時間は何なのかということになる。市役所はその点は問題にしていないので、訂正依頼のあった部分だけ言われたとおりに追加して戻すことにした。事務的に問題なければそれでいいのだろう。

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マルクの結果

2015年01月19日 | Weblog

 先週の話だが、外科に入院していた85歳女性に行った骨髄穿刺の結果が返ってきた。末梢血の白血球数が3~4万でほとんどが単球だった。貧血があるが、血小板減少はない。コメントは以下の通り。

 「異形成の単球系細胞が85%と著増しています。芽球(単芽球?)は7%で、残りが前単球か単球であり、約半数近くは前単球と思われます。末梢血所見上はCMMLが示唆されます。骨髄標上では芽球およに前単球が30%以上あり、CMMLの急性転化やAML・M5bに相当する様に思われます。臨床所見および他の検査所見を含めた総合的な診断が望まれます。」

 県立がんセンター血液科に転院になったが、その前日に結果が来た。確かに著明な単球増加を呈するものは、これらしかないらしい。がんセンターの先生に電話で相談すると、末梢血所見だけで上記の疾患だろうと言われた。こちらで骨髄穿刺をしないで、そのまあ紹介すればよかったか。紹介状に骨髄の未染標本を付けたので、がんセンターで行う手間が省けたとも思うが、検体を使ってさらに専門的な検査に回したのかもしれない(その辺の検討がまったくつかない)。

 たぶん今後一生見ない症例だったのだろう。なんとか治療で改善してくれるといいが、高齢で転院前に肺炎の治療も開始されていたので、厳しいかもしれない。

 研修医の時に、出血性胃潰瘍で入院した23歳女性に血小板減少があった。(白血球数も3000くらいで低下していた。末梢血に芽球はなかった。)止血処置と輸血で出血性潰瘍自体は落ち着いた。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が疑われて、指導医に骨髄穿刺をするように言われた。結婚前の若い女性に、なんと胸骨の穿刺を行った(腸骨の穿刺を行う指導医はいなかった)。今だったら、若い女性のITP疑いなら、最初から血液の専門医に紹介するだろう。胸骨を穿刺したりは絶対にしない。結果は急性リンパ球性白血病だった。

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インフルエンザばかり

2015年01月18日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。患者さんはインフルエンザばかり。高熱と脱力で救急搬入された96歳女性は迅速検査が陰性だったが、肺炎や尿路感染は否定的で、白血球数正常・CRP1.1もウイルス感染らしい。デイサービス先での感染が疑われた。明日再検使用とは思ったが、ラピアクタとセフトリアキソンに控えめの点滴で経過をみることにした。

 ケアネットTVで上田剛士先生の講義が始まった。医学書院から大部の著書を出されて、それを書店で見たが、とても読み切れないと思って購入しなかった。ケアネットで講義が続くので、その内容を文字で確認するためにテキストとして購入することにした。画面で見てから本を読むと理解しやすい。それにしても、恐ろしい博覧強記の先生がいるものだ。

 

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サイエンス漢方処方セミナー

2015年01月17日 | Weblog

 今日は午後からサイエンス漢方処方セミナーに行った。講師は井齋偉矢先生ですっかりおなじみになった。著書のSB新書も2冊購入している。今日のテーマは「アレルギーの漢方処方」と「不足を補う漢方薬」。アレルギーのところで気管支喘息の話はなかったが、これは呼吸器疾患の講義の枠なのかもしれない。不足を補う漢方薬として補中益気湯をもう少し使ってみたい。

 食欲不振の90歳代の患者さんが入院してくるが(少なくとも胸腹部CTで分かる程度の悪性疾患はない)、処方薬も飲めないくらいだと難しい。何とか飲めるくらいだったら試す価値はある。点滴をして経過をみて、経口摂取を試みるが、そのまま1~2か月で亡くなる人もいる。今、大腿骨頸部骨折の術後に食べなくなった92歳女性がリハビリ病棟にいて点滴をしているが、多少の薬は飲めるので早速試してみたい。

 セミナーの参加者が回数を重ねるたびに増加してきて、椅子を追加するほどだった。以前同じ病院にいた呼吸器科医と外科医も参加していた。漢方の勉強をどの本でするか迷っている。井齋先生は今のところ一般向けの新書だけしか出していない。医学書として購入するとすれば、わかりやすいところでは新見先生のモダンカンポウの本になるだろうか。

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インフルエンザ後の肺炎

2015年01月16日 | Weblog

 インフルエンザに罹患して高熱を呈して、脱力で動けなくなった高齢者(80歳以上)が救急搬入されて入院している。またインフルエンザに罹患して、いったん解熱して、その後数日して再度発熱があり、肺炎になった高齢者も入院してくる。

 今日はインフルエンザによる高熱・脱力で85歳女性が入院した(認知症治療中)。93歳女性はインフルエンザ後の肺炎で入院した。後者は施設に入所していて、インフルエンザA型陽性と診断されて、ラピアクタが点滴静注された。再度の発熱ではセフトリアキソンが投与されていた。1日だけの投与なので効果判定はできないが、投与してすぐに解熱しなければ、施設(の嘱託医)としては病院に送り込むという方針になる。セフトリアキソンを継続するか、変更するか迷うところだ。

 昔だったら、このような高齢者はインフルエンザで、あるいはその合併症で死亡したのかもしれない。今は数日から1週間で治ってしまう。いい時代になったものだ。

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胃瘻造設

2015年01月15日 | Weblog

 今日は80歳男性に内視鏡的胃瘻造設を行った。脳萎縮著明でラクナ梗塞もある。昨年9月に老人保健施設に入所したが、10月から毎月誤嚥性肺炎で入院した。今月は肺炎もちょっとあったが、経口摂取自体ができなくなっていた。奥さんに今後の治療についてお話しした。末梢点滴+可能であれば少量経口摂取、高カロリー輸液、経管栄養(胃瘻)の選択になる。発語はほとんどなく、寝たきり状態だが、このまま諦めるのはもったいないと思われる。痰の吸引がそれほど頻回ではないので、胃瘻になじんでくれるのではないかと判断された。

 胃瘻を担当している消化器科の先生に内視鏡をお願いしたが、この先生もこの頃はそれほど行っていない。たぶん全国的にも一時よりは適応を選ぶようになったので、減少しているのではないか。以前当院にいた先生は500例超の胃瘻造設を行い、看護師さんからPEG職人と呼ばれていた。胃瘻造設はケースバイケースなので、適応をガイドラインとして作成するわけにもいかない。年令で区切るのも難しい。当院では80歳代後半から90歳以上については原則的に行わない(強い希望があれば要相談ではある)。絶食にしても喀痰吸引が頻回の場合は70歳代でも躊躇せざるを得ないので(腸までのチューブもあるが)、高カロリー輸液にして療養型病床へ紹介としている。

 循環器科医が心嚢液貯留の患者さん(83歳男性、肥大型心筋症)に心膜穿刺を行ったら、血性心嚢液が引けたそうだ。明らかな肺癌はないと言っていた。細胞診待ちだが、癌以外の可能性としては何だろう。

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病態がわからないまま悪化

2015年01月14日 | Weblog

 昨夕に病棟から連絡が来て、内科の若い先生が午前中に入院させた87歳男性の意識がないという。主治医は午後用事があり、当直明けの分の休みを使っていた。病棟に行って診察すると確かに昏睡状態だった。何で入院したのかと、画面で確認すると、心房細動・心不全があって、ワーファリンを内服していた。それまでなかった肝機能障害と腎機能障害があり、適切な治療域にあったPTが伸びていた。右肺優位に胸水貯留があり、心不全の増悪とともに変化していた。入院した時は普通に?喋っていたそうだ。ほとんど発熱はない。酸素投与は要しなかった。

 てっきり脳出血を起こしたものと思って、頭部CTを撮ったが出血はなかった。脳梗塞は否定できないが、脳幹部梗塞でなければ説明がつかない。意識消失して1時間弱なのでMRIでも出ない。改めて意識障害の鑑別を思っていると、血液検査の結果は血糖12mg/dlと低血糖だった。点滴を50%グルコース40mlを静注すると、うなり始めて10分くらいで開眼した。点滴をソルラクトから10%グルコース500mlに切り替えた。夢中で動き出して、声掛けしても治まらず抑制を要した。この方は糖尿病はなく、以前の空腹時血糖は98mg/dlと正常だった。昨日まで普通に食事していて当日朝も量は少なかったが食事をとっていた(昼は食べたくなかった)。血液ガスでpH6.9と出た。代謝性アシドーシスで、メイロンも静注した。

 血圧は100mmHgちょっとでショックとしてもひどくはない。グルコースを入れてから、しだいに意識は改善して、こちらの言うことにうなずくようになった。主観的な表現だが、しっかりした開眼になった。低血糖をきたす状況とは思えなかったが、事実は低血糖だった。入院時は、病棟に車いすに乗って上がってきた。年令を考慮すれば普通にしゃべっていた。

 そのうちに主治医が病院に来た。検査結果が悪いので入院にしたが、外見的にはそう悪いとは思えなかったという。敗血症性ショックとしても、感染巣ははっきりしない。胸水とそれに接する肺が一部無気肺になっているので、その中に肺炎が隠れている可能性はある。尿混濁はなかった。CTの画像上胆道系の感染は否定的だった。

 血糖は正常域で経過して、血液ガスの所見が少しずつ改善すれば見込みがあるかと思われた(pHの値はひどいが)。あとは主治医に任せることにした。

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細菌性髄膜炎

2015年01月13日 | Weblog

 昨日の日直だった内科の若い先生が細菌性髄膜炎の80歳代男性を入院させていた。大抵は複数の神経内科医がいる地域の基幹病院に紹介しているが、寝たきりの方だったこともあり、当院で診ることにしたという。予後不良の可能性が高いことは家族も了解したそうだ。

 意識障害で救急搬入されて、頭部CT・MRIで所見がなく、ほかに意識障害をきたす異常を認めなかった。項部硬直に気づいて、髄膜炎を疑ったそうだ。検査結果を見ると、髄液に好中球優位の細胞数増加があった。

 せっかく診断をつけて治療するからには、何とか救命して、もともと低いADLのさらなる低下を最小限にしたいものだ。主治医は髄膜炎の診断ができたことで、がぜんやる気を出したようだ。今日の内科新患でも、初診の患者さんに対する説明がいつもより自信に満ちていた(様な気がする)。いやいや大したものです。私は抗菌薬の使用についてだけちょっと相談に乗った。

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インフルエンザが流行っている

2015年01月12日 | Weblog

 昨日の日直でもインフルエンザは多かった。家族内にインフルエンザに罹った人がいて、1-2日の経過で高熱・咳・鼻汁・頭痛・関節痛が出現した時は、インフルエンザ迅速試験はしないようにしている。せひと希望されると行うが、陰性のこともある。結局抗インフルエンザ薬を処方するのだが。抗インフルエンザ薬は必ずしも処方しなくてもよいが、患者さんから不要と言われた時(たまにいる)以外は処方している。自分か罹ったら必ず使うから。

 前の病院にいる時に、インフルエンザが流行っていて、食欲不振や倦怠感がひどくて入院する患者さんも数名いた。他の内科の先生が入院させた患者さんがいて、病棟の看護師さんから頭痛ひどいようですと連絡がきた。主治医は検診の仕事でその日は不在だった。頭痛と高熱で入院していたが、どうも上気道の症状はないようだった。確かに発熱があるが、主訴は頭痛だった。意識は普通に症状の有無を答えられたので、ほとんど清明だったはずだ。項部硬直があるように思われた(自信はない)。その当時の診察手技にはneck flection testやjolt accentuationはなかった。クモ膜下出血が疑われ、その小病院にはCTがなく、CTのある病院に転送すると確かにクモ膜下出血だった。

 インフルエンザの流行期には、高熱だけを呈する疾患が誤診されやすいのだろう。たとえば、急性腎盂腎炎や髄膜炎など。寺沢先生が「ノロわれた一家」の話をされる。ある一家で全員がノロウイルス感染症に罹ったと思っていると、母親は骨盤腹膜炎だったというものだ。

 小児科では他に、RSウイルスも流行っているので、迅速試験を行っている。メタニューモウイルスも検査している。どちらも成人感染するはずだが、内科ではめったに検査していない。文献はどうなっているのだろうか。

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