Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ハンバーグと言う名のお菓子

2013-10-04 15:47:00 | イギリス
       

ロンドン兵隊さんパッケージの「スペアミント」キャンディー9/29付記事のコメント欄で、ましゅまろさんから「グラナダ版ホームズに『ハンバーグ』という名のミント飴が出て来て、字幕も当初ハンバーグだったが、後にキャンディと改名された」というお話を教えてもらいました。そんな肉の匂いのしそうな飴があるの?!と興味津々で調べたら、本当にあったのです!

挽肉で作るのはHamburg、ミント飴の方はHumbugでした。
そして、ましゅまろさんも驚いてらっしゃいましたが、ウィキペデア(英語のみ)には、ちゃんと「『6つのナポレオン』で犯人の張り込み中、レストラードにミントを出したワトソンにホームズが「ハンバーグなんてやってる場合じゃないよ』と諭す」と書いてあるんですよ~!さらに、ましゅまろさんのご報告によると、「レストラードは最初タバコを吸いたくてホームズに聞いたら『ダメ!』と断られてしょぼんとしたので、ワトソンがこの飴を差し出した」んだそうです。かわいいじゃないですか、ワトソン君&しょぼんとした警部。

そしてこのhumbugには、飴の他に、詐欺とかペテン師という意味がもともとあるので、ホームズの台詞には「飴なんてなめてる場合じゃない」と「そんなものでごまかしてる場合じゃない」という意味が込められているのではないか!と、ましゅまろさんとコメント欄で盛り上がったのでした。コメント欄はお読みにならない方もいらっしゃると思うので、改めて記事にさせていただきました。ましゅまろさん、ありがとうございます。

ウィキの原文はこちら↓

While awaiting the appearance of a villain in "The Six Napoleans" episode of "The Return of Sherlock Holmes" series, Jeremy Brett as Holmes admonishes Edward Hardwicke's Dr. Watson, while offering Colin Jeavon's Inspector Lestrade one of these sweets with, "Watson, this is no time for humbugs!"


このHumbugs、現在でも存在してます。ロンドンの量り売りキャンディーバーや駄菓子屋さんで見る定番です。



こんな感じで子供の手に触れてしまう状態で売られてるんですよね・・・日本では衛生上なさそうです。ちなみに、飴類のことをイギリスではsweets/スィーツと言います。この量り売りのコーナーはpick'n'mix。・・・・ああ、また読んだだけで歯が痛くなりそうな記事になってしまいました。すみません。甘党です。

「ウィキリークスの内幕」感想

2013-10-03 21:48:00 | いろいろ
今月北米&ヨーロッパで公開される映画The Fifth Estate。原作のひとつである本「ウィキリークスの内幕」を読みました。著者は元ウィキリークスの広報:ダニエル・ドムシャイト=ベルク、そう、ポスターにジュリアン・アサンジと並んでいる誠実そうな眼鏡の人です。本には「元No.2」なんてタイトルもついてます。




政府や大企業の機密のリーク部分や、新聞等のメディアの対応や動きも面白かったけれど、やっぱり1番面白いのは人間関係とアサンジがどういう人かってこと。巷ではこの二人のブロマンス映画だという説もあるようですが、ブロマンスって男同士の深い友情とすると、私にはそうは思えません。私が本を読んだ限り、ダニエルはジュリアンに「天才的なハッカー」として尊敬と憧れが混ざった感情を抱いていたけれど、ジュリアンのダニエルへの対応は始終友達なんてとんでもない、同僚でもない、部下扱いだったんですから。つまり関係は双方ではなく、ダニエルが一方的にカリスマに惹かれたんだよね?としかこの本のジュリアンの対応描写からは思えないです。

しかし謎なのは、当のダニエルがそれをどこまで分かっていたのか?彼によれば、ジュリアンは変人で、ウィキリークスのために働いた他の人達をも信用せず、独裁者だった、つまりウィキリークスのために尽くして報われなかったのは自分だけではないとのこと。だけどダニエルにとっては、初期のブレーンはジュリアンとダニエルのふたりだけで、技術的な仕事を任されたスタッフは後で数名現れたけれど、創設期から仕事を分け合って、有名になってからもスポークスマンとして取材を受けたと自負している。たぶんパートナーのような対等な関係だと思っていた。

しかし、ダニエルがウィキリークスを去った時には関係が修復不可能なほど悪化していて、それはジュリアンがダニエルをとにかく信用せず反逆者とみなし嫌っていたからなのだが、ダニエルにはそれほどまでに嫌われた理由がまったく思い当たらないのが、この本の不思議なところです!

これはダニエルから見た内幕なので、ここはやはりアサンジ自伝も読まねば、不公平というものなので、次に読もうと思っています。でもダニエル本から察するに、ジュリアンの方はダニエルを自分の組織の持ち駒の歩くらいにしか思ってない気がするので、本当は、ダニエル本と共に映画のベースとなったガーディアン・チームによる「ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争」も読んだ方が第三者の客観的な目による二人の関係がわかるんだろうな。

ジュリアンは独裁者だけど、一方ダニエルの人柄は誠実で真面目で、分をわきまえた常識的な人だと本を読み始めた時は思った。自分の行動や思考を客観的に判断しているみたいだけど、でもやはりこの本は一人称、ダニエルの視点だ。ここで考慮しなくてはいけない点がひとつ。ダニエルはドイツ人。彼は取材も英語で受けてる英語には困らない人ではあるけれど、彼の思考回路はドイツ語なのだ。ドイツ語とは世界の言語の中でも直接的な、含みのない言語なのです。英語も我々日本語ネイティヴにとってはYES/NOのハッキリした言外の意味の少ない言語ということになっているけど、遠慮とか、空気を読むとか日本語の世界と同じにあります。しかしドイツ語にはそういう世界が薄く、気をつかってハッキリ物を言わないこと=正直でない不誠実だという価値感なのです。それはどういうことかと言うと、こちらが言いにくくてNOと言えないことを察してくれない。額面通りに受け取る。ドイツ人にはNOという意味のYESは通じないのです。私はそれでどんなに腹の立つ思いをドイツ人にしたことか!変人かもしれないけど、ジュリアンってあれだけ自意識の強い人だ、感受性は強いはず、つまり、ダニエルは自分の知らないところで、ジュリアンを相当怒らせてる可能性は高いです!!!



上のポスター、公式じゃないのでしょうか?トロントや北米の町に貼ってあるみたいだけど、公式の緑っぽいのよりも、私はこのコンセプトにとても興味があります。HERO とTRAITOR という文字が二人の顔に貼られて、その逆転バージョンも。つまり、1人がヒーローならもう片方は反逆者。ヒーローも反逆者も相対的な立場ということですよね。 



ダニエルが崇拝したカリスマ=ジュリアン・アサンジ。プラチナ・ブロンドとも言われるけど白髪は生まれつきなのか、それともマリー・アントワネットのようにある日そうなったのか。父は宗教団体に入って不在、母親と住所不定暮らしの少年時代が自伝に載ってるらしい(アマゾンの解説によると)興味深い。ダニエルによるジュリアンの奇行は自伝で解明できるのかな。




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さて、ここからは、非常に個人的な感想。読み飛ばしていただいて結構です。

私は昔、当時有名だったデザイナーの広報担当として働いてたことがあります。ファッション界というのは、デザイナーがいるブランドや会社なら、デザイナーをトップとしたヒエラルキーがある。そして成功したデザイナーには、変人やワガママも多い。腑に落ちないことですごく怒られたり、と同時に感情的な部分が非常に人間らしくて愛せる部分もある。私自身も、当時ファッション業界の人間としてそのデザイナー=上司を尊敬し、憧れながら働いていたので、ダニエルのジュリアンに対する感情をとても理解できます。(ただ私の場合は、本当に上司だったけど、ダニエルは友人でありパートナー的な対等な立場だと思ってたところは違います。)私も働き始めたばかりのころ、デザイナーをすごく怒らせたことがある。それは、宣伝費の管理は私の仕事だったので、デザイナーである上司にたのまれた買物で、予算を気にして意見をし、彼の希望のものを探して来なかった時。その時に、前職の広報担当の人が、私に悪気があったわけではないことをデザイナーに取り次いでくれて、そして前職の人が私には「デザイナーの言う事は絶対である」と諭した。私はその時に目に見えないヒエラルキーを理解したのですけど、そういう仲介者がジュリアンとダニエルの間にはいなくて、ジュリアンはダニエルを部下と思い、ダニエルは対等と思っている履き違いのまま時間が過ぎていったのじゃないでしょうか。ジュリアンにとってはなんてムカつく生意気な部下。ダニエルはジュリアンがなんで怒ってるのか意味不明。
ちなみにヒエラルキーを仕事のために受け入れた私は、部下として働きつつも、人間として愛情も抱いてました。変な人というのはチャーミングでもあるのです。かわいいところがあるのです。デザイナーと一緒に出張に行ったり、出版社の人との付き合いに同行したり、取材に同席したり、泊まりがけで働いたり、ショー前には一緒に徹夜したりしたので、ダニエルが死ぬほど忙しかったジュリアンとの、自分の理想の仕事を追いながら、世界を回りプライベートも見て来た日々を甘酸っぱい思慕の情を持って回想するのもわかるな。
と、ダニエルに感情移入しながら読んじゃったんですよね・・・・


パイロットの話題

2013-10-01 19:59:00 | Cabin Pressure
義理の両親が4泊5日滞在していました。彼らはイタリアとニュージーランドに半年ずつ住んでいるので、その途中で日本に寄って愛する息子と孫に会いに来るのです。人類最大の弱点=家族愛の数日間でした。最後の晩餐ならぬランチの時に、ロンドン~成田から直行の友人Tちゃんも同席していたし、両親はこれから成田から出発だったので、フライトの話となり、話題はパイロットに。(ドキッ)

義理の両親がイタリアでやっているB&Bのお客さんで、パイロットとキャビンアテンダントの夫婦から聞いた話だそうです。仕事先=旅先ではパイロット&キャビンクルーは夜の町へ出たら朝まで飲み歩いて帰って来ない話題から始まり(それってたぶん20年くらい前のことだと思います。今は飲酒テスト厳しいですもんね。でも昔は朝帰りの二日酔いパイロットがお客を乗せて飛んでたの?!ダグラス~~!!)東洋の航空会社のパイロット間では、上司が絶対で部下は意見を言えない、というんですよ!!!

そ、それはまさしくIpswichでダグラスが受けた副操縦士特別講義。
「a common problem in flight decks with poor crew resource management is that the first officer is overly in awe of the captain. お粗末な人事管理が原因で頻出する操縦室での問題に、副操縦士が機長を恐れすぎるというものがある。」
・・・・本当の話だったんですね?!ジョン・フィネモアさんもお父さんからそんなエピソードを聞いたのかな?

そこで私は、「パイロットの訓練で、操縦室の会話ロールプレイがあるそうですよ。ステップ1は、「Excuse me , Sir.」ステップ2、「I might be wrong....(私の間違いかも知れませんが・・・)」とここまで言ったところで、義母もTちゃんも大爆笑。すごいな・・・私達キャビンプレッシャーのファンはダグラスとマーティンの関係を知ってるからこの話が可笑しいのかと思ったけど、グローバルに受けるネタだったんですね?!その後は「山に向かって飛んでいます」「高度上げてもいいでしょうか」と皆で大盛り上がりでした。

この辺の問題も、昨今はパイロットの採用状況が非常に国際的で、大韓航空でヨーロッパ人のパイロットが飛んでるなんて普通にあるとのこと。だから、機長にもの言えない副操縦士も減っていることでしょう。ダグラスほどの副長はいないにしても。そして、マーティンも万が一スイスエアーに落ちても、JALやANA受けてもいいんだよ、きっと募集あるよ、と思ったのでした。


↓ 本当にミックス・・・キャセイは香港ですよね。女性パイロットも本当にいるんだ。





つい「頑張れ!マーティン」と思ってしまう・・・