soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
目標は留学生に日商簿記3級合格を!
ヤプログから引っ越してきました。

「海のふた」イメージをかき立てる文章は健在

2006-07-07 08:32:26 | 読書の時間
「海のふた」★★★
よしもとばなな著
203ページ、520円、中央公論社

海辺の寂れた観光地となった
生まれ育った町に戻り、
大好きな「かき氷屋」を始めた主人公の
ひと夏の物語。

難解な言葉や、言い回しはなく、
読めばすぐに映像とつながる、
火事でやけどを負ったいとこと触れ合ううちに、
自分の考えていたことが明確になっていくが、
その感覚は良く分かる。

頭であれこれ考えるのでなく、
人と触れ合っているときなど、全く別の時に
ふっと自分が考えていたことが
明確な像を結ぶことがある。

海辺の町、キラキラするほどの華やかさはなく、
かつての「ハレ」の日を懐かしみつつ
それでも新たな事柄に取り組む。

全体としてさわやかな読後感と、
イメージをかき立てる文章は悪くない、
ただ他の作品にもいえるが、
「美しい」「くっきり」「すっきり」
同じような言葉が何回も現われて、
それが気になってしまう。

次回は同じ言葉の繰り返しはナシで
もう少し揺れ動く部分を言い当てるような
言葉が欲しい。

久しぶりに彼女の作品を読んで、
悪くないなと感じたが、鮮烈な印象や
心の底の辺りに何かを置いてくるような
読後の嬉しい驚きが無いことは残念だった。

★ブログランキング登録中←何か感じたらクリックよろしく!

★以前は新刊がでるとすぐに買っていたが、久々に文庫の新刊を手に取り
表紙の絵に惹かれ購入、次も文庫まで待つだろうな。