なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

点滴穿刺部の感染

2022年03月21日 | Weblog

 2月下旬の金曜日の夜間に、高熱の84歳女性が救急外来を受診した。当直は外部の先生(バイト)だった。

 急性腎盂腎炎の診断で入院にして、血液培養2セットと尿培養を提出していた。抗菌薬投与で4日めの月曜日には解熱した。

 入院してみると、認知症があり、点滴ラインの途中から外して血だらけになったりした。ポータブルトイレ使用後に、下半身裸で立っていたりする。家族(息子)に訊くと、物忘れはあるが、それほど気にしていないという。

 血液培養2セットと尿培養から大腸菌が検出された。抗菌薬の感受性は良好だった。投与期間は14日以上になる。

 セフェム系内服薬に途中で切り替えようとも思ったが、セフトリアキソン1日1回投与なので、14日継続して中止することにしていた。

 

 13日目に発熱があった。点滴を入れていた右前腕を見ると、発赤・腫脹して圧痛があった。少なくとも蜂窩織炎にはなっている。

 末梢カテーテル関連血流感染症かもしれないが、血管に沿った発赤は認めなかった。すぐに点滴(サーフロー針)を抜去した。翌日まで経過をみたが、穿刺部位の発赤は軽快して、圧痛もほとんどなくなっていた。

 そのまま数日みて、発熱はなかったので、血液培養や抗菌薬投与はしなかった。早めに経口セフェム(ケフレックス)に切り替えればよかったと思ったのだった。

 点滴穿刺部位の感染は、セフトリアキソン投与中だったので、起炎菌はMRSAかMRCNS(MRSEなどの)になる。MRCNSならばカテーテル抜去だけで軽快するので、あるとすればそちらだったか。

 

 金曜日に感染管理の相互評価で、隣町の病院に出かけた。感染管理ナースが親の急な入院で来れなくなったのもあり、院内のラウンドはなく、会議だけになった。当院のコロナ診療について簡単に報告した。

 先方の病院は、昨年関連施設で、今年は院内でクラスターが発生していた。(当院に施設入所者や患者が入院していた)その後、職員はサージカルマスクではなく、N95マスクで診療するようになったそうだ。

 N95マスクを長時間付けるのは苦しいので、かえって時々外してしまうのではないかと思ったが、それは言わなかった。

 

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原発性胆汁性胆管炎(PBC)

2022年03月20日 | Weblog

 内科外来に74歳女性が、原発性胆汁性胆管炎(PBC)で通院している。

 2018年に大学病院で右副腎腫瘍(クッシング症候群)の手術を受けている。肝機能障害があることから、その時に(ついでに?)肝生検も行われた。病理学的には胆管障害はなく、PBCとはいえなかった。

 大学病院の内分泌内科から消化器内科に紹介になった。肝機能障害は肝細胞障害(AST/ALT)は軽度で、胆道系酵素(ALP・γ-GTP)の上昇が目立つ。抗核抗体が軽度陽性・抗ミトコンドリア抗体(M2も)陽性で、IgM高値もあった。

 臨床的にPBCとしてウルソデオキシコール酸(UDCA、要するにウルソ)が開始されて、肝機能は有意に軽快していた。地元の病院でみて下さいとして、当時肝臓専門医が来ていた当院に紹介となった。

 ウルソが継続されて、定期的に画像検査(腹部エコー)が行われているが、病状に変わりはないようだ。抗ミトコンドリア抗体が陽性なので、これはPBCと言っても問題ないだろう。

 

 当方の外来に通院している67歳女性は、元当院の看護師だった。健診で肝機能障害を指摘されて、胆道系酵素(ALP・γ-GTP)が高かった。肝炎マーカーや画像検査では異常がない。

 抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体(M2も)は陰性だった。精査としては肝生検になるが、本人はいやがっていて、肝臓専門医への紹介も(肝生検と言われるのがいやで?)希望しなかった。

 やはりウルソデオキシコール酸(ウルソ)を投与すると、胆道系酵素は内服前よりも軽減する(完全な正常域にはならない)。正直に、あまり投与する根拠がないことをお話しているが、悪化するよりは続けたい、と希望していた。

 3か月に1回検査を受けるのが、気に入っているようでもある(耐糖能障害があって血糖もみている)。ウルソは体内にある物質で害はないので、すっきりはしないまま継続している。

 

 原発性胆汁性肝硬変は、病名が変更になったように、胆管炎の段階で診るころはたまにあるが、肝硬変になった患者さんはずっと診たことがなかった。

 その後、本当に潜在性に進行して気づいた時には肝硬変になっていた高齢女性がいた。肝不全になって感染症併発で亡くなった。診断が本当かという気持ちがあって後ろめたい気もするが、ウルソだから続けてもいいかと思いながら処方している。

 

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CPFE

2022年03月19日 | Weblog

 先々週肺炎で退院した86歳男性は、今回在宅酸素療法(HOT)を導入した。

 通院しているクリニックから肺炎で紹介された。肺炎は抗菌薬投与で軽快治癒したが、動くと酸素飽和度が90%未満になり、息切れがあった。

 肺炎の浸潤影がゆっくり軽快していくと、ある程度酸素飽和度が上がってくるかと期待したが、一定のところで止まってしまった。

 もともと自宅で肺炎がない時でも息切れがひどい時があり、息子さんがスポーツ用の酸素吸入器を何本も購入して使っていた。すぐになくなるといっていたが、それはそうだろう。在宅酸素になるのではと思っていたそうだ。

 安静時と睡眠時に酸素1L/分、労作時に2L/分として、リハビリの時にメーカー(帝人)で持ってきた携帯用酸素吸入を使用した。使用に慣れたところで退院となった。

 胸部CTでは、胸膜下の間質性肺炎像があり、牽引性気管支拡張を呈している。また、この患者さんは60歳代まで喫煙歴があり、胸部CTで気腫性変化も認めた。

 

 肺気腫と肺線維症が併存する病態は、combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)で、日本語だと気腫合併肺線維症になる。

 気腫性病変は進行しないのかもしれないが、肺線維症はいつでも急性増悪がある。HOT導入の慢性呼吸不全の患者さんの急性増悪は、大抵細菌性肺炎併発で、それでも治療は厳しくなる。

 いずれにしても、急性増悪時は当院では対応できないかもしれない。

 

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若い女性の大腸憩室炎

2022年03月18日 | Weblog

 水曜日に、前夜から腹痛が続く32歳女性が受診した。1回嘔吐もしていた。

 発熱があったので、症状は呼吸器症状はなく消化器症症状だが、発熱外来の扱いになった。(念のための)新型コロナの検査後に(抗原定性検査陰性)、内科新患に回り、内科の若い先生が診察した。

 腹痛は患者さんは全体が痛いと訴えたが、圧痛は右心窩部から右側腹部にあった。先週末から月経があり、ほぼ終わっている。

 白血球18900・CRP5.2と炎症反応の上昇があった。肝機能異常はなく、血清アミラーゼも正常だった。

 腹部単純CTで診断はついた。上行結腸に憩室が散在していて、肝弯曲近傍の憩室周囲に炎症像を認めた。大腸憩室炎だった。32歳大腸憩室炎は年齢的にかなり若い。

 まずは保存的な治療で経過をみることになる。当院では外科手術ができないので、若い先生は穿孔した場合には、外科対応ができる病院に転院になることを本人と家族(母親)に説明していた。

 

 もっとも大腸憩室炎とは、わずかな憩室穿孔により炎症を来すもので、小さな穿孔性腹膜炎が実体らしい。炎症をきたしている憩室周囲の脂肪組織に、ごく少量の遊離ガス像を認めることもある。

 以前外科医に訊いたところでは、大腸憩室炎が悪化して(本格的な)腹膜炎になった場合、手術がおおがかりにあるかもしれないそうだ。下行結腸~S状結腸の場合だと、二期的手術になるかもしれないという(まず炎症をきたした腸管切除+人工肛門造設⇒炎症終息後に吻合術)。

 

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透析患者の肺炎

2022年03月17日 | Weblog

 火曜日の救急当番の時に、当院に透析で通院している79歳男性が救急搬入された。

 自宅で動けなくなって、救急要請されたが、救急隊が到着して体温を測定すると38℃の発熱があった。発熱による脱力らしかった。

 発熱外来扱いとなり、新型コロナの抗原定性検査をして、陰性確認後に通常の検査を行った。発熱以外は症状がなく、咳・痰は出ないという。聴診所見でもはっきりしなかった。

 酸素飽和度が90%(室内気)で少し低下していたので、酸素吸入2L/分を開始した。血液ガスでPaO2が70、PaCO2が35.2だった(酸素2L/分)。

 胸部X線で左肺に浸潤影を認めて、肺炎による発熱と判明した。右肺にも淡いすりガラス陰影がある。胸部CTで確認すると、左肺の陰影は浸潤影で気道に沿った陰影が中心部にあった。右肺は胸膜近くにすりガラス陰影が散在している。

 新型コロナのワクチン接種は全くしていなかった。淡い陰影が気になって、院内でできる迅速PCR検査も追加したが、陰性だった。

 白血球増加があり、積極的にコロナを疑う結果ではなかった。尿が出るというので、導尿すると100mlほど採取できた。尿中の肺炎球菌とレジオネラの抗原を提出して、いずれも陰性だった。

 透析患者さんだとセフトリアキソンが使いやすいが、ここはカルバペネムでいくことにした。メロペネムを、透析日は透析前と透析後に、非透析日は1回/日だけ投与する。

 その日は透析日だったので、救急外来での検査後にそのまま透析室に向かった。透析担当医(大学教授)から連絡が来て、水分過多で少し多めに引くと連絡がきた。

 透析後に胸部X線を撮影していて、搬入時と比べると、右肺の陰影、左の浸潤影とも軽減している。肺うっ血・浮腫の陰影も加わっていたようだ。

 

 水曜日には酸素吸入を中止となっていた(飽和度をみて調整可としている)。食事摂取も良好だった。体温は37℃台でまだある。

 

 この患者さんは糖尿病腎症から昨年にシャント造設、透析導入となった。病棟の看護師長さんから、この患者さんは大学病院での導入開始時に、すぐに退院を希望して早期退院になった(不穏で強制?)、と言われた。

 その後、当院に入院していたが、中庭に出て行って転倒して、シャントから出血して大騒ぎになったという。夜間せん妄もあり、やはり早期退院(強制?)になっていた。

 酸素吸入が中止できたので、退院して外来で1日1回抗菌薬の点滴にすることもできる、と伝えておいた。そこまでの時点ではおとなしくしていたが、肺炎による倦怠感で不穏になる元気がないだけらしい。

 

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腰部脊柱管狭窄症

2022年03月16日 | Weblog

 糖尿病で通院している72歳女性から、両側の臀部から下肢にかけての痛みとしびれがあると言われた。当市の隣町に住んでいるが、別の町の整形外科医院に通院している。

 (腰部)脊柱管狭窄症と言われている。鎮痛薬が処方されているが、症状が良くならないので、内科受診の時に話をした(愚痴を言った)ということらしい。

 症状は両側にあり、間欠性跛行もある。右側がより症状が強く出ているが、両側なので馬尾症状なのだろう。

 保存的な治療で軽快しなければ、脊椎疾患で評判の病院に紹介するしかない。整形外科の問題だとは思うが、医院にはMRIはないだろうから、当院で撮影することにした。結果が出るまでと、プロスタグランジンE1製剤(リマプロスト)を処方した。

 腰椎MRIの結果は、L3/4で椎間板の膨隆と黄色靭帯の肥厚の増強により、脊柱管が狭窄して馬尾が絞扼されていた。処方はまったく効いていなかった。

 脊椎の整形外科で評判の病院2か所を提案すると、行きやすい方の(夫が車で行きやすい)病院を希望された。診療情報提供書と画像のCDを準備して、先方の病院の外来予約をとった。

 

 

腰部脊柱管狭窄症 | 成尾整形外科病院

 

 整形外科はMRIがないと診療できない診療科になっているようだ。地域の基幹病院の近くに開業された整形外科医は、MRIを備えている。高額の医療機器だが、大抵の整形外科疾患は適応があるので、撮りまくれば?元はすぐとれるのだろう。

 

 

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胃癌

2022年03月15日 | Weblog

 消化器科医が、昨年12月に地域の基幹病院消化器内科に胃癌の患者さんを紹介していた。先方からの返事が来ていて、上部消化管内視鏡検査を再検して、外科に紹介したという内容だった。

 2型の進行胃癌なので、心窩部痛で内視鏡検査をして診断されたというのが典型的とすれば、経過は少し違っていた。

 

 昨年12月半ばに、市内の内科医院から46歳男性が当院内科外来に紹介された。2か月前の10月から左下前胸部から背部にかけての疼痛が続いていた。

 案外詳しく症状を記載していた。左下の肋骨に沿った「焼けるような」痛みで、就寝前に強くなり、朝起床時には楽になるという。吸気時に痛みで吸えなくなると表現していた。

 また空腹時に症状が増悪する(起床時の記載と合わない?)、左背部に限局した疼痛の最強部位がある、と記載していた。

 医院で検査した胸部X線と心電図は異常を認めなかった。消化器科ではなく内科に紹介したのは、胸のような腹のような症状で迷ったということらしい。

 

 内科の若い先生が内科新患を担当する日に受診した。改めて訊くと、昨年6月には症状があったらしい。市販の胃薬を飲んでいた。

 胸腹部(単純)CTで、胸部に肺炎・胸膜炎などの異常はない。胃体部前壁の不整壁肥厚があった。胃癌疑いとして、翌週に上部消化管内視鏡検査を予約した。放射線科の読影レポートはがんセンターの先生で、胃癌疑い・腹腔内リンパ節腫脹となっている。

 内視鏡検査では胃体下部大弯前壁に2型進行癌を認めた。その日のうちに造影CTも追加で行っていた。潰瘍性病変が明瞭に描出されている。

 消化器科医は大腸内視鏡検査(異常なし)まで行ってから、基幹病院に紹介した。まだ胃の生検結果は出ていなかったが、胃癌間違いなしとしていた。

 

 腹部造影CTの読影レポート(リモート診断)は大学病院放射線科の先生だが、「胃に腫瘍性病変なし」となっていた。内視鏡検査の結果を知って見ているのはあるが、これはどう見ても不整潰瘍性病変があると思う。

 当院の胃生検の結果はgroupⅡで胃癌は証明されなかったが、先方の再検で証明されたのだろう。生検数が2か所と少ない。

 専門医ほど自信があるので、生検数は少ないのかもしれない。以前、大学病院から応援に来ていた専門医が大腸癌(上行結腸癌)の生検を1か所だけ提出していて驚いたことがある。(癌が出なかったらまた深部まで挿入になる)

 当方は自信がないので、癌の生検は多めにとる。昔内視鏡の先生に、癌を証明する時は4個、否定する時は2個とりなさいと教わったのでその通りにしている。気を付けて採取しても、3個が壊死組織・正常組織で1個のみ癌ということもあった。(4個でも生検後の胃内はけっこう出血している)

 

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インスリン大量注射と睡眠薬大量内服

2022年03月14日 | Weblog

 土曜日に日直だった内科の若い先生が、透析で通院している53歳男性を入院でさせて診ていた。どうしたのかと確認すると、急性薬物中毒だった。

 金曜日の夜に、かゆみとイライラで、処方されているブロチゾラムを100錠飲んで、インスリンも150単位打ったのだった。ブロチゾラムは毎月4週間分処方されているが、ためていたのだろうか。

 土曜日の透析の時に(妻が送り迎えしている)、意識低下に気づかれた。現在透析は大学病院からの応援医師で運営されている。最近土曜日に来ている女性医師が確認すると、患者さんは案外上記のことをちゃんと話したので、わかったのだった。

 血糖は50mg/dl台まで低下して、10%グルコースの点滴静注と50%グルコースの静注で対応していた。入院が必要で、日直だった内科の先生に依頼された、という経緯だった。

 治療を継続して、翌日曜日の昼には意識は戻って、低血糖も回復していた。37℃台の発熱と、炎症反応の上昇があり、原因がはっきりしないようだ。それでも患者さんの退院希望があり、週3回は透析で来院するので、外来での対応となった。

 

 この患者さんは地元の町立病院に通院して、糖尿病専門医が担当していた。どうも担当医と喧嘩したらしく、当院に通院するようになった。腎臓内科(大学病院から)に通院して、入院は内科(当方)で担当していた。

 専門医から血糖コントロール不良を指摘されるのが、気に入らなかったようだ。当方はその点厳しく言ったりはしないが、緩い対応で良いわけではない。

 まだ腎機能としては透析前の段階(慢性腎不全)だったが、ネフローゼ症候群を呈して、腰から下の浮腫が著しかった(びっくりするような陰嚢水腫)ので、除水のために早期の透析導入も考慮された。

 入院してフロセミド100mg/日内服で対応すると、それなりに浮腫は軽減して退院すると言うのを繰り返した。そのうちに腎機能が悪化して、シャント作成から透析導入となった。そうなると透析部門での対応になり、内科の関わりはなくなってしまう。水分摂取は守っていないと思うが、そこは透析で調整されていたようだ。

 4月からは腎臓内科の常勤医が来るので、内科で対応することはなくなる。

 

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出血性梗塞

2022年03月13日 | Weblog

 月曜日、神経内科に脳梗塞(心原性脳塞栓)の91歳男性が入院していた。右中大脳動脈領域の梗塞だった。

 

 翌々日に病巣の変化を見るために頭部CTが行われて、CTで梗塞巣がはっきり描出されていた。脳浮腫が出始めていた。

 

 1週間後の頭部CTで、梗塞巣内の出血が描出された。浮腫と相まって健側への偏移が見られる。グリセオールを投与を開始している。

 

 血液検査で高ナトリウム血症を来したり、肝機能障害が生じて、薬剤性か胆道系感染か判別しがたい。順調な経過にならず、こじれて苦戦しているようだ。末梢からの血管確保ができず、中心静脈カテーテルを挿入していた。

 

 中大脳動脈が詰まるような広範囲の心源性脳塞栓症は、出血性梗塞になる可能性がある。出血は想定内だったかもしれない。

 土曜日に内科クリニックから、認知症で薬を管理できなくなり、血糖高値となった(随時血糖5000mg/dl・HbA1c10%)70歳代男性が紹介されてきた。

 脳委縮の程度を見るために頭部CTを行うと、後頭葉に新規の脳梗塞を疑う病変を認めた。さらに頭部MRIも行って、新規の脳梗塞と確診したが、病変内に出血を疑う所見があって、判断に困ってしまった。

 

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コロナ隔離解除後

2022年03月12日 | Weblog

 月曜日に地域の基幹病院から86歳男性が転院してきた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の隔離期間介助後だった。

 2月22日に発熱(38.9℃)・食欲不振で発症していた。同居家族がコロナに罹患していて、濃厚接触者として2月24日に保健所の指示でPCR検査が行われた。翌日結果が判明する予定だったが、同日夜間に呼吸困難を訴えて救急要請した。

 当院に搬入依頼があったが、そういう事情でまずコロナに罹患していると判断された。当院の感染病棟は空きがなかった。来ても入院できないが、といって診断が確定していないと救急隊も困る。酸素吸入を開始していた。

 当院に来てもらって、外に止めた救急車内で抗原定性検査を行った。結果は陽性で診断が確定した。保健所に連絡して指示待ちとなった。基幹病院に入院できることになって、そのまま救急車に向かってもらった。

 

 入院して中等症Ⅱとして治療された(肺炎あり、酸素吸入必要)。発症9日目に、担当の呼吸器内科医から転院依頼の連絡が来た。週末だったので、翌週の月曜日に転院にしてもらった。ちょうど発症14日目だった。

 当院でも一般病棟に移すのは14日過ぎにしている。隔離期間ぎりぎりの10日だと、受け入れる方も心配する。検査で確定した日ではなく、症状が出た日を発症日とすると、正確さに欠ける可能性がある。患者さんは正確に覚えていないし、鼻汁がアレルギー性鼻炎の症状だったりと、コロナと関係ない症状のこともある。

 

 リハビリを開始したが、労作時に酸素飽和度が90%未満になってしまう。安静時で飽和度が93~95%なので、動けば下がるのはわかる。

 発症17日目に胸部CTで確認した。両側肺の背側胸膜下を中心にすりガラス陰影から浸潤影様に変化した像と引きつれた像がある。

 発熱はなく、食事摂取も良好で全身状態は悪くない。時間が経てば吸収されていくのだろうが、大分かかりそうだ。通常の肺炎像でも高齢者だと1か月くらいかかるが、コロナの陰影はもっとかかる?。

 

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