なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

過去8割でいく年齢

2015年01月04日 | Weblog

 医学部の時から心理学・精神医学の本を読んでいた。それで精神科医になろうという気はなかったが、内科受診患者さんの3割くらいは心理的・精神的な問題があるとも言われているので、多少は診療に役立ったようだ。

 最初は教養部の心理学の講義で精神分析の話があった。フロイトよりはユング心理学の方が好みで、当時京都大学の河合隼雄先生が売り出し中だった。河合先生の本を良く読んでいて、元型としてのトリックスターの話などが興味深かった。

 ただ。ユング心理学は文化の理解には役立つものの、普通の臨床医に直接役立つことはない。そのうちに、きっかけは忘れたが森田療法の大原健士郎先生の本を読むようになった。大原先生はラジオやテレビなどに時々出ていたし、ご自身がモデルのテレビドラマもあった。奥様が消化管の悪性腫瘍で入院して亡くなるという経緯や、息子さんも精神科医になるということが、ドラマ化に向いていたのだろう。

 森田療法の「ありのまま」は心因性の症状はそのままにして、日常生活(仕事、学業、家事など)がキチンとできるかどうかを重視する。そうちに症状にこだわらなくなれば、神経症が良くなったと判断する。この考え方は、内科を受診する心気症の患者さんには使えた。ただし、そんなことで患者さんが治ったのかというと、たぶん効果はなかったのだろう。

 そのうちに大原先生も亡くなり、新著が出なくなったころに、精神科医・春日武彦先生の本を読むようになった。一度講演会に行きたいと思っているが、まだ行ったことはない。ケアネットDVDで出ているので、繰り返して見ている。春日先生の神経症・人格障害に対する考え方は、治るということはないが、それなりに距離を保って(困ったものだと思いながら)付きあっていくしかないというものだ。

 河合隼雄先生のユング心理学と、大原健士郎先生の森田療法の本を読み返して、これまでの読書経験を再認識しようと思う。新しいものも購入していくが、これまで読んできた本や聴いてきた音楽を繰り返すことが多くなっていくのだろう。これまでのこと8割+新しいこと2割くらいだろうか。

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