娘のMが学校からもらって来た、区の「子ども読書活動推進計画」が発行する季刊誌に「おすすめ」として載っていた「ドレスを着た男子」。面白かったです。著者のディヴィッド・ウォリアムズは、イギリスのテレビBBCのコメディ番組「リトル・ブリテン」で有名な人とのこと。なるほど・・・
区のおすすめになっている児童書ですので、しっかりとストーリーとテーマがあって、ちゃんと主人公の男の子デニスと家族に感情を動かされます。でもこの本が面白いのは、ストーリーの飾り付けになった周辺部分でした。
まず著者が「リトル・ブリテン」で女装していることを知ると、ドラッグクイーンや性同一性障害でない男がなぜ女装するのか、の自伝とも読めます。「女がしていいことは男がしてもいいんじゃないか?」
しかし同時に、お話の中でデニスのパパが息子を叱る台詞に「リトル・ブリテンとか見ちゃいかん!女装のバカ二人組に悪い影響受けて」とあって、可笑しくてお腹が痛い・・・自虐的なコメディそのもの。
次に、やたらと出て来る固有名詞。イギリスに住んでると目にするそれらの名前を聞いていると、サッカー好きの普通の12歳の男の子がドレスに惹かれるという、一見アブノーマルとされる話も、まるで友達の話を聞いているかのようにリアルに感じます。そしてこの本は、日本人にはあまりなじみがないそれらの名前を、かなりそのままカタカナにしているんです。イギリスの生活を知らない翻訳者が訳すと誤訳がありがちですがそれもざっと読んで私は気づいてません。
もうひとつ、ファッションの話もリアルなんです。例えばヴォーグ。デニスとお洒落なデザイナー志望のリサが、一緒にヴォーグを読むというエピソードがあって「イタリアン・ヴォーグが一番おしゃれなの」と、海外雑誌をリサがわざわざお店に注文して定期購読しているのです。イタリアン・ヴォーグがファッショニスタに一目置かれた存在なのは業界の常識です。リサがチャリティ・ショップでルブタンの靴を2ポンドで買ったなんて話も、私には他人事とは思えません・・・(汗)
では、その大量の固有名詞(じゃないのもあるけど)をいくつかあげておきます。
お菓子の名前が多くて、食べたくなって仕方ありません。。。。
・チョコレート味のホブノブ
・フィッシュアンドチップス店のソーセージのフライ
・ハインツのトマトスープ
・セインツベリー
・ヨーキー・バー
・ジャファ・ケーキ
・ライス・クリスピー
・テスコ・メトロの4個入りクロワッサン
・ネイバーズ
・アンボンゴ
・アノラック
・ドクター・フーのターディス
・キャンサー・リサーチ
・サワー・オニオン味のモンスター・マンチ
・キンダー・エッグ
・モルティザーズ
・トブラローネ
・バウンティ
・ジェリー・トッツ
・スキップス
・クリーム・エッグ
・ツイックス
・ウォルナット・ホイップ
・マグナム
・キャラマック
・オランジーナ
・サンデー・テレグラフ
・ダーレク
・クェイヴァーズ
リトル・ブリテンがどんなにおバカな番組なのか、ちょっとのぞきたくなりました。