2月下旬の金曜日の夜間に、高熱の84歳女性が救急外来を受診した。当直は外部の先生(バイト)だった。
急性腎盂腎炎の診断で入院にして、血液培養2セットと尿培養を提出していた。抗菌薬投与で4日めの月曜日には解熱した。
入院してみると、認知症があり、点滴ラインの途中から外して血だらけになったりした。ポータブルトイレ使用後に、下半身裸で立っていたりする。家族(息子)に訊くと、物忘れはあるが、それほど気にしていないという。
血液培養2セットと尿培養から大腸菌が検出された。抗菌薬の感受性は良好だった。投与期間は14日以上になる。
セフェム系内服薬に途中で切り替えようとも思ったが、セフトリアキソン1日1回投与なので、14日継続して中止することにしていた。
13日目に発熱があった。点滴を入れていた右前腕を見ると、発赤・腫脹して圧痛があった。少なくとも蜂窩織炎にはなっている。
末梢カテーテル関連血流感染症かもしれないが、血管に沿った発赤は認めなかった。すぐに点滴(サーフロー針)を抜去した。翌日まで経過をみたが、穿刺部位の発赤は軽快して、圧痛もほとんどなくなっていた。
そのまま数日みて、発熱はなかったので、血液培養や抗菌薬投与はしなかった。早めに経口セフェム(ケフレックス)に切り替えればよかったと思ったのだった。
点滴穿刺部位の感染は、セフトリアキソン投与中だったので、起炎菌はMRSAかMRCNS(MRSEなどの)になる。MRCNSならばカテーテル抜去だけで軽快するので、あるとすればそちらだったか。
金曜日に感染管理の相互評価で、隣町の病院に出かけた。感染管理ナースが親の急な入院で来れなくなったのもあり、院内のラウンドはなく、会議だけになった。当院のコロナ診療について簡単に報告した。
先方の病院は、昨年関連施設で、今年は院内でクラスターが発生していた。(当院に施設入所者や患者が入院していた)その後、職員はサージカルマスクではなく、N95マスクで診療するようになったそうだ。
N95マスクを長時間付けるのは苦しいので、かえって時々外してしまうのではないかと思ったが、それは言わなかった。