謹賀新年
今年もよろしくお願いいたします。
去年のお正月に地元英国では放映されたシャーロック/シーズン2の最初のエピソード「A Scandal in Belgravia/ベルグレイヴィアの醜聞」。日本再放送は今年の元旦の夜でした。NHKさん粋ですね。エピソード中でクリスマスと新年を迎えますから一緒に気怠い気分が味わえますからね~。
実は、このエピソードの感想はまったくブログに書いておりません。私にとって触れたくない感情的なものがあるから。でもやっと心の整理をするいい機会だから書いておきます。
「シャーロックと愛」がテーマのこのお話では、The Womanことアイリーン・アドラーが登場ます。シリーズ1でシャーロックに関わる女性と言えば、大家サンのハドソン婦人とシャーロックにぞっこん片思いのモリー・フーパー。このふたりには安心して感情移入できます。ハドソンさんはいわば221Bのお母さん、男の子の母は地位安泰。シャーロックの性格悪いところもかわいいところもわかって、このエピソードでもジョンに「なんで僕達はシャーロックのこと(恋愛経験)知らないんだ?」という質問に「だってシャーロックですもの」とさらっと言ってのけ、安心して私のヒーローをお任せできる存在、シャーロックに大型犬のように慣れてハグハグされて「ああ!あの役やりたい」とさえ思います。モリーちゃんは、お仕事で実際にシャーロックに関わってるけど、好きなことも悟られてるのにいいように扱われて、まるで、ドラマを見てシャーロックを好きになった自分のよう。でもモリーちゃんは理系女子で真面目だし美人だけどそれを武器に生きるタイプじゃないからやはり安心できる。そう、ベルグレヴィア以前には、シャーロックのまわりには安全パイの女性しか登場しなかったから、見ている人(←自分のことですな)が仮想恋愛して幸せになれたのだ!またはシャーロックの性別は考えないで天才探偵に自己投影して楽しめた!
ところが、アイリーンは、ファム・ファタール、急に色っぽ~い展開にビクッ。ジョンの言葉を借りれば「You flirted with Sherlock Holmes?/シャーロック・ホームズをくどいてるのか? 」ですからねー。そうだ、シャーロックって男だったんだよね。しかもかなり上等の。ドラマが、少年少女文庫のように、大人の恋愛は蚊帳の外のような世界だと思ってたのに何てこった!しかし、美人で強くて頭も良いアイリーンに対抗意識を持つなんてありえない。もし私が頑張っておしゃれしてくどきに行っても良くてモリーちゃんのような扱いですね。それはわかってるんですけどぉ!でも他の美男美女が出て来るおしゃれでスリリングな映画のように素直にただウキウキできないんですよー。
それは、もちろん10代の時みたいに、お話の主人公に仮想恋愛してたのが理由のひとつ。残りの理由は、シャーロックが生身になりすぎたショック。シャーロックが完全無欠だったら、絶対おもしろくない。人間を超えようと感情を捨てようとしていても、ところどころほころびる隙間が魅力だと思う。それなのに、同時に、嫌なんです。恋愛なしで完結していたシャーロックの世界が壊れたのが。人間と人間じゃないものの間をウロウロしていて欲しいヒーローなのに、地面に堕ちて来たのを見てしまったって思うのです。なんて勝手な言い分なんでしょうか。
いや、好きなんですよ!もちろんこのエピソードがあって幸せには違いない。
クリスマス・スペシャルみたいなシーンなんて特に!仕事上のおつき合いのレストラードやモリーちゃんまで集まっちゃって!でも誰が招待したんでしょうね。そんな気がまわるのはハドソンさんですか?
もちろん寝起きのシャーロックもバッキンガム宮殿もね。(ところで私はシャーロックはシャワーのあとかとも思ってたんですがそしたら髪が濡れてないのは変ですよね~。それにティーらしきものも飲んでますしねえ。普通、お風呂上がりにティーやコーヒーは飲まないよね。やっぱり寝起きのアッパーシーツなのかな。。。)
それからアイリーンの部下に車で連れて行かれたジョンがマイクロフトのことを「まったくpower complex(権力の誇示って訳だったかな)」って言った台詞の直後に、バタシーの発電所が現れる!あれはロンドン住人なら誰でも知ってるだけでなくピンクフロイドのアルバムカバーにもなっているので世界的に有名ですよね。英語で発電所は普通power stationですけど、大きなビルやその集合体をcomplexというので、あの発電所のことになるわけです。「ほほお!」とにんまりする瞬間。
1/5追記
そうそう、英語と言えば、MOMOさんのブログで色々語りあって気がついたことがありました。字幕や吹替えにもなってない意味。
宮殿でマイクロフトがお茶を入れるシーン:マイクロフト「I'll be mother.お母さん役だ」シャーロック「And there is a whole childhood in a nutshell.紆余曲折の子供時代だった」このI'll be motherは実は慣用句で「お茶を入れますね」という意味なのだとMOMOさんブログのコメント欄に。それでやっとマイクロフトやハリーさんのギョッとした表情に納得できますよね。シャーロックはマイクロフトが「お茶を入れよう」と言ったのにわざと文字通りの意味にとって返事してわざわざ兄弟の軋轢をふさわしくない場面で披露したんですね!な~んてヤナ奴!
そのあと、シャーロックが宮殿を去る時に言った台詞「I'm not the Commonwealth.」これは英国連邦じゃない=愛国者じゃない=女王様に義理はないという意味でしょうが、commonwealthの語源を調べたらcommon good(共通善)だったんです。深読みすると「僕は愛国者じゃないし善人でもない」となって増々シャーロックらしい。追記ここまで
あと、白状しますと、ラストシーン、アラビアのシャーロックですが、私はしばらくあれはシャーロックの妄想だと思っていたのです。すみません、よく考えたら、オチが妄想なんてドラマや映画はあり得ないので自分で却下しました。アイリーンは死んだから、彼女のカメラ・フォンが遺品に欲しかった、と理解したのになあ。手渡したジョンのように。逃して生きていると知ってるのにそれでも欲しいなんてシャーロック~~そこまで好きだったのね。。。。とここでまた勝手な嫉妬心。
素晴らしい作品にケチをつけるつもりはまったくありません。とってもとっても心の奥深くにしみ込んだエピソードでした。でも、そうさせた自分のつまらないこだわりも、書いておきたかっただけです。すごく好きだけど、辛くもあるので。
さ!2日「バスカヴィルの犬」3日「ライヘンバッハ・ヒーロー」と正月から3夜連続なんてNHK素敵!
今年もよろしくお願いいたします。
去年のお正月に地元英国では放映されたシャーロック/シーズン2の最初のエピソード「A Scandal in Belgravia/ベルグレイヴィアの醜聞」。日本再放送は今年の元旦の夜でした。NHKさん粋ですね。エピソード中でクリスマスと新年を迎えますから一緒に気怠い気分が味わえますからね~。
実は、このエピソードの感想はまったくブログに書いておりません。私にとって触れたくない感情的なものがあるから。でもやっと心の整理をするいい機会だから書いておきます。
「シャーロックと愛」がテーマのこのお話では、The Womanことアイリーン・アドラーが登場ます。シリーズ1でシャーロックに関わる女性と言えば、大家サンのハドソン婦人とシャーロックにぞっこん片思いのモリー・フーパー。このふたりには安心して感情移入できます。ハドソンさんはいわば221Bのお母さん、男の子の母は地位安泰。シャーロックの性格悪いところもかわいいところもわかって、このエピソードでもジョンに「なんで僕達はシャーロックのこと(恋愛経験)知らないんだ?」という質問に「だってシャーロックですもの」とさらっと言ってのけ、安心して私のヒーローをお任せできる存在、シャーロックに大型犬のように慣れてハグハグされて「ああ!あの役やりたい」とさえ思います。モリーちゃんは、お仕事で実際にシャーロックに関わってるけど、好きなことも悟られてるのにいいように扱われて、まるで、ドラマを見てシャーロックを好きになった自分のよう。でもモリーちゃんは理系女子で真面目だし美人だけどそれを武器に生きるタイプじゃないからやはり安心できる。そう、ベルグレヴィア以前には、シャーロックのまわりには安全パイの女性しか登場しなかったから、見ている人(←自分のことですな)が仮想恋愛して幸せになれたのだ!またはシャーロックの性別は考えないで天才探偵に自己投影して楽しめた!
ところが、アイリーンは、ファム・ファタール、急に色っぽ~い展開にビクッ。ジョンの言葉を借りれば「You flirted with Sherlock Holmes?/シャーロック・ホームズをくどいてるのか? 」ですからねー。そうだ、シャーロックって男だったんだよね。しかもかなり上等の。ドラマが、少年少女文庫のように、大人の恋愛は蚊帳の外のような世界だと思ってたのに何てこった!しかし、美人で強くて頭も良いアイリーンに対抗意識を持つなんてありえない。もし私が頑張っておしゃれしてくどきに行っても良くてモリーちゃんのような扱いですね。それはわかってるんですけどぉ!でも他の美男美女が出て来るおしゃれでスリリングな映画のように素直にただウキウキできないんですよー。
それは、もちろん10代の時みたいに、お話の主人公に仮想恋愛してたのが理由のひとつ。残りの理由は、シャーロックが生身になりすぎたショック。シャーロックが完全無欠だったら、絶対おもしろくない。人間を超えようと感情を捨てようとしていても、ところどころほころびる隙間が魅力だと思う。それなのに、同時に、嫌なんです。恋愛なしで完結していたシャーロックの世界が壊れたのが。人間と人間じゃないものの間をウロウロしていて欲しいヒーローなのに、地面に堕ちて来たのを見てしまったって思うのです。なんて勝手な言い分なんでしょうか。
いや、好きなんですよ!もちろんこのエピソードがあって幸せには違いない。
クリスマス・スペシャルみたいなシーンなんて特に!仕事上のおつき合いのレストラードやモリーちゃんまで集まっちゃって!でも誰が招待したんでしょうね。そんな気がまわるのはハドソンさんですか?
もちろん寝起きのシャーロックもバッキンガム宮殿もね。(ところで私はシャーロックはシャワーのあとかとも思ってたんですがそしたら髪が濡れてないのは変ですよね~。それにティーらしきものも飲んでますしねえ。普通、お風呂上がりにティーやコーヒーは飲まないよね。やっぱり寝起きのアッパーシーツなのかな。。。)
それからアイリーンの部下に車で連れて行かれたジョンがマイクロフトのことを「まったくpower complex(権力の誇示って訳だったかな)」って言った台詞の直後に、バタシーの発電所が現れる!あれはロンドン住人なら誰でも知ってるだけでなくピンクフロイドのアルバムカバーにもなっているので世界的に有名ですよね。英語で発電所は普通power stationですけど、大きなビルやその集合体をcomplexというので、あの発電所のことになるわけです。「ほほお!」とにんまりする瞬間。
1/5追記
そうそう、英語と言えば、MOMOさんのブログで色々語りあって気がついたことがありました。字幕や吹替えにもなってない意味。
宮殿でマイクロフトがお茶を入れるシーン:マイクロフト「I'll be mother.お母さん役だ」シャーロック「And there is a whole childhood in a nutshell.紆余曲折の子供時代だった」このI'll be motherは実は慣用句で「お茶を入れますね」という意味なのだとMOMOさんブログのコメント欄に。それでやっとマイクロフトやハリーさんのギョッとした表情に納得できますよね。シャーロックはマイクロフトが「お茶を入れよう」と言ったのにわざと文字通りの意味にとって返事してわざわざ兄弟の軋轢をふさわしくない場面で披露したんですね!な~んてヤナ奴!
そのあと、シャーロックが宮殿を去る時に言った台詞「I'm not the Commonwealth.」これは英国連邦じゃない=愛国者じゃない=女王様に義理はないという意味でしょうが、commonwealthの語源を調べたらcommon good(共通善)だったんです。深読みすると「僕は愛国者じゃないし善人でもない」となって増々シャーロックらしい。追記ここまで
あと、白状しますと、ラストシーン、アラビアのシャーロックですが、私はしばらくあれはシャーロックの妄想だと思っていたのです。すみません、よく考えたら、オチが妄想なんてドラマや映画はあり得ないので自分で却下しました。アイリーンは死んだから、彼女のカメラ・フォンが遺品に欲しかった、と理解したのになあ。手渡したジョンのように。逃して生きていると知ってるのにそれでも欲しいなんてシャーロック~~そこまで好きだったのね。。。。とここでまた勝手な嫉妬心。
素晴らしい作品にケチをつけるつもりはまったくありません。とってもとっても心の奥深くにしみ込んだエピソードでした。でも、そうさせた自分のつまらないこだわりも、書いておきたかっただけです。すごく好きだけど、辛くもあるので。
さ!2日「バスカヴィルの犬」3日「ライヘンバッハ・ヒーロー」と正月から3夜連続なんてNHK素敵!