ポスターの通り、とってもロンドンをフューチャーしてました。
スタッフを見たら、製作総指揮に「英国王のスピーチ」の人たちや、「マーガレット・サッチャー」や「Goodbye Christopher Robbin」の人もいる、英国的な実在の人物の映画のプロにかかった実在の英国の猫の話だったんです。
その上、ひげ面で最初気づかなかったんですが、主役を演じるのは「夜中に犬に起こった奇妙な事件」のルーク・トレッダウェイではないですか!
その上、私はその昔、茶トラの猫を飼っていたこともあるんです。レオという名の猫でしたけれど、
この映画を避けては通れない私の人生というものです。
ストリート・キャットと原題には入っていますが、多分これはストリート・ミュージシャンである飼い主のジェームズの職業に呼応しているのでしょうね。
路上生活と麻薬依存症から猫の力も借りて抜け出した青年の物語です。
現在、一時期よりは政府の手厚い保護がなくなってきているイギリスですが、少なくても10年前には路上生活者に(ヴァルの熱意でちょっと異例の措置でしたが)無料の住居が与えられたのにまず感動しました。
これがなければこの話も成り立ってないんじゃないかしら?
与えられた公団はカビ臭そうな、住んでた老人が亡くなって空き部屋になったのでは?と思われる古臭いインテリアのみすぼらしいフラットでしたが、
無料でお湯が出てお風呂もついてる家が与えられるー
汚くてもベッドもソファーもあっていますぐ生活できるー
これこそ人間らしい生活の保障というものだと思いました。
それ以外に彼が出会った支援団体の人たちの温かさも、できる限り規則よりも人情を優先している人たちに溢れてて、良きイギリスがまだ残ってた、「わたしは、ダニエル・ブレイク」だけでもないんだよ、という救いの面が見られました。(この本は2012年に出ているので、それから制度が改悪されている可能性はありますが)
でね、ルークのジェームズが大変に可愛いんです。話し方とか、動きとか。コックニーに愛おしささえ感じます。
それに比べて、猫のボブは野良猫なのにクールでスマートで、映画の中で散々「かわいいかわいい」とみんなに言われてるけど、かわいいというよりも無表情さが健気だな、といった感じでした。
ジェームズがあてがわれた貧民街ってどこなんだろうと、テムズの橋を渡ってからコベントガーデンに着くんだから、ロンドン南部のはず、と思ってたら(その割には近所にカナルがあるから南にカナルなんてあったかな?とも思った)、原作本には北ロンドンのトッテナムと書いてあったので、
住んでる場所は特定されてないようでした。
ロンドンを御伽話ふうに盛り上げるためにうまく使ったようです。
その分、リアルなことも知りたくなって原作本を読みたくなりました。
頑張ることが好きでない私ですが、今の私はちょっと仕事の契約責任があり頑張らざるをえない状況なので、こういう頑張った人の話が心にしみます。
シネスイッチ銀座のウィンドウ