Xくんみたいに、純粋にかわいいなあと思って会ってた友達もいれば、
そうでない人もいる。じゃあ、なんで会ってたんだろ。
話が合って、さらに自分が知らないことを相手が知っているという魅力?
そいつの名前はフレデリク。フランス大使館職員。なんてこった、また大使館!
フランスという国は少し前まで徴兵制でした。
大使館勤めは、兵役義務と同等の業務とみなされたそうで
山に籠って匍匐前進とかキャンプとかやりたくないホワイトカラー予備軍が
選ぶ道だったのです。徴兵制は1996年にシラク大統領が廃止したので、
ちょうど彼の勤務はその最後の代だったのかも知れません。
で、友達になったきっかけは、私がたまにバイトしていた英会話カフェで
彼が浮いていたからでした。そのカフェに来るお客さんは真面目か軟派タイブの
だいたいどちらかにカテゴライズされたんですけど、彼はそのどちらでもなく
気になったんですね。退屈していた私はテーブルの下で彼の足を踏んづけた。
それに彼が「こいつ気があるのか?」と反応したというわけです。
得体の知れないものへの興味から話を始めたら、意外にも常識的で社交性のある人。
けどちょっといたずらっぽい緑の目で冗談も言う。その時に、目が会うんです。
冗談が通じるというのは仲良くなる条件かなあ。私の場合はそうです。
そして、さあポッシュなものにも弱い私、無意識にその匂いを嗅ぎ付けたのか、
彼自身の服装は地味な、目だつものではなかったんだけれど、
ラコステのポロシャツの似合うお母さんの写真見せてもらったり、
好きな香りは「マダム・グレ」と渋いこと言われてみたり、
宝石の知識のない私に「ヴァン クリーフ&アーペル」のことを教えてくれたり、
フランスってのは男が香水や宝石の話をできるなんて、やはりおしゃれなんだー、
と、思っちゃったのです。悔しいから本人には言いませんでしたけど。
でも、それは「フランスがおしゃれ」なんじゃなくて、
実はどうもフレデリクはおぼっちゃんだったんです。それに気づいたのは、
彼の脱いだ靴に、「JMウェストン」という名前を発見した時でした。
こういうの
ファッション雑誌で「本物を長く愛用する」なんて特集に出て来る靴です。
それを履いてる人なんて初めてお目にかかりました。
よく考えたら地味で目だたないのはフレンチ・トラッドだったのか。
ファッション業界でも私はトレンド系に携わっていたので、
コンサバ系はよくわかりませんでした。
それをさらに実感したのは、彼がフランスに帰ってからでした。
あるパリ出張のおり、最終の仕事の翌日から3日間、日本は連休だったので
帰国日をずらしてパリに3日残って休暇をとりました。(後で会社に規則違反と
叱られました!海外出張に休暇をくっつけてはいけないという決まりなんて誰が
つくったのか?!日本の会社は意地悪としか思えない。なぜ皆で楽しまないの?)
帰国していたフレデリクにパリに行くから会おうと連絡しておき、
同じ会社の上司や同僚は日本に帰ったので、さあ♪羽を伸ばせる!!
待ち合わせ場所には、車で迎えに来てくれました。おう!気分がいいな♪
3区か4区の暗くて賑やかなレストランでお食事して、その後、
街中からブローニュの森へ突入、むむむ、パリには何度も行ったことが
あったけれど、映画やお話で名前は聞いたことがあったけれど、初めてだなあ。
夜の森だよ~。都会だけど暗いよ~。でも友達の車だから恐くないよ~
人影を通り過ぎた時に「あれは娼婦」と彼が言った。
彼のアパルトマンは16区の高級住宅街。両親に買ってもらったそうで。
むむ、絵に描いたようなおぼっちゃんじゃないですか。
お買物はパッシーというシックなエリアですよ。
そして翌日行った場所は・・・
ポッシュの殿堂、ヴェルサイユ宮殿!
と言うのも、そこは彼の実家がある地域で、「朝、ヴェルサイユのまわりを
ジョギングする。とても気持ちがいいよ。」と言っていたので、
そういう観光名所にどうせ行くなら彼に連れて行ってもらいたかったんです。
車の中から宮殿のまわりの大きな家々もゆっくり見られたし、
宮殿は写真で見たそのままだったけど(情報社会っていやですね)
写真に収まりきれない、広大な庭に「おお・・これが太陽王の権力か・・・」
と、王様はギロチンにかけても遺産は守ったフランス市民に感心しました。
そしてもう一カ所、私のたってのリクエストで案内してもらったのは、
どーうしても行きたかったのは、
ナポレオンの(正式には皇后ジョゼフィーヌの)家のひとつ、マルメゾン城でした。
実は私はナポレオンが好きで、この館はパリのすぐ近くにあるにもかかわらず
電車の駅ラ・デファンスで降りてバスに乗り継がねばならないという不便さと
日本語情報もほとんどなかったので、フレデリクが知ってて(あたりまえか)
連れて行ってくれるというので、本当に、本当に嬉しかった!
ヴェルサイユのような絢爛豪さはなく、軍人らしい実質剛健さとフランスらしらの
混ざった趣味のよいこの館は決して大きくはないのです。一時でもヨーロッパを
支配した男がここに住んだのか。。。と感慨に耽りました。親近感さえ感じました。
ナポレオンはコルシカ出身の田舎者だったからパリよりここが落ち着いたのかな、
なんて・・・・ほかにお客さんもいなくて、写真も撮り放題。贅沢な見学。
と、なんだかんだ言って親切にしてくれたフレデリクのおかげで成立した、
ちょっとポッシュでシックなパリの休日。
東京で、フランソワーズ・モレシャンも住んでるマンションへ遊びに行ったのも
スリリングだったけれど、本領発揮はやはり地元ですのね。
そのフレデリク、フランス人らしい、変なジョークも好きだったんだけど、
すぐに消えてなくなる口頭ならともかく、
私の会社のパソコンに、卑猥な絵文字を送ってきたのには我慢ならず、
日本の会社なのに見つかったら困るよ!と言ってもやめないので疎遠になりました。
冗談で始まった友情、冗談でふいにもなる。
そうでない人もいる。じゃあ、なんで会ってたんだろ。
話が合って、さらに自分が知らないことを相手が知っているという魅力?
そいつの名前はフレデリク。フランス大使館職員。なんてこった、また大使館!
フランスという国は少し前まで徴兵制でした。
大使館勤めは、兵役義務と同等の業務とみなされたそうで
山に籠って匍匐前進とかキャンプとかやりたくないホワイトカラー予備軍が
選ぶ道だったのです。徴兵制は1996年にシラク大統領が廃止したので、
ちょうど彼の勤務はその最後の代だったのかも知れません。
で、友達になったきっかけは、私がたまにバイトしていた英会話カフェで
彼が浮いていたからでした。そのカフェに来るお客さんは真面目か軟派タイブの
だいたいどちらかにカテゴライズされたんですけど、彼はそのどちらでもなく
気になったんですね。退屈していた私はテーブルの下で彼の足を踏んづけた。
それに彼が「こいつ気があるのか?」と反応したというわけです。
得体の知れないものへの興味から話を始めたら、意外にも常識的で社交性のある人。
けどちょっといたずらっぽい緑の目で冗談も言う。その時に、目が会うんです。
冗談が通じるというのは仲良くなる条件かなあ。私の場合はそうです。
そして、さあポッシュなものにも弱い私、無意識にその匂いを嗅ぎ付けたのか、
彼自身の服装は地味な、目だつものではなかったんだけれど、
ラコステのポロシャツの似合うお母さんの写真見せてもらったり、
好きな香りは「マダム・グレ」と渋いこと言われてみたり、
宝石の知識のない私に「ヴァン クリーフ&アーペル」のことを教えてくれたり、
フランスってのは男が香水や宝石の話をできるなんて、やはりおしゃれなんだー、
と、思っちゃったのです。悔しいから本人には言いませんでしたけど。
でも、それは「フランスがおしゃれ」なんじゃなくて、
実はどうもフレデリクはおぼっちゃんだったんです。それに気づいたのは、
彼の脱いだ靴に、「JMウェストン」という名前を発見した時でした。
こういうの
ファッション雑誌で「本物を長く愛用する」なんて特集に出て来る靴です。
それを履いてる人なんて初めてお目にかかりました。
よく考えたら地味で目だたないのはフレンチ・トラッドだったのか。
ファッション業界でも私はトレンド系に携わっていたので、
コンサバ系はよくわかりませんでした。
それをさらに実感したのは、彼がフランスに帰ってからでした。
あるパリ出張のおり、最終の仕事の翌日から3日間、日本は連休だったので
帰国日をずらしてパリに3日残って休暇をとりました。(後で会社に規則違反と
叱られました!海外出張に休暇をくっつけてはいけないという決まりなんて誰が
つくったのか?!日本の会社は意地悪としか思えない。なぜ皆で楽しまないの?)
帰国していたフレデリクにパリに行くから会おうと連絡しておき、
同じ会社の上司や同僚は日本に帰ったので、さあ♪羽を伸ばせる!!
待ち合わせ場所には、車で迎えに来てくれました。おう!気分がいいな♪
3区か4区の暗くて賑やかなレストランでお食事して、その後、
街中からブローニュの森へ突入、むむむ、パリには何度も行ったことが
あったけれど、映画やお話で名前は聞いたことがあったけれど、初めてだなあ。
夜の森だよ~。都会だけど暗いよ~。でも友達の車だから恐くないよ~
人影を通り過ぎた時に「あれは娼婦」と彼が言った。
彼のアパルトマンは16区の高級住宅街。両親に買ってもらったそうで。
むむ、絵に描いたようなおぼっちゃんじゃないですか。
お買物はパッシーというシックなエリアですよ。
そして翌日行った場所は・・・
ポッシュの殿堂、ヴェルサイユ宮殿!
と言うのも、そこは彼の実家がある地域で、「朝、ヴェルサイユのまわりを
ジョギングする。とても気持ちがいいよ。」と言っていたので、
そういう観光名所にどうせ行くなら彼に連れて行ってもらいたかったんです。
車の中から宮殿のまわりの大きな家々もゆっくり見られたし、
宮殿は写真で見たそのままだったけど(情報社会っていやですね)
写真に収まりきれない、広大な庭に「おお・・これが太陽王の権力か・・・」
と、王様はギロチンにかけても遺産は守ったフランス市民に感心しました。
そしてもう一カ所、私のたってのリクエストで案内してもらったのは、
どーうしても行きたかったのは、
ナポレオンの(正式には皇后ジョゼフィーヌの)家のひとつ、マルメゾン城でした。
実は私はナポレオンが好きで、この館はパリのすぐ近くにあるにもかかわらず
電車の駅ラ・デファンスで降りてバスに乗り継がねばならないという不便さと
日本語情報もほとんどなかったので、フレデリクが知ってて(あたりまえか)
連れて行ってくれるというので、本当に、本当に嬉しかった!
ヴェルサイユのような絢爛豪さはなく、軍人らしい実質剛健さとフランスらしらの
混ざった趣味のよいこの館は決して大きくはないのです。一時でもヨーロッパを
支配した男がここに住んだのか。。。と感慨に耽りました。親近感さえ感じました。
ナポレオンはコルシカ出身の田舎者だったからパリよりここが落ち着いたのかな、
なんて・・・・ほかにお客さんもいなくて、写真も撮り放題。贅沢な見学。
と、なんだかんだ言って親切にしてくれたフレデリクのおかげで成立した、
ちょっとポッシュでシックなパリの休日。
東京で、フランソワーズ・モレシャンも住んでるマンションへ遊びに行ったのも
スリリングだったけれど、本領発揮はやはり地元ですのね。
そのフレデリク、フランス人らしい、変なジョークも好きだったんだけど、
すぐに消えてなくなる口頭ならともかく、
私の会社のパソコンに、卑猥な絵文字を送ってきたのには我慢ならず、
日本の会社なのに見つかったら困るよ!と言ってもやめないので疎遠になりました。
冗談で始まった友情、冗談でふいにもなる。