今入院している53歳男性は大学病院で筋強直性ジストロフィーと診断されている。大学病院に入院している時に嚥下障害で内視鏡的胃瘻造設(PEG)が行われた。全部経管栄養だった時期もあるが、そのうちに自宅で経口摂取を進めていた。当院の神経内科外来に通院しているが、経口摂取と経管栄養の併用になっている。話をしているとすぐに痰が絡んでせき込む。
今回は誤嚥性肺炎と思われる両側肺炎で入院した。心房細動・心不全もあるので、心不全の悪化も考慮したが、それはなかった。抗菌薬投与で順調に軽快してきたが、下痢が目立つようになり、1週間弱で中止した(中止後は軽快)。入院中は経管栄養で経過をみることにして、退院後は楽しみ程度の経口摂取ということにした。肺炎で寝込んで動きが悪くなったので、もう1週間(計2週間)リハビリしてから退院してもらう。見守りで歩行器を使用して何とか歩行できた(転倒が心配)。
整形外科のリハビリ病棟に入院している82歳男性は、当地の基幹病院で急性冠症候群の治療を受けた。心不全が悪化して、人工呼吸器装着・大動脈バルーンパンピングと濃厚な治療を受けて何とか軽快した。その後誤嚥性肺炎を繰り返すために、胃瘻造設が行われた。その後自宅で生活していたが、大腿骨頸部骨折ときたした。基幹病院で手術を受けてから当院のリハビリ病棟へ転院してきた。
誤嚥性肺炎になって内科で診ることになった。紹介状をみると、いつから胃瘻の経管栄養から経口摂取に変わったのか、よくわからない。経口摂取を許可したとは書かかれておらず、経口摂取しているようですと他人事のような記載だった。おそらくご本人と家族が経口摂取を再開していて、今のところ誤嚥性肺炎がないし、まあいいかという事後承諾だったのではないか。そのままいければ問題はないが、やっぱり誤嚥性肺炎をきたしてしまった。食べたいと言われれば、まあ楽しみ程度の量にして、ムセたらすぐにやめて下さいと言うしかない。一生食べるなとは言えないだろう。ただ軽症の肺炎ですぐに治るとは限らず、ひどい両側肺炎になって危険な状態になることもあるので、病院としては食事量を増やすなら、覚悟をもってやって下さいと言いたくなる。